ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

The Garbage & The FlowersのHelen JohnstoneとYuri Frusinによる派生バンドDressがリイシューされました。

90年代中頃、ニュージーランドのアンダーグランド・ミュージックシーンは、密かに盛り上がっていた。そのシーンを牽引していたのが、The Garbage & The FlowersのHelen JohnstoneとYuri Frusinの2人であった。The Garbage & The Flowersとしても活動しつつ、流動的に様々な音楽活動も行っていた。95年に10インチ盤1枚だけ残して消えてしまった派生バンドDressもその一つであります。その音源が45rpmの12インチへと変更になってリイシューされました。

 

Dress / Dress 

Helen Johnstone(ビオラ、チェロ、ヴォイス)、Yuri Frusin(ギター)の他、The Garbage & The Flowersの同じく派生バンドであるEntlangのメンバーKristen Wineera(ピアノ)も参加しています。全4曲収録で初期The Garbage & The Flowersのフォーキーな雰囲気を踏襲しながら、よりアヴァンギャルドレフトフィールド的なちょっと変わった音楽を奏でている。この奇妙な音像から逃れられずにエンドレスに聴き捲っています。当時、ニュージーランドの音楽情報はあまり入ってなく、特にアンダーグランド・ミュージックシーンは殆ど皆無なだけに、嬉しい1枚です。

 

このアルバムをリイシューしたのは、スウェーデンレフトフィールド・フォークを中心に素晴らしい音源をリリースしているDiscreet MusicのサブレーベルFordamning Arkivです。リイシューやアーカイブ音源を扱っているので、まさにDress にピッタリなレーベルともいえます。リマスターは現在のThe Garbage & The Flowersのメンバーであり、今年リリースされた新作 “Cinnamon Sea” のプロデュースも手掛けているBen Wright Smithが担当しています。Helen JohnstoneとYuri Frusinの2人にとっては、タイミングのいいリイシューですね。

 

 

これまでもThe Garbage & The Flowersについて、色々と取り上げています。

 

 

German musician Manuel Göttsching has died

Manuel Göttsching(9 September 1952 – 4 December 2022)が亡くなりました。サイケデリックロックの原点ともいうべき1971年のAsh Ra Tempelから、1976年にエレクトロニクス志向となったAshraに変名して活動します。Manuel Göttsching名義で1984年にリリースされた “E2-E4” が、その後のテクノやエレクトロ・ミュージックに偉大なる影響を及ぼしたのです。

 

1997年のAshraとSystem 7のジョイント・ライブに行く予定だったのに行けなかったことを、今更ながら悔しく思い出してしまった。結局、Manuel Göttschingを1回も観ることは無かったのです。2000年にはKlaus Schulzeと一緒にAsh Ra Tempelを復活させています。そのKlaus Schulzeも今年4月に亡くなっています。

 

2015年には、Ariel Pink、Oren Ambarchi、Shags Chamberlainを引き連れてAsh Ra Tempel Experienceとしてオーストラリアのメルボルンでライブを行っています。その音源は2017年にライブ盤としてリリースされています。これがManuel Göttschingとしての最後のアルバムでした。

 


これまでの素晴らしい音楽を有難うございました。

Manuel Göttsching R.I.P.

 

 

USボルチモアで結成されたアヴァンギャルドでエクスペリメンタルなバンドHorse Lordsの新作は、新たなる時代の1枚ともいえる傑作!

NEW MUSIC // GALLOP THROUGH THE DAUNTING EQUESTRIAN EXCELLENCE OF HORSE  LORDS AND THEIR NEW ALBUM COMRADELY OBJECTS | Fecking Bahamas

USボルチモアで結成されたアヴァンギャルドでエクスペリメンタルなバンドHorse Lords は、Andrew Bernstein(サックス、パーカッション)、Max Eilbacher(ベース、エレクトロニクス)、Owen Gardner(ギター)、Sam Haberman(ドラムス)による4人組で、2010年に活動を始めます。これまでに4枚のアルバムを発表しており、今年11月に5作目となる “Comradely Objects” がブルックリンのレーベルRvng Intl.よりレコード・オンリーでリリースされました。国内盤のみCDで、Planchaよりリリースです。ライナーノーツは天井潤之介が書いています。私にとっては珍しく国内盤CDを購入しました。

 

Horse Lords / Comradely Objects

ミニマルとポリリズムを駆使し、フリージャズ、ポストロック、クラウトロックの要素を絡めながら、独自の世界観をインストゥルメンタルサウンドで表しています。アヴァンギャルド・ミュージックの巨匠La Monte YoungやJames Tenneyが好んだ “ Just Intonation Tuning System(純正律)” を用いて演奏しています。簡単に言うとギターのフレッドの位置を変えた自作のチューニング・ギターを使用して不協和音を作り出している。チューニング・ギターといえば、すぐにThurston Mooreを思い出してしまう私ですが。そこにサックス、エレクトロニクスがエクスペリメンタルに絡んできます。

 

さらにポリリズムで複雑に構成されたリズムからは、アフリカやインドといった音楽の影響をも感じさせる。1歩間違えるとバラバラになりそうな音像をスリリングに纏め上げています。小難しいことをやっていながらもポップでスンナリと聴くことが出来るが、心に入った瞬間にHorse Lords の蟻地獄といった世界へと引きずり込まれていきます。コロナの影響でライブのことを考えずに、レコーディングに集中出来たとメンバーは語っています。この4人の高い演奏力とアイディアが詰まった “Comradely Objects” は、新たなる時代の1枚ともいえる傑作です。

 

なお、本作の収益の一部は、中部大西洋地域の主要な移民団体CASAに寄与されることが、Horse LordsとRvng Intl.の共同で表明されています。インストゥルメンタル・バンドとして、これまでも様々な政治的メッセージを発してきた彼らの取り組みなのでしょうね。

 

 

Robert Hampson率いるLoopの32年振りとなる新作!

Robert Hampson率いるLoopは、1985年にサウスロンドンで結成します。My Bloody ValentineSpacemen 3と並んで、80年代初期のポストパンク期以降の英国サイケデリアを象徴するエクスペリメンタル・ノイズロック・バンドでした。3枚のアルバムをリリースして1991年に解散。Robert Hampsonはエレクトロニクスを中心としたプロジェクトMainとして活動を始めます。その後、フランスの実験音楽家Pierre Schaefferが1958年に設立した電子実験音楽集団GRM(Groupe De Recherches Musicales)にも参加するようになり、よりエクスペリメンタルでコンテンポラリーな方向へと進んでいた。

 

そんなRobert Hampsonの転機となったのが、2013年の “All Tomorrow’s Parties” に出演するためにLoopを解散時のメンバーで限定的に再結成したことです。2000年代後半より、これまでのアルバムのリマスター、リイシューする作業を始めていて、Loopでまだ何かやれると思ったのでしょうね。2015年には新メンバーにて4曲収録のEP盤 “Array 1” をリリースしています。散発的にフェスに参加していたが、あまり情報が入ってこなかった状況でした。

 

Loop / Sonancy

今年になって32年振りとなる新作アルバム “Sonancy” がリリースされました。参加メンバーは2015年のEP盤 “Array 1”と同じく、ギターDan Boyd、ベースHugo Morgan、ドラム Wayne Maskell、そしてRobert Hampsonのヴォーカル&ギターという布陣です。Hugo MorganとWayne Maskellの2人は90年代から活動しているサイケバンドThe Headsのメンバーでもあり、曲作りにも深く関与出来る存在でもあります。

 

このアルバムは、EP盤 “Array 1” の方法論とはまったく違う物にしたいと考えていて、ディストピアな怒りをインスピレーションとして表現したかったとRobert Hampsonは語っています。ノイジーなギターリフと呪文を唱えるようなヴォーカルを織り交ぜながらLoopサウンドを構築。これまでの土着的なドロドロしたサイケ感を少なくして、すっきりとデジタル的に施された音の感触は、ストイックで整然としていながらも暴力的に鳴り響く。プレ・シューゲイザー的存在であったLoopが真っ向からシューゲイザーと向き合った1枚。長年待たされた甲斐のある傑作です。

 

 

 

実は、2015年のEP盤 “Array 1”は、Arrayシリーズとして3枚のEP盤をリリースする予定だった。リリース元のATP Recordingsが倒産したことで、お蔵入りになっているようです。自分達に資金が無かったので、リリースは諦めたとのこと。いつか完成させたいと思っていますが、音楽業界はもうそのようにはうまく機能してないとのことです。早くリリースして欲しいですね。

 

 

2022年11月のディスカホリック

月末恒例のディスカホリック(購入履歴)です。毎回、購入履歴と一緒に色々と書いてるけど、今回は時間切れで書きそびれてしまいました。自分の音楽遍歴について書こうと思ったけど、書いているうちにあれもこれも取り上げなくちゃになって、収拾が付かなくなったのです。はてなIDプロフィールの自己紹介で簡単に書いていることを、具体的に書こうとしていた。一部ブログ内でも個別に取り上げているけどね。そのうちに、何とか書くとしますか。野の物とも山の物ともつかない音楽を聴いていると友人に言われているけど、井上陽水が音楽の原点ですから(笑)アップするのは年明けでしょうね。12月は年間アルバムベスト10を選定しなくてはならないですから。今年は以前にも書いたと思うけど、ギター・ロックバンド系が多いです。

 

今月のディスカホリックはレコード12作品、CD2作品、カセット1作品の計14タイトルの購入実績でした。それと、Gold Bolus RecordingsのレーベルオーナーでもあるDave Ruderから新作CD2枚を頂きました。いつものように購入しただけで、しっかりと聴けてないものが多いです。

 

Luster / Luster(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格3,380円

2000年から様々な音楽活動を行っているベルギーのAnnelies Monseré率いる新たなるバンドLusterのデビュー・アルバム。チェロやフルート、ハルモニウム、ギター、ベース、ドラムによるレフトフィールド・フォークを奏でています。

 

 

Luc Ferrari / Solitude Transit(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格4,240円

仏ミュージック・コンクレート鬼才Luc Ferrariの未発表アーカイヴ音源集。1989年から1990年に録音されたコンテンポラリーダンスのために作曲された音源です。

 

 

Samuli Tanner / Music for 1-Year-Old Samuli Tanner(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格2,480円

フィンランド電子音楽家Samuli Tannerが、2017年にSun ArawのレーベルSun Ark RecordsからCDリリースしていたアルバムのレコードによるリイシュー。自作サンプラー、古いテープマシーン、コンピューターを用いて制作されたエレクトロミュージック。

 

 

Airaksinen Pekkola Tanner / Uudet Jes Opot(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格2,890円

フィンランドの前衛音楽家Pekka Airaksinenとサックス奏者Sami Pekkola、電子音楽家Samuli Tannerの2015年に行ったライブ音源。


 

来月リリース予定のLéonore Boulanger とJean-Daniel Bottaによる新作に向けて、2人のソロ・アルバムを購入しました。

Léonore Boulanger / Les Pointes Et Les Détours(CD) 購入先El Arrulloei 購入価格1,500円

2010年リリースのLéonore Boulangerデビュー・アルバム。Jean-Daniel Bottaが深く関わっています。

 

Jean-Daniel Botta / D​é​votion pour la petite chameau(CD) 購入先El Arrulloei 購入価格1,500円

2016年リリースのJean-Daniel Bottaのソロアルバム。もちろん、Léonore Boulangerもヴォーカルなどで参加しています。

 

 

The Dwarfs of East Agouza、Corsano & Orcutt / Electric Smog(Vinyl) 購入先Hmv Online 購入価格3,586円

Primary

Sun City GirlsのAlan Bishop率いる3人組のユニットThe Dwarfs of East AgouzaとChris Corsano(ドラマー)、Bill Orcutt(ギタリスト)のデュオによる2019年リリースのスプリット・アルバム。

 

Sun City Girlsの兄弟2人が、それぞれに7inch シングルをリリースしました。今のところ、何処にも音源は公開になっていません。

Sir Rick Bishop / Magrebh Blues(7inch Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,093円

Primary

 

Alvarius B. / Karaoke(7inch Vinyl) 購入先Amazon.co.jp(Rarewaves-USA) 購入価格2,948円

Primary

 

 

Catalina Matorral / Catalina Matorral(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格1,427円

Borja FlamesとMarion Cousinによる新たなるユニットCatalina Matorralの2021年リリースのデビュー・アルバム。

 

 

Nick Mott / The Fall of the Human Empire(Vinyl) 購入先Fourth Dimension Records 購入価格£34.00GBP(4,909円)

Primary

2020年3月にFourth Dimension Recordsに予約していたVolcano The BearのNick Mott「The Fall of the Human Empire」がやっと届きました。予約時に支払い済みで、その後、何回かレーベルオーナーRichard Johnsonと連絡していた。音源は出来ているが、コロナの影響でレコードの生産が出来ないとか、Nick Mott本人が音源を作り直しているとか、色んなことを言って来た。お金を返して貰おうと思っていたが、忘れてしまい2年半以上たった。Richard Johnsonは忘れてなかったのですね。

 

 

Markus Acher / Like A Plane(10inch Vinyl) 購入先Tempo 購入価格4,448円

Primary

The NotwistのMarkus Acher、初の本名名義による10inchレコード。Spirit Festで共演しているTenniscoatsのさやもヴォーカルで参加しています。

 

Markus Acher / Like A Plane : Live at Optimal Records(Cassette) 購入先Oven Universe 購入価格1,950円

10inchでリリースされた”Like A Planed”のカセットライヴ音源。カントリーシンガーBlaze Foleyの ’If I Could Only Fly’ カヴァー曲も収録しています。

 

 

Läuten der Seele / Die Mariengrotte als Trinkwasseraufbereitungsanlage(Vinyl) 購入先Oven Universe 購入価格3,300円

ドイツ・ヴュルツブルク拠点に活動しているダークフォークデュオBrannten Schnüre のChristian SchoppikによるソロプロジェクトLäuten der Seeleの2作目。


 

Aaron Moore & Erik K Skodvin / Instead of rain i bring a hat(Vinyl) 購入先Oven Universe 購入価格2,420円

Volcano The Bearのドラマーでマルチ奏者であるAaron Mooreとノルウェー実験音楽家Erik K Skodvinによるコラボレーション・アルバム。2018年にリリースされていたのは知っていたけど、日本で扱っている所があったとはね。

 

 

Gold Bolus RecordingsのレーベルオーナーでもあるDave Ruderから新作CDを2枚も頂きました。今年になって2回目です。サンクスメールを送るといつも ”Glad you enjoy it” と返信が来ます。本当に有難いことです。

Sugar Vendil / May We Know Our Own Strength(CD) Dave Ruderからの頂き物

Gold Bolus RecordingsよりリリースされたSugar Vendilのヴォーカルと室内楽アンサンブルをミックスしたコンテンポラリーな作品です。

 

Rick Burkhardt、thingNY / Passover(CD) Dave Ruderからの頂き物

Primary

作曲家Rick Burkhardtの楽曲を室内楽アンサブル集団thingNYが演奏したライブ音源。Dave Ruderはクラリネット奏者として参加しています。

 

 

Doug Martsch率いるBuilt To Spill の新作は、ブラジルのサイケバンドOruãのメンバーと作り上げた傑作!

1992年に結成されたDoug Martsch率いるUSインディー・ギターバンドBuilt To Spill 。Doug Martschはバンドを共同プロジェクトと位置付けて、進化するにはアルバム毎にメンバーを変更すると公言していた。ただ、Warner Bros.に移籍して1996年にリリースされた “Perfect From Now On” の成功によりBrett Netson(ベース)、Scott Plouf(ドラム)らが、定番メンバーと成る。バンドとしての安定感が増したのは確かですね。2000年代は色々と有りながらアルバムをリリースしてバンドを継続するも、2010年代初期にBrett Netson、Scott Ploufが脱退する。友好的に去ったとなっていますが、どうなんでしょうね?その後メンバーを集めて2015年に “Untethered Moon” をリリースするも2010年代はこのアルバムだけで終ったのです

 

Built To Spill / When The Wind Forgets Your Name

2020年に “Built To Spill Plays The Songs Of Daniel Johnston” というカヴァー・アルバムをリリースしていますが、新作として7年振りとなる9作目 ”When The Wind Forgets Your Name“ がSub Popよりリリースされました。このアルバムはブラジルのサイケバンドOruãのLê Almeida(ドラム)、João Casaes(ベース)の2人が参加しています。2018年にDoug MartschはBuilt To Spill としてブラジルでライブを行う際に新たなるメンバーが必要だったとのことで、彼らにサポートを依頼したようです。ブラジルでのライブが上手くいき、2019年も一緒にアメリカ、ヨーロッパのライブを行う。その合間に3人で新曲を録音していた。この時点ではリリース元は決まってなく、Lê Almeida、João Casaesの2人はブラジルに戻ってOruãの活動を再開する。コロナの影響もあって3人が揃って活動することが出来なかったのも大きい。昨年10月にSub Popとの契約が出来て、何とか日の目を見ることになったのです。

サウンドの方は、これまでのBuilt to Spill節を踏襲しつつ、より進化した作りと成っている。Doug Martschは「ラインナップを変えたいと思うのには、様々な理由がある。レコードを完成させる度に、次の作品は全く違うサウンドにしたいと思うんだ。新しいスタイルやアイディアを持ち込む人たちと一緒にプレイするのは楽しい」と語っている。Doug Martschのワンマン・バンドと思われがちであるが、ソングライティングやプロデュースなどのクレジットはBuilt to Spill名義であることが多い。もちろん、曲の根幹は本人が作っている。それを考えるとLê AlmeidaとJoão Casaesの2人は、ライブを行うことで得た英知を、Built to Spillらしさとは何かを追求してレコーディングに臨んだと思う。

冒頭の1曲目 “Gonna Lose” のギターワーク炸裂の曲で始まり、“Fool's Gold” や “Understood” ではDoug Martschの哀愁を帯びたヴォーカルもしっかりと堪能出来るアルバムです。面白い曲としては、レゲエとダブにインスパイアされた “Rocksteady”です。過去にレゲエ曲をカヴァーしたことのあるBuilt To Spillならではの選曲でもあります。その他、REM やDinosaur Jrへのオマージュを寄せた “Spiderweb” と “Never Alright” など全9曲を収録。全方向からBuilt To Spillを見直してみた1枚。初めて聴く方にもお勧めの傑作です!

現在、Built To Spillはドラムに Prism Bitch の Teresa Esguerra、ベースに Blood Lemon の Melanie Radford が参加してライブツアー中です。9月にはOruãとも一緒にライブを行っていたようです。

 

 

 

ブラジルのOruãについても、取り上げておきますね。イラストと写真を比べると誰がBuilt To Spillに参加したか、一目瞭然ですね。

Oruã / Íngreme

今年ドイツのレーベルCassettendienstからリリースされたカセット音源です。送料込みで€19.00 EURだったので注文しました。届くのが楽しみです。

 

 

スペイン出身でフランスを拠点に活動しているBorja Flamesのエクスペリメンタルなアヴァン・ポップな世界とは

スペイン出身で90年代後半より音楽活動を行っていたBorja Flames。2000年代後半にフランスに拠点を移してMarion Cousinと組んだフォーク・ユニットJune et Jimで、その存在を知られるようになります。2016年にはソロとしても活動を始めている。本日はBorja Flamesの今年リリースされた3作目 “Nuevo Medievo” を取り上げます。

 

Borja Flames / Nuevo Medievo

これまでのBorja Flamesのソロ・アルバムは、June et Jimで培ってきたフォークやシャンソンの雰囲気を活かしつつ大胆にエレクトロニクスを導入してアルバムを作ってきました。本作は1作目、2作目の流れを踏まえながら、ダンサブルでグルーヴ感を意識した変則的なリズムをベースにしてエレクトロニクスをスペーシィーに散りばめたサウンド。そこにヴォーカルやコーラスが美しく絡んでいます。

 

Borja Flames以外には、June et Jimの相方であるMarion Cousin、アヴァン・ボサノヴァ・ポップバンドClaptrapのメンバーでもあるPaul Loiseau、2000年代初期より様々な音楽活動を行っているRachel Langlaisが参加して制作されました。特にMarion Cousinは、これまでのBorja Flamesのソロ・アルバムにも参加しています。2021年にはJune et Jimの後継ユニットとしてBorja FlamesとCatalina Matorralを結成してアルバムもリリースしている間柄です。

 

この4人が奏でるエレクトロなサウンドは、時には80年代のニューウェーブやポストパンクをも彷彿させます。4曲目 “Magnetismo” では現代社会における様々な感情に対して、Que Sera, Sera(ケセラセラ)と歌い上げています。宇宙、宗教、戦争といったことも色々と歌っていますが、楽観的で最後は踊ってしまえ的な雰囲気が満載です。エンターテインメント性も備えたエクスペリメンタルでアヴァン・ポップな世界へと進化しています。素晴らしいアルバムです。

 

 

 

この記事を書いている時に、Borja FlamesとMarion Cousinの新たなるユニットCatalina Matorralを結成していたことを知った。2021年にリリースされたファースト・アルバムを即購入しました。

Catalina Matorral

 

Marion Cousinについて記事にしています。