ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

John Luther Adams「The Wind In High Places」

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アメリカのエクスペリメンタルな現代音楽の作家John Luther Adams(born1953~)。ネイチャリストでもある彼は、70年代後半に極北の地アラスカに移住して作曲活動を行って来た。アラスカの大自然をテーマにした楽曲や10代の頃ロックバンドでドラマーであったことを活かしての打楽器アンサンブル楽曲を中心に地道に活動していた。そんな活動が評価され2014年にリリースされた「Become Ocean」は2014年ピューリッツァー賞 音楽部門受賞、そして2015年グラミー賞クラシック現代作品部門受賞を受けている。

 

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そんな人気絶頂の中、2015にリリースされたのが「The Wind In High Places」であります。このアルバム3部構成になっており、アルバムタイトルナンバー「The Wind In High Places」が3曲、続く「Canticles ofthe Sky 」が4曲、そしてラスト曲「Dream of the  Canyon Wren」という曲順であります。

 

「The Wind In High Places」と「Dream of the Canyon Wren」は、JACK Quartetというヴァイオリン2本、ビオラ、チェロによる弦楽四重奏であります。このJACK Quartetが凄い!弦楽でグリッサンド奏法なのであります。その演奏はエレクトロによるアンビエント・ドローンの様に鳴り響く。そして、「Canticles of the Sky」は、Hans Jorgen Jensenが指揮するチェロリスト40人以上によるNorthwestern University Cello Ensembleの演奏であります。こちらは、壮大で美しく優雅な気分にさせてくれる。

 

双方とも録音された時期は1年近く違っていて、もちろんコンセプトも違う。しかしながら、最初と最後にJACK Quartetを持ってきたことで、もの凄く纏まった作品に聴こえる。John Luther Adamsのアルバムはこれまでも何枚も聴いてきた。その中でも、このアルバム「The Wind In High Places」は彼の最高傑作だと断言したい。ロックファンにも是非聴いて欲しい!

 

尚、John Luther Adamsは、長く拠点としてきたアラスカを離れたらしい。今はニューヨークと、創作現場にメキシコのバハ・カリフォルニア州選んだとのことである。バハ・カリフォルニア州は、ロサンゼルスから車で約2時間、サンディエゴから車で15分程度の場所らしい。今後のアルバムにどの様な変化があるのか楽しみでもあります。