ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Henry Flyntに再び熱くなっています。

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哲学者であり、60年代にGeorge Maciunasの提唱したフルクサス運動にLa Monte Youngらと参加していたアメリカの現代音楽作家Henry Flynt。ただフルクサスは、政治的イデオロギー権威主義的なことですぐにその一派から遠ざかってしまう。そして、彼が向かったのは大衆音楽として根づいていたロックでありブルースなのであった。ヴァイオリン、サックス、ギターなどマルチプレーヤーだった彼は、Velvet UndergroundJohn Caleの代役としてライブをサポートしたこともある様です。

 

当時から色々と作品を録音していたが、Henry Flyntのどの作品もリリースされることはなかった。反芸術活動家だった為にレーベル側が嫌がったのか、あるいは、本人自身が拒否したのかは分りませんけど。その後、20年近く経ってやっと、1986年に限定360本のカセットで「You Are My Everlovin / Celestial Power」がリリースされた。しかし、本格的にリリースされるようになったのは2001年になってからであった。まさに伝説のアーティストと言った感じですね。

 

Henry Flyntについては、すでにビルベリー・ブルースのコンピレーション盤「Back Porch Hillbilly Blues」のVolumes 1&2、そして、80年代以降、彼がメインで取り組んできたヴァイオリン・ドローン作品「C Tune」、「Purified By The Fire」は持っている。たまたま、エクスペリメンタル・ミュージック(実験音楽ディスクガイド)を読み直していた時に、チラ見しかしてなかったHenry Flyntのページで紹介していた作品を持っていないことに気づく。気になって色々と検索してみると、購入出来る作品が少なくなっており価格も高くなっていた。これは拙いと思い、入手困難になる前に早めに買っておくことにした。先月、今月で計4作品を注文したのであります。

 

Henry Flynt / Raga Electric(CD) 

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Henry Flyntが1963年から1971年までに行って来たエクスペリメンタル・ミュージックの作品を集めたコンピレーション。ヴォーカルによるアヴァンギャルドな展開からアルトサックスによるフリーキーな演奏など収録。それまで、ブルースとヴァイオリン・ドローンしか知らなかった私にとっては、かなり新鮮に聴こえた。

 

Henry Flynt & The Insurrections / I Don't Wanna(LP) 

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1966年にバンド編成で録音された元祖ローファイ・ロックとも言える作品。ここでドラムを叩いているのは、のちにランド・アートで有名になった現代美術家Walter De Mariaである。彼は Velvet Undergroundの初期のドラマーとしても係わった人物である。Henry Flyntにギターを教えたのがLou Reedという話もあるので、この繫がりは興味深い。 Velvet Undergroundライブサポートを行なったのが、納得出来る1枚です。

 

Henry Flynt / Graduation(2LP) 

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2001年に初のCDリリースとなったのが、1975年から1979年にかけて録音されていたこの作品。当時はGraduation And Other New Country And Blues Musicと言うタイトルであった。2013年にアナログ盤Graduationとしてリイシュー。カントリー、ブルースといった曲に実験的な雰囲気を散りばめた好盤。

 

Henry Flynt / New American Ethnic Music Volume One:You Are My Everlovin、Celestial Power(2CD)

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1986年にカセット限定リリースされていた作品のCD。80年代初期に録音されてた2曲を収録。Henry Flyntは80年代に入ってからヴァイオリン・ドローンに特化した作品を多くリリースしている。その中でも最高傑作だと言える作品。すでに廃番になっていたのだが、リリース元Recorded, LLC.で簡単に注文出来てしまった。まだ、届いていませんけどね。

 

再び、思いを熱くしてしまったHenry Flyntであります。改めて聴いてみると、その変化に富んだ作品群は、今現在でもしっかりと受け継がれているいることが確認出来る。良し、こうなったら、もう少し彼の作品を集めてみるとしますか。入手困難になる前にね。