ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

桃源郷的音盤640選、まだ見ぬ音楽の秘境へ

f:id:hiroshi-gong:20130831174957j:plain

オンライン・レコード・ショップOrganic Musicのオーナーであり、DJとしても活躍するChee Shimizuがセレクトしたディスク・ガイド・ブック「Obscure Sound」。桃源郷的音盤640選とサブ・タイトルが付いている。本の帯には、まだ見ぬ音楽の秘境へと題して、BoredomsのEyeがコメントを寄せている。まさに、世に知られずに鳴り響いていた世界各国からのレコードを紹介した本なのである。いつも、聴くべき音楽は自ら積極的に探していかなければ、これだ!と思う音盤には出会えないと言っている私だけに、こういった本はもの凄く嬉しい。

 

オンライン・レコード・ショップOrganic Musicのサイト

 

「Obscure Sound」は、新たなる感覚で編集されている。オーガニック、エスニック、サイケデリック、スピリチュア、エクスペリメンタル、コズミック、メディテーティブ、トロピカル、フローティング、メロウ、ペンシヴ、グルーヴという12のキーワードに分類して、そこに当てはめたロック、ジャズ、現代音楽、ワールド、エレクトロニック、アンビエントといった音楽をランダムに紹介している。最初に紹介した音盤よりナンバリングがされていて、640選の音盤が掲載されている。筆者のコラムや二見裕志、ヤマベケイジ、梶原としお、らとのトーク・セッションなども掲載されており、音楽とレコードに対する思いが伺える構成になっている。

 

そのトーク・セッションでは、ヤマベケイジのレコード・ショップ「Los Apson?」についても触られています。普通の人が入れないレコード屋、うっかり行った人は、捕えられて首狩られるみたいな。私も90年代中ぐらいに一度行ったことがあります。当時は西新宿の雑居マンションの1室で、入った瞬間にヤバイ所に来てしまった感じであった。強面の店員さんに何かお探しですか、の問いに、思わずNurse with WoundのCDありますか、と答えた。レコードならあるけどの返答に、レコードなら要らないです、といって確認もせずに逃げるように帰ったことを思い出してしまった(笑)。

 

Los Apson?のサイト


ここで紹介されている音盤は、70年代から90年代発表されたレコードが中心である。メジャーなものは無い。殆ど私の知らないものばかりである。ただ、未知ないる音楽との出会いの切っ掛けにはなりそうです。これだと思う音楽に出会えた時は、最高の快感なのである。これがあるから、色々と買ってしまうのですよ。そして今回、これだと思うものを発見しました。それがTontoの「It's About Time」でありあす。Stevie Wonderシンセサイザーを伝授したことでも知られ、Steve Hillageのアルバム「Motivation Radio」のプロデュースも手掛けた電子音楽家のMalcolm とレコーディング・エンジニアとしてグラミー賞を受賞したこともあるRobert MargouleffによるユニットTontoの1974年のアルバム。アナログ・シンセサイザーを駆使したコズミックな世界!調べてみると、今年になって初CD化されたようです。これは、もう買うしかないですね。

 

最後に、この本「Obscure Sound」を買ったことで、レコードに対する思いがより一層強くなった。実のところ、私はレコードプレーヤーを持っていない。それでいながら、レコードを秘かに買っていたのであった(笑)。Chee Shimizuがコラムで書いているレコードからみえる文化というのも味わってみたくなった。ノスタルジーでレコードと言っている訳ではない。実際、今のアーティストの中には、レコードとデジタル音源のみでのリリースが多いのも確か。パッケージを含めての商品と考えると、CDよりはレコードの方がより実感が沸く。収納スペースのことを考えるとCDがいいけどね。まずは、レコードプレーヤーを早々に買うとしますか。