アメリカの現代音楽作曲家John Luther AdamsとロックバンドWilcoの敏腕ドラマーGlenn Kotcheとのコラボレーションアルバムがリリースされました。
John Luther Adams Glenn Kotche
John Luther Adams は2014年ピューリッツァー賞音楽部門賞、2015年グラミー賞クラシック現代作品部門賞を受賞するなど、今やアメリカの現代音楽を代表する作曲家になりつつあります。70年代後半より自然豊かなアラスカ大地に魅了させられて、アラスカを拠点に作曲活動を行なって来ました。ただ、最近になってニューヨークに拠点を移した様です。仕事が忙しくなったのでしょうか? 一方、Glenn KotcheはWilcoのドラマーとして活動していて、その天才的なドラムパフォーマンスでソロ活動も行っているミュージシャンです。
Glenn Kotcheのソロライブ映像です。
そんな2人ですが、2008年のWilcoのアラスカ公演の時にGlenn KotcheがJohn Luther Adamsにラブコールを送ったようです。10代の頃、ロックのドラマーだったJohn Luther Adamsは、ドラムをメインとした曲も多いのです。Glenn Kotcheとしては、どうしても会いたかった作曲家だったのでしょう。
今回のIlimaqと題された作品もドラムがメインです。そして、寒さ凍て付くアラスカ大地の鼓動をテーマにしています。まさにJohn Luther Adamsならではの作品であります。Glenn Kotcheのドラムを鼓動に見立て、気象の変化を表すが如く激しく、時に穏やかで優しく鳴り響く。Glenn Kotcheの力量が思う存分に発揮されています。そこに、John Luther Adamsのエレクトロニックを駆使したサウンドスケープが、全体を覆い雰囲気を醸し出しています。大自然の厳しさをサウンドで巧みに再現させるあたりは、ネイチャリストでもある彼の思いが詰まった音楽とも言えます。
このアルバムCDの他、DVDもセットになっている。音に合わせて抽象的なイメージ映像が何回も繰り返し使用しているが、もう少し工夫しても良いのでは。Glenn Kotcheは自分のソロライブで、このアルバムからも演奏している様である。出来れば、その辺りをDVDにするとか、あるいは、Youtubeでアップされているアルバム告知用の映像などを取り込んでも面白いと思うが・・・
John Luther Adamsについては、以前もこのブログで取り上げています。