ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

イタリアのエクスペリメンタル・バンドLarsenのパーカッショニストZ'EVに捧げるレクイエム・アルバム

前回の記事「2019年アルバム・ベスト10」でベストNo.2に入れたイタリアのアヴァンギャルドでエクスペリメンタルなサウンドを展開するLarsenの新作「Arrival Vibrate」を取り上げます。このアルバムは2017年に亡くなったパーカッショニストZ'EVに捧げるレクイエム・アルバムです。

 

Larsenは1993年にイタリアのトリノで結成された4人組。初期のアルバムがMichael Gira のプロデュースで Young God Records からリリースされたことも有りました。ミニマル、ポストクラシカル、ドローンといった実験的要素を巧みに取り込みながら多彩なサウンドを構築しています。これまでに、Z'EV、Nurse With WoundとのコラボレーションやXXL(Xiu Xiuとのユニット)などを含めると17タイトルのアルバムをリリースしています。

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Larsenについては、過去にこんな記事も書いています。


一方、Z'EV(1951年2月8日ー2017年12月16日)はアメリカ出身で、パーカッショニストとしてGlenn Branca、Organum、Genesis P-Orridgeなど様々なミュージシャンとコラボレーションを行って来ました。インダストリアル・ミュージックの先駆者としても知られている。2016年に列車脱線事故に巻き込まれ、健康を害することになり、2017年12月16日に亡くなってしまう。

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Larsen / Arrival Vibrate

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2018年3月13日にZ'EVの追悼イベントが行われました。彼のドキュメンタリー映画Heart Beat Ear Drumも上映され、その後にLarsen が演奏していた曲のライブ盤です。如何にもZ'EVが参加している様な雰囲気をLarsenの4人が、このアルバムで醸し出しています。カセットのみのリリースでA面、B面1曲づつの全2曲です。B面はリミックス・ヴァージョンとなっています。このリミックスを行ってるのが、Z'EVとLarsenの共通の友人であるJohn Duncanが行っています。彼は「Z'EVの功績、存在感を高めることをしたかった」と発言しています。両者のZ'EVへの思いが伝わってくる素晴らしいアルバムです。

「Arrival Vibrate」のライブ映像です。

 

LarsenとZ'EVは2009年にコラボレーション・ライブを行っている。それをアルバムにした「In V.tro」が2011年にリリースされている。前半がライブ音源で後半がZ'EVによるミックス・ヴァーションとなっています。これを聴いた後で「Arrival Vibrate」を聴き直すとZ'EVイズムがLarsenにしっかりと継承されていることが確認出来ます。Z'EVの霊が宿ったような神聖なアルバムに本人も喜んでいるに違いない。

 

最後に2015年に公開されたZ'EVのドキュメンタリー映画「Heart Beat Ear Drum」トレーラー映像をアップしておきます。

Z'EV  R.I.P.