ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

レコード・レビュー

フリーフォームバンドEyes of the Amaryllisの奏でるゴーストサウンド!

前回に引き続き今回もイギリスの実験レーベルHorn of Plentyからリリースされた作品を取り上げます。ソロ活動を含めて様々な活動を行い、レーベルCor Ardensも運営する奇才Jim StrongとソロユニットPeople Skillsとしても活動しているJesse S. Dewlowに、God…

結成35周年を迎えたIdea Fire Companyの新作バスルーム・エレクトロニクス!

結成35周年を迎えたScott FoustとKarla Boreckyによるアメリカ・マサチューセッツのデュオIdea Fire Company。結成時からインダストリアル、ポストパンクをベースにしながらコズミック、ミニマル、ジャズ、クラシックを取り入れてアヴァンギャルドに変革して…

Maths Balance Volumesの奏でる退廃的なフリーフォークの世界とは!

このところフォークに凝っている。でも古典的なフォークではない。2000年代前半にフリーフォーク・ムーブメントがマニアックに盛り上がっていた。そのころを彷彿させるようなバンドが現れている。当時はフォークを音楽ルーツにして、サイケ、エレクトロニク…

Spiritualized、Spring Heel JackのメンバーでもあるマルチプレーヤーJohn Coxonの初ソロ・アルバム “Real Magic Vol.1”

Jason Pierce率いるロックバンドSpiritualizedのメンバーでもあり、Ashley WalesとのデュオSpring Heel Jackとして電子音楽を中心に様々な音楽を奏でているマルチプレーヤーJohn Coxon。ソロ活動としては、Eddie PrevostやEvan Parker、Alex Wardら様々な即…

ニュージーランドのWilliam Henry Meungが奏でるカオティックなLo-Fiインディ・フォーク!

フォーク、ジャズ、ノイズ、ミニマル、ドローンなどを中心にエクスペリメンタルでオブスキュアな雰囲気を持ったDIY的ミュージシャンやバンドの音源を届けてくれる英国のレーベルHorn of Plentyに注目しています。このレーベルより昨年は、ベルリンを拠点に活…

Dire Wolvesの再活動、新たなる方向を示した新作 “Easy Portals”

Jeffrey Alexander率いるサンフランシスコのサイケデリックバンドDire Wolves。2019年のヨーロッパ・ツアー以降、コロナ・パンデミックの影響で各メンバーは、サンフランシスコを離れざるを得ない状況になりました。ギタリストのJeffrey Alexanderはフィラデ…

Gongの新作 “Unending Ascending” Daevid Allenの理念を継承しつつ、今のバンドとして進化した傑作!

1969年にDaevid AllenとGilli Smythにより結成され、数多のメンバー変遷を経ながら現在も活動しているGong。ところが、2015年にDaevid Allenが癌で死去。彼の遺志を引き継いて残されたメンバーがGongを存続させます。彼らは精力的にライブ活動を行い、日本で…

Steven R. Smith、Glenn Donaldson、Brian Lucasによるユニット43 Odesの新作 “HWN UN AMN” に思いを寄せて…

このブログでは毎度お馴染みのSteven R. Smith。カリフォルニアのインディーズ・ポップ職人と言われるようになったGlenn Donaldson。Dire Wolves、Angel Archerのメンバーとして活動を行いながらソロ・ユニットOld Million Eyeとしても活躍しているBrian Luc…

ベルギーのアヴァン・ギャルドなフォークを奏でる鬼才Antoine Loyerと合唱隊Megalodons Maladesによるコラボ作の第2弾!

ベルギーのアヴァン・ギャルドなフォークを奏でる鬼才Antoine Loyerの今年6月にリリースされた5作目となる新作 “Talamanca” を紹介します。2021年の前作 ”Sauce chien et la guitare au poireau” と同じくブリュッセルの合唱隊Megalodons Maladesとの共作で…

ギターと木箱による打楽器カホンを駆使した75 Dollar Billの世界!

ギタリストChe ChenとパーカッショニストRick Brownによるデュオユニット75 Dollar Bill。ブルックリンで2012年に結成して地道にライブ活動を行い徐々に注目を浴びるようになります。2019年リリースのアルバム “I Was Real” が、英国の音楽誌The Wireの年間…

Arnold Dreyblattの新作 “Resolve” は、これまでのアルバムのなかで、よりロック的な魅力が満載の傑作!

エクスペリメンタルでアヴァンギャルドな音楽を追求しているニューヨーク出身の作曲家Arnold Dreyblatt。Pauline Oliveros、La Monte Young、Alvin Lucierといった巨匠の下で音楽を学んでおり、1984年よりベルリンを拠点に活動しています。待望の新作がリリ…

ベルリンを拠点に活動しているNein Rodereのアウトサイダーな世界とは?

Nein Rodereはベルリンを拠点に活動しているDavid Roederの音楽ソロ・プロジェクトです。画家や精神保健福祉士でもあるという経歴から、様々な芸術を熟考、制作、促進することによって、日常の経験をより深い心理的構造と結びつける取り組みも行っている。ベ…

MV&EEの新作 ”Green Ark” は、これまでのサイケ・フリーフォークの領域を超えた傑作‼

2000年代初期よりサイケ・フリーフォークを奏でてきたアメリカ・バーモントのMatt ValentineとErika ElderによるMV & EE。彼らの場合、CDRやカセットでの自主制作によるリリースが多いことでも知られている。Matt Valentineはソロでアルバム制作も行いながら…

アンビエント・サイケデリックバンドLandingのBandcampサブスクリプションに登録しました!

LandingはAaron SnowとAdrienne Snowによる夫婦デュオMay Landingとして音楽活動を行う。90年代後半に友人であったDaron Gardner、Dick Baldwinをメンバーに入れてLandingとバンド名を変えたのか始まりでした。アメリカ・コネチカット州を拠点にアンビエント…

The Album Leafの10月に行われるライブに向けて、新作 “Future Falling” を聴きまくっています!

前回の記事で、朝霧Jamに出演が決まっているThe Album Leafの10月20日渋谷WWW Xでの公演に行くことを書いた。ポストロックバンドTristezaのメンバーでもあったJimmy LaValleのソロ・プロジェクトとして90年代後半に活動し始めたThe Album Leaf。これまでフジ…

謎のJärnakollektivetが奏でる瞑想的で中毒性の高い不思議な世界!

これまでスウェーデンのアンダーグランド・ミュージックシーンについて色々と書いてきました。今回は2022年よりカセット音源をセルフ・リリースし続けていたJärnakollektivetを取り上げます。音源の公開やバイオグラフィーなどの情報が無かったため、まさに…

モロッコの伝統楽器ゲンブリを演奏するマルチ奏者Joshua Abrams率いるNatural Information Societyの新作!

モロッコの伝統楽器ゲンブリを演奏するベーシストとして存在感を示すマルチ奏者Joshua Abrams。90年代後半にシカゴを拠点としたポスト・ロックバンドTown And Countryでの活動を行いつつ、ソロ活動やSam Prekop、Rob Mazurek、David Grubbsらの作品に参加し…

Kammerflimmer Kollektiefの新作 “Schemen” ラディカルでエキセントリックな世界を体感して欲しい!

Thomas Weber率いるドイツのエクスペリメンタル・バンドKammerflimmer Kollektief。90年代後半に結成され、サイケデリック、フリー・ジャズ、ノイズといった要素を絡めたポスト・ロックを奏でてきました。結成時は6人編成で、流動的なメンバー構成であった。…

スウェーデンのDan Johansson率いる音楽ユニットEnhet För Fri Musikに嵌っています。

スウェーデンのアンダーグランド・シーンをこのブログで色々と取り上げてきた。今回はヨーテボリを拠点としたDan Johansson率いる音楽ユニットEnhet För Fri Musikを取り上げます。80年代からインダストリアル、ノイズ、パンク、フォークなど様々なバンドに…

Tony Conrad、Arnold Dreyblatt、Jim O'Rourkeによるアーカイブ音源 “Tonic 19-01-2001” は、前衛音楽ファン必聴の1枚!

Oren Ambarchi主宰の前衛音楽を中心としたレーベルBlack Truffleの100タイトル記念としてTony Conrad、Arnold Dreyblatt、Jim O'Rourkeの3人による2001年のアーカイブ音源 “Tonic 19-01-2001” がリリースされました。 本日は、このアルバムを取り上げます。…

Randall Nieman率いるFüxaの22年作 “Covered In Stars” は、Sonic Boomに対するオマージュを表したアルバムです。

1994年にRandall NiemanとRyan Andersonの2人が中心となって活動を始めたFüxa。90年代のDarla Recordsが、Bliss Outシリーズとしてエレクトロニックスを駆使したスペースロックを多く取り上げており、密かなSi-Fiブームを起こしていた。Füxaもその一角を担う…

La Tèneのスピリチュアルなドローン・エスノフォーク!

民族音楽をモチーフにミニマルなドローンミュージックを展開しているLa Tène。手回し器具のついた弦楽器のハーディ・ガーディ担当のフランス人Alexis Degrenier、ふいごを付けたオルガンのハルモニウムとエレクトロニクスを操るスイス人D'incise、トライバル…

Steven R. Smithの変名ユニットによる2つの新作

様々な変名ユニットを駆使して活動しているSteven R. Smith。このブログでも多く取り上げており、昨年の年間アルバム・ベストNo.1にUlaan Passerine ”Sun Spar” を選出している。今回、早くもUlaan Passerineの新作が2月に、そして3月にはUlaan Kholの新作も…

Magic Tuber Stringbandの新作 “Tarantism” は、音楽セラピスト的な1枚!

アメリカ・ノースカロライナ州ダーラムを拠点とするCourtney WernerとEvan Morganの男女デュオMagic Tuber Stringband。Courtney Wernerの奏でるチェロ、フィドルに絡むEvan Morganのギター、バンジョー、パンプオルガン、シュルティ・ボックス、フィールド…

Aksak Maboulの新作は、オーディオ・ラジオドラマといえるコンセプチュアル作品です!

1977年にMarc Hollanderのソロ・ユニットとしてスタートしたベルギーのAksak Maboul。40年ぶりのリリースで話題となった2020年のカムバック作 “Figures” に続く新作が、自身のレーベルCrammed Discsより ”Made To Meadure” シリースの第48作目としてリリース…

Blodの新作 “Där Ska Barnet Vara” は、悟りの境地へと導いてくれる1枚!

スウェーデンのアンダーグラウンド シーンで活躍しているGustaf Dickssonのソロ・プロジェクトBlod。昨年の年間アルバム・ベストNo.2に選出した “Pilgrimss​å​nger” に続く新作がDiscreet Musicよりレコード・オンリーでリリースされました。 Blod / Där Ska…

ニュージーランドのダウナーなフォーク、ロックを奏でるThe Strange Girlsの追悼盤に魅了されています

ニュージーランドのClayton Noone、Kaaterama Morehuによるローファイでダウナーなフォーク、ロックを奏でるカルト・デュオThe Strange Girls。1999年に結成され、2020年にKaaterama Morehuが亡くなるまで断続的に活動していた。そんな彼らの存在を知ったの…

SunwatchersとEugene Chadbourneのコラボレーション・アルバム “3 Characters” が奏でるMinutemen、Doug Sahm、Henry Flyntの世界!

政治的メッセージを掲げながら、ジャンルの垣根をぶっ壊して様々なサウンドを奏でるポストパンク・バンドSunwatchersと70年代からジャズ、カントリー、フォーク、ブルース、ロックなど自由奔放に独自の音楽を構築してきたギタリストEugene Chadbourne。両者…

フランスの女性シンガーLeonore Boulangerの新作は、幼稚園で奏でられるクラウトロック?

フランスの女性シンガーLeonore Boulangerは、民族音楽や現代音楽、シャンソン、フォークなどを様々な要素を組み合わせたエクスペリメンタルなポップミュージックを展開しています。彼女の3年半振りとなる5作目が、昨年11月にフランスのレーベルLe Sauleとベ…

The Garbage & The FlowersのHelen JohnstoneとYuri Frusinによる派生バンドDressがリイシューされました。

90年代中頃、ニュージーランドのアンダーグランド・ミュージックシーンは、密かに盛り上がっていた。そのシーンを牽引していたのが、The Garbage & The FlowersのHelen JohnstoneとYuri Frusinの2人であった。The Garbage & The Flowersとしても活動しつつ、…