ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

My Bloody Valentine 「MBV」

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My Bloody Valentine / MBV

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マイブラ22年ぶりの新作。以外にも簡単にリリースされてしまったのである。昨年のリマスター盤が、本当に出るのか?との思いでCDが届くまでは半信半疑だったことを考えると、少し唐突な感じもする。しかも、自主制作でセルフリリースなのである。私はオフィシャルではなく、一般流通を始めたアマゾンにオーダーしたが、届いてみると時間的には、殆ど遜色なかったのであります。

 

セルフリリースなので、国内盤がリリースされるとは思えない。となると今後の日本でのプロモーション活動やメディアでの扱いがどうなるのか、気になるところではあります。2月のライブで新木場スタジオコーストを3日間ソールドアウトにしたことを考えるとプロモーション活動なんて必要なしと思うだろうね。そうか、リマスター盤をリリースしたSony Musicがあったか(笑)。5月のTokyo Rocks 2013で再来日する際の日本メディアの対応が楽しみになって来たぞ!(2月のライブは観ています。ただ、新作を聴いて急遽、Tokyo Rocks 2013のチケット抽選に応募した。当たって欲しいけど・・・)

 

オフィシャルがリリースを発表した時には、デジタル配信でのリリースが先行して行われた。直後にYouTubeで全曲公開などもされたので、サウンドの全体像は、CDが届く前に把握することが出来た。アルバム・レビューも早い段階からネットで公開になっていた。その中で、一番注目されたのが、音質の問題であった。ただ、私は音質に関して、殆ど無頓着なリスナーなので気にはしていなかった。

 

でも、実際に聴いてみると、かなりラフな作りである。特にリマスター盤を聴いた後だと、より一層それが感じられる。そこでふと思い出したのが、昔、Sonic YouthThurston Mooreだったと思うけど、「最高の録音機材を使って、音質の悪いアルバムを作るのが夢」といった発言を思い出してしまった。音質が良いとか悪いとかの問題ではなくて、Kevin Shieldsの心境がラフな音を出したかったのだと思う。あるいは確信犯的にやったのかもしれないね。

 

個人的には、22年前に「Loveless」を初めて聴いた時の様な、衝撃的な感動はないものの、よくぞ、ここまで仕上げたものだと思っている。冒頭3曲までの「Loveless」のアウトテイク集的な感じに思わず笑みを浮かべ、その後の「Isn't Anything」や「Ep’s 1988-1991」に近い感じの曲の展開で、My Bloody Valentineのすべてを把握できる内容になっています。そして、ラスト2曲の「Nothing Is」と「Wonder 2」は、ライブ展開を意識した感じに、思わず頷いてしまったのであった。3月9日の地元グラスゴーでのライブでは、「Wonder 2」がラスト曲だったようです。ライブはより一層、盛り上ることを確信させてくれますね。

 

今回の「mbv」は、過去に録音されていたものを、ベースに作られたアルバムだと言われています。22年間の空白を埋めるのが、この選択だったことも凄い。伝説化していたことに早く決着をつけて進化して欲しいのだが、これが今なお、新鮮に鳴り響く。20年以上前の手法が、もっとも有効な手段だったとはね。ちょっと皮肉な結果だと思う。次回のアルバムに新たなる進化を期待しつつ、でも今は、このノイズの嵐に酔いしれていたい気分なのであった。