ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Jackie-O Motherfucker「Bloom」、アヴァン・ポップなサウンドがモダンに鳴り響く最高傑作!

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1994年に結成して以来、Tom Greenwoodを中心として活動し続けるUSアヴァン・ロックバンドJackie-O Motherfucker。2000年代初頭のフリー・フォーク・ブームで異才を放っていて、2002年リリースの「Change」で日本でも注目を浴びるようになりました。フリー・フォーク・ブーム以前から、フリー・フォームでサイケデリックサウンドを展開し、ブームが終わった後も、そのモチベーションを維持してきた彼らです。メンバーは、基本的に流動的で、レコーディングともなると多彩なゲストが多数参加してくる。Tom Greenwoodが言うには、パーマネントなメンバーは僕一人だけかな?と発言している。彼らの昨年リリースされたアルバム「Bloom」を前回の記事「2018年アルバム・ベスト20」のNo.1に選出したので、もう少し書いていきたいと思う。

 

Jackie-O Motherfucker / Bloom

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スタジオ・アルバムとしては7年振りで、3年以上かけて制作された11作目。Tom Greenwoodと10年振りにアルバム参加しているアルトサックスの Michael Whittaker以外は、ほぼ新メンバーでの布陣です。興味深いのは、サンフランシスコのエクスペリメンタル・ロックバンドDire WolvesのギタリストJeffrey Alexandeが参加していることです。Dire Wolvesも昨年後半に素晴らしいアルバム「Paradisiacal Mind」をリリースしており、Jackie-O Motherfucker側からもMichael Whittakerがゲスト参加しています。双方の交流関係もいい感じであることか伺えます。それと元TristezaのChristopher Spragueもベースとして参加。彼は自身のスタジオSanto Studioを提供しており、Tom Greenwoodと共にプロデューサーとしてもクレジットされています。

 

アルバム制作は、街の郊外にある橋の建設用のパイプ置き場にメンバーが定期的に集まって、パイプの美しいリヴァーブと共に長時間のフィールド録音を行うことからはじまっています。その時の録音物は、冒頭の1曲目「The Pipe」や5曲目「Wild Geese」のインスト曲で効果的に使用されており、全体のアクセントにもなっていて摩訶不思議な世界を醸し出している。他の曲はTom Greenwoodのヴォーカルをメインに、フォーク、ロック、ジャズ、ノイズ、民族音楽など様々な要素をギター、ヴァイオリン、サックスやフルートなどの管弦楽器を駆使したフリーキーでアヴァンなサウンドとのせめぎ合いです。これがバランス良くアヴァン・ポップでモダンに鳴り響く。全6曲収録のこのアルバムは、彼らの最高傑作だと断言出来る素晴らしさです。2007年の初来日ライブを観ているので、このアルバムでのライブが観たいですね。