ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Los Angeles Free Music Societyの重要人物Joe PottsのプロジェクトAirway

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Los Angeles Free Music Societyを語るうえで外せない重要人物Joe PottsのプロジェクトAirwayの紹介です。Le Forte FourのメンバーでもあるJoe Pottsは音によるサブリミナル効果や幻覚症状が如何に引き起こされるかを考えていたらしい。それを具現化したのか1977年にリリースした7インチシングル「Airway」であります。Le Forte Fourの音源テープにVetzaのアヴァンなヴォーカルとヴォイスを組み合わせたフリークアウトな世界です。

Joe Potts / Airway(7inch)

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Joe Pottsの試みをより深く実践しようとすると、観客を前にして音を出すしかなかったのでしょう。Le Forte Four のメンバーであるRick Potts、Chip Chapman、そしてVetza、Juan Gomez、さらにはTom Recchion、Dennis DuckといったのちにSmegmaに参加するメンバー達が集まって、1978年にAirwayとして最初にリリースされたのがライブ盤「Live At LACE」でした。マンドリンシンセサイザー、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、サックスから掻き鳴らされる音を集約してフェクター処理を行い、より凶暴にスピーカーから音を出させていたのがJoe Pottsなのであります。フリージャズ、ガレージパンク、ノイズ、サイケをごちゃ混ぜに組み合わせたアヴァンギャルド・ミュージックの名盤です。

Airway / Live At LACE(CD)

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Airwayのセカンド・アルバムは2001年にリリースされた1998年のライブ音源「Beyond The Pink Live」です。「Live At LACE」よりも多くのLos Angeles Free Music Societyのオールースターメンバーが集まっており、加えてDestroy All MonstersのMike Kelleyやノイズ・パフォーマンス作家John Duncanなども引き連れて総勢18名の大所帯による演奏。大まかな方向性を決めて、後は自由にジャムってくれといった感じです。このアルバム、「Beyond The Pink Live」のCDの他、Joe Pottsの7インチシングル「Airway」の復刻盤がセットになっています。さらにCD-ROMも付属していてPDF画像や映像までもがセットになっている豪華盤。ファンとしては嬉しいアルバムです。

Airway / Beyond The Pink Live(CD+7inch+CDR)

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Airwayのサード・アルバムは2015年にリリースされたこちらも2014年のライブ音源「Live At Mark Moore Gallery」です。基本的にはこれまでの路線を踏襲しているが、録音技術が進化したおかげなのか、クリアーで臨場感溢れる音になっています。総勢15名によるノイズ・パノラマの絵図を想起させる感覚は圧巻です。今回のライブに参加しているJohn Wieseがミックスを行っていて、彼のレーベルHelicopterからリリースされています。ハーシュノイズだけど、清々しく聞えるのはこの人のおかげなのかな?

Airway / Live At Mark Moore Gallery(CD)

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40年近い活動歴のあるAirwayのオリジナルアルバムとしては、この3枚のライブ盤のみです。リリース量として少ないのであります。これ以外となると2010年に日本の非常階段とのスプリット・アルバムをリリース。この音源も2009年ニューヨークでのライブ音源です。コンピレーション盤などにも幾つかライブ音源は収録されています。その都度、メンバーは流動的ながらも不定期にライブ活動は行っていました。それなら、もっとAirwayのアルバムとして残して欲しいですね。Joe Pottsのサブリミナル効果や幻覚症状をリスナーに喚起させるには、CDやレコードといった録音物ではなく、一発勝負のライブ現場しかあり得ないということなのでしょうか?機会あれば、是非とも彼らのライブを体験したいですね。