ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

CDレビュー

USボルチモアで結成されたアヴァンギャルドでエクスペリメンタルなバンドHorse Lordsの新作は、新たなる時代の1枚ともいえる傑作!

USボルチモアで結成されたアヴァンギャルドでエクスペリメンタルなバンドHorse Lords は、Andrew Bernstein(サックス、パーカッション)、Max Eilbacher(ベース、エレクトロニクス)、Owen Gardner(ギター)、Sam Haberman(ドラムス)による4人組で、201…

Robert Hampson率いるLoopの32年振りとなる新作!

Robert Hampson率いるLoopは、1985年にサウスロンドンで結成します。My Bloody Valentine、Spacemen 3と並んで、80年代初期のポストパンク期以降の英国サイケデリアを象徴するエクスペリメンタル・ノイズロック・バンドでした。3枚のアルバムをリリースして1…

Doug Martsch率いるBuilt To Spill の新作は、ブラジルのサイケバンドOruãのメンバーと作り上げた傑作!

1992年に結成されたDoug Martsch率いるUSインディー・ギターバンドBuilt To Spill 。Doug Martschはバンドを共同プロジェクトと位置付けて、進化するにはアルバム毎にメンバーを変更すると公言していた。ただ、Warner Bros.に移籍して1996年にリリースされた…

スウェーデンのアンダーグラウンド シーンで活躍しているBlodに嵌まっています!

スウェーデンのアンダーグラウンド シーンで活躍しているBlodは、Gustaf Dickssonのソロ・プロジェクトであり、ノイズ、インダストリアル作家の重鎮でもあるSewer ElectionことDan Johansson率いる即興アウトサイダー・アシッドフォーク・ユニットEnhet För …

エレファント6界隈のバンドのひとつ、米インディーズ・バンドElf Powerの新作!

Elephant 6界隈のバンドのひとつ、米インディーズ・バンドElf Powerの5年振り14作目となる新作 “Artificial Countrysides” がリリースされました。本日はその新作について取り上げます。彼らが未だにElephant 6界隈のバンド云々と言われているので、Elephant…

Spiritualizedの新作は、名盤 “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space(宇宙遊泳)” の第2章と言える傑作!

Spiritualizedはイギリスの伝説的なバンドSpacemen 3のメンバーであったJ SpacemanことJason Pierceを中心に1990年に結成。1997年にリリースされた3枚目 “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space” が彼らの人気を不動のものとした名盤になった。2005…

Kreidlerの新作は、クラウトロックの雰囲気を活かしつつ、よりポップへと進化した傑作!

ドイツのデュッセルドルフを拠点とするKreidlerは、1993年にAndreas Reihse、Detlef Weinrich、Stefan Schneider、Thomas Kleinの4人で結成されます。Andreas ReihseとThomas Kleinの2人はKlaus DingerのLa! Neu? のメンバーとして1996年に来日したこともあ…

MV & EEの2009年から2021年のライブ音源6枚セット!

2000年代初期からフォークからサイケデリック・ロックまで奏でるアメリカ・バーモント州の夫婦Matt ValentineとErika ElderによるMV & EE。彼らのライブ音源6枚セットが昨年末にリリースされました。今回も自身のレーベルChild Of Microtonesからのセルフリ…

スウェーデンのピアニストAlex Zethsonが奏でる室内楽アンサンブルによるガムランやクラウトロックの世界とは

スウェーデンのピアニストでコンポーザーでもあるAlex Zethson。Trondheim Jazz Orchestra、Fire! Orchestra、Angles 9などのメンバーであり、レーベルThanatosis Produktionも主宰しながら様々な活動を行っている。彼を中心に実験的ジャズ、現代音楽、民族…

アヴァンギャルドからオルタナまで飲み込んでしまう厄介なミュージシャンEugene Chadbourneに嵌まっています!

70年代からジャズ、カントリー、フォーク、ブルース、ロックなど自由奔放にジャンルの垣根をぶっ壊しながら独自の音楽を構築してきたアメリカのギタリストEugene Chadbourne。これまでにDerek Bailey、Han Bennink、John Zorn、Jimmy Carl Black、Sun City G…

米国のコントラバス奏者Devin Hoffによる60年代英国フォーク界のカルト・レジェンドAnne Briggsのトリビュート・アルバム!

米国のコントラバス奏者でコンポーサーでもあるDevin Hoff。これまで様々なバンドやプロジェクトで活動を行っていました。ソロ活動でもコントラバスを中心としたアルバムをリリースしています。今回、60年代英国フォーク界のカルト・レジェンドAnne Briggsの…

L.A.F.M.S.オールスターズ・ノイズ・オーケストラAirwayの 2019年ライヴ音源!

L.A.F.M.S.(Los Angeles Free Music Society)は、Le Forte FourのメンバーであったJoe Potts、Rick Potts、Chip Chapmanらによって1974年に Captain BeefheartやFrank Zappaなどに影響を受けたアヴァンギャルドなアーティストの集団として結成されました。…

Lowの新作 ”Hey What” 異次元の世界へと達した最高傑作!

USミネソタ出身のAlan SparhawkとMimi ParkerによるインディーズバンドLow。13作目となる凄いアルバム “Hey What” がリリースされました。彼らの20年前の2001年初来日を今は無き原宿アストロホールで観ています。思入れもあるバンドですが、このブログでは取…

現代音楽作曲家John Luther Adamsがエオリアンハープの音に影響を受けた“Arctic Dreams(極北の夢)”の世界とは

1953年生まれのJohn Luther Adamsは、1978年から2014年まで住んでいたアラスカの自然にインスピレーションを得たアメリカの現代音楽作曲家です。2014年にピューリッツァー賞と2015年にグラミー賞の両方を受賞しています。現在はニューメキシコとNYを拠点にし…

政治的メッセージを掲げながら、縦横無尽にジャンルの垣根をぶっ壊して掻き鳴らすSunwatchersのサウンドにハマッています!

Jeff Tobias(サックス)、Peter Kerlin(ベース)、Jason Robira(ドラムス)、Jim McHugh(ギター)、の4人によるニューヨークのバンドSunwatchers。先月のブログでJonathan Kaneについて書いた時に、Jim McHughとのコラボレーション・ライブ音源がnyctape…

サンフランシスコの変態キチガイ・バンドCaroliner RainbowやSunburned Hand Of The Manのメンバーでもあった Phil Franklinのソロ・プロジェクトFranklin's Mintの13年振りとなる新作

2001年よりSunburned Hand Of The Manのメンバーとして多くのアルバムに参加しているPhil Franklin。ドラム、パーカッションをメインに様々な楽器を弾き熟すマルチプレヤーでもあります。Sunburned Hand Of The ManのリーダーJohn MoloneyもドラマーなのでPh…

Swans結成時のドラマーだったJonathan KaneによるGuitar Trioの世界とは

Swans結成時のドラマーだったJonathan Kane。Swans脱退後はセッション・ドラマーとして様々な活動を行なって来ました。その中でもミニマル実験音楽作家Rhys Chathamとの出会いが、彼の音楽に大きな影響を与えました。Rhys Chathamと言えばギター・トリオ、10…

Alan Lichtの2001年リリース「Plays Well」がリイシュー。 2000年代ベスト・アルバム級の傑作!

ニューヨークのアヴァンギャルド・ギタリストAlan Licht。 80年代後半にパンクバンドLove Childとしてデビューし、90年代中頃にアート・ロックバンドRun Onで活躍します。Run On在籍時よりソロ活動を行い、Loren Connorsのコラボレーターとして多くのアルバ…

The Telescopes「Songs Of Love And Revolution」古典的なタイトルですが、最高傑作です!!

1987年から活動を続けるイギリスのサイケデリック・バンドThe Telescopes。初期のころはあのCreation Recordsに所属していたこともありました。1992年のセカンド・アルバムのあとに、一旦活動を休止してしまう。その後、2000年代初めに復活した時には、Steph…

Clan Caimanの桃源郷への旅立ちにベストな音楽とは

アルゼンチンのマルチ・インストゥルメンタリストEmilio Haroが「架空の部族の奏でる音楽を空想する」というコンセプトの元で結成された 5 人編成のバンドClan Caiman。彼らの注目の2作目となる新作「Asoma」がリリースされました。今回もデビュー作同様に…

アンビエント、ミニマル、テクノ、ノイズなど様々な要素を組み合わせたClub Sound Witchesのユニークな世界!

オーストラリアでアンダーグランドに活動するMatt Earle & Nicola Mortonの男女デュオClub Sound Witches。アンビエント、ミニマル、テクノ、ノイズなど様々な要素を組み合わせて、これまでにないユニークな世界を築き上げています。彼らに魅了させられて、…

The Flowers Of Hellの“Outlanders”、これまでの15年の活動を振り返ると同時に今後の方向性も伺える1枚!

カナダのトロントを拠点に活動しているGreg Jarvis率いるThe Flowers Of Hell。The Velvet UndergroundやSpacemen 3の影響を受けつつも自分達のオリジナリティーを追求してきたバンドです。2006年のデビュー時は6人編成であったが、ホーンやストリングスなど…

Joan Of Arc のファイナル・アルバム、解散ではなく廃業!

1996年の結成時より、シカゴのアヴァン、ポストロックをリードしてきたJoan of Arc。彼らのファイナル・アルバムが昨年12月にリリースされました。中心メンバーのTim Kinsellaは9月の段階で2017年よりこのアルバムを作り始めていたことをメッセージとして公…

今月のSunburned Hand Of The Man

昨年9月から毎月何かしら購入しているSunburned Hand of the Manです。12月後半にBandcamapで注文した2枚のCDRが1月1日に届いてしまった。メンバーのJohn Moloneyからは、こんなメッセージも頂きました「Thanks again Hiroshi! We really appreciate your su…

Magik Markers「2020」、7年の充電期間を経て新たなる出発点に立つことが出来た素晴らしいアルバム!

このブログの2020年アルバム・ベスト10のNo.9に選んでいたMagik Markers「2020」。個別に取り上げていなかったので、色々と書いてみたいと思う。2001年にコネチカット州ハートフォードでElisa Ambrogio(ヴォーカル、ギター)、Leah Quimby(ベース)、Pete …

Alison CottonとMark NicholasのデュオThe Left Outsidesのメランコリックながらも温もりを感じるアシッドフォークの世界とは

ロンドンを拠点とするAlison CottonとMark Nicholasの夫婦デュオThe Left Outsides。2人は2000年代中頃にThe Eighteenth Day Of Mayのメンバーでした。The Eighteenth Day Of Mayが解散した後、2007年にThe Left Outsidesとして活動します。今回、The Left …

Sunburned Hand Of The Man三昧

ボストンを拠点にして1997年からJohn Moloneyを中心に様々なメンバーが流動的に集まってライブ活動を行なっているバンドSunburned Hand Of The Man。彼らのアルバムを9月1作、10月3作、11月3作、12月2作と、毎月買い続けて9タイトル。これは纏めて取り上げる…

Leonore Boulangerのおもちゃ箱をひっくり返したような不思議な世界

舞台音楽、実験音楽、ペルシャ音楽などを学んでいたフランスの女性シンガーLeonore Boulanger。彼女の2019年にフランスの先鋭的なサウンドを奏でるレーベルLe Sauleからリリースされた4作目「Practice Chanter」をピックアップします。 Leonore Boulanger / …

英国アンダーグランドのポスト・パンク・バンドFamily Fodderのへんてこりんなストレンジ・ポップとは

英国アンダーグランドのポスト・パンク・バンドFamily Fodder。名前は知っていたが、しっかりと聴いたことが無かったのであります。今回、Twitterのフォロワーさんが、彼らのBandcampを紹介していたので聴いてみたら嵌ってしまった。Alig Fodderを中心として…

Marion Cousinの歌声に絡むKaumwaldの異端エレクトロ・ノイズの世界とは

フランス、ノルマンディー出身で舞台翻訳なども手掛ける女性音楽家Marion Cousin。彼女はBorja FlamesのユニットJune et Jimのメンバーとしても活動していました。Marion Cousin名義のアルバムとなると、2016年のフランス人チェリストGaspar Clausとのコラボ…