90年代中頃、ニュージーランドのアンダーグランド・ミュージックシーンは、密かに盛り上がっていた。そのシーンを牽引していたのが、The Garbage & The FlowersのHelen JohnstoneとYuri Frusinの2人であった。The Garbage & The Flowersとしても活動しつつ、流動的に様々な音楽活動も行っていた。95年に10インチ盤1枚だけ残して消えてしまった派生バンドDressもその一つであります。その音源が45rpmの12インチへと変更になってリイシューされました。
Dress / Dress
Helen Johnstone(ビオラ、チェロ、ヴォイス)、Yuri Frusin(ギター)の他、The Garbage & The Flowersの同じく派生バンドであるEntlangのメンバーKristen Wineera(ピアノ)も参加しています。全4曲収録で初期The Garbage & The Flowersのフォーキーな雰囲気を踏襲しながら、よりアヴァンギャルドでレフトフィールド的なちょっと変わった音楽を奏でている。この奇妙な音像から逃れられずにエンドレスに聴き捲っています。当時、ニュージーランドの音楽情報はあまり入ってなく、特にアンダーグランド・ミュージックシーンは殆ど皆無なだけに、嬉しい1枚です。
Robert Hampson率いるLoopは、1985年にサウスロンドンで結成します。My Bloody Valentine、Spacemen 3と並んで、80年代初期のポストパンク期以降の英国サイケデリアを象徴するエクスペリメンタル・ノイズロック・バンドでした。3枚のアルバムをリリースして1991年に解散。Robert Hampsonはエレクトロニクスを中心としたプロジェクトMainとして活動を始めます。その後、フランスの実験音楽家Pierre Schaefferが1958年に設立した電子実験音楽集団GRM(Groupe De Recherches Musicales)にも参加するようになり、よりエクスペリメンタルでコンテンポラリーな方向へと進んでいた。
Nick Mott / The Fall of the Human Empire(Vinyl) 購入先Fourth Dimension Records 購入価格£34.00GBP(4,909円)
2020年3月にFourth Dimension Recordsに予約していたVolcano The BearのNick Mott「The Fall of the Human Empire」がやっと届きました。予約時に支払い済みで、その後、何回かレーベルオーナーRichard Johnsonと連絡していた。音源は出来ているが、コロナの影響でレコードの生産が出来ないとか、Nick Mott本人が音源を作り直しているとか、色んなことを言って来た。お金を返して貰おうと思っていたが、忘れてしまい2年半以上たった。Richard Johnsonは忘れてなかったのですね。
Markus Acher / Like A Plane(10inch Vinyl) 購入先Tempo 購入価格4,448円
The NotwistのMarkus Acher、初の本名名義による10inchレコード。Spirit Festで共演しているTenniscoatsのさやもヴォーカルで参加しています。
Markus Acher / Like A Plane : Live at Optimal Records(Cassette) 購入先Oven Universe 購入価格1,950円
10inchでリリースされた”Like A Planed”のカセットライヴ音源。カントリーシンガーBlaze Foleyの ’If I Could Only Fly’ カヴァー曲も収録しています。
Läuten der Seele / Die Mariengrotte als Trinkwasseraufbereitungsanlage(Vinyl) 購入先Oven Universe 購入価格3,300円
ドイツ・ヴュルツブルク拠点に活動しているダークフォークデュオBrannten Schnüre のChristian SchoppikによるソロプロジェクトLäuten der Seeleの2作目。
Aaron Moore & Erik K Skodvin / Instead of rain i bring a hat(Vinyl) 購入先Oven Universe 購入価格2,420円
Volcano The Bearのドラマーでマルチ奏者であるAaron Mooreとノルウェーの実験音楽家Erik K Skodvinによるコラボレーション・アルバム。2018年にリリースされていたのは知っていたけど、日本で扱っている所があったとはね。
Gold Bolus RecordingsのレーベルオーナーでもあるDave Ruderから新作CDを2枚も頂きました。今年になって2回目です。サンクスメールを送るといつも ”Glad you enjoy it” と返信が来ます。本当に有難いことです。
Sugar Vendil / May We Know Our Own Strength(CD) Dave Ruderからの頂き物
1992年に結成されたDoug Martsch率いるUSインディー・ギターバンドBuilt To Spill 。Doug Martschはバンドを共同プロジェクトと位置付けて、進化するにはアルバム毎にメンバーを変更すると公言していた。ただ、Warner Bros.に移籍して1996年にリリースされた “Perfect From Now On” の成功によりBrett Netson(ベース)、Scott Plouf(ドラム)らが、定番メンバーと成る。バンドとしての安定感が増したのは確かですね。2000年代は色々と有りながらアルバムをリリースしてバンドを継続するも、2010年代初期にBrett Netson、Scott Ploufが脱退する。友好的に去ったとなっていますが、どうなんでしょうね?その後メンバーを集めて2015年に “Untethered Moon” をリリースするも2010年代はこのアルバムだけで終ったのです。
Built To Spill / When The Wind Forgets Your Name
2020年に “Built To Spill Plays The Songs Of Daniel Johnston” というカヴァー・アルバムをリリースしていますが、新作として7年振りとなる9作目 ”When The Wind Forgets Your Name“ がSub Popよりリリースされました。このアルバムはブラジルのサイケバンドOruãのLê Almeida(ドラム)、João Casaes(ベース)の2人が参加しています。2018年にDoug MartschはBuilt To Spill としてブラジルでライブを行う際に新たなるメンバーが必要だったとのことで、彼らにサポートを依頼したようです。ブラジルでのライブが上手くいき、2019年も一緒にアメリカ、ヨーロッパのライブを行う。その合間に3人で新曲を録音していた。この時点ではリリース元は決まってなく、Lê Almeida、João Casaesの2人はブラジルに戻ってOruãの活動を再開する。コロナの影響もあって3人が揃って活動することが出来なかったのも大きい。昨年10月にSub Popとの契約が出来て、何とか日の目を見ることになったのです。
サウンドの方は、これまでのBuilt to Spill節を踏襲しつつ、より進化した作りと成っている。Doug Martschは「ラインナップを変えたいと思うのには、様々な理由がある。レコードを完成させる度に、次の作品は全く違うサウンドにしたいと思うんだ。新しいスタイルやアイディアを持ち込む人たちと一緒にプレイするのは楽しい」と語っている。Doug Martschのワンマン・バンドと思われがちであるが、ソングライティングやプロデュースなどのクレジットはBuilt to Spill名義であることが多い。もちろん、曲の根幹は本人が作っている。それを考えるとLê AlmeidaとJoão Casaesの2人は、ライブを行うことで得た英知を、Built to Spillらしさとは何かを追求してレコーディングに臨んだと思う。
スペイン出身で90年代後半より音楽活動を行っていたBorja Flames。2000年代後半にフランスに拠点を移してMarion Cousinと組んだフォーク・ユニットJune et Jimで、その存在を知られるようになります。2016年にはソロとしても活動を始めている。本日はBorja Flamesの今年リリースされた3作目 “Nuevo Medievo” を取り上げます。
Borja Flames / Nuevo Medievo
これまでのBorja Flamesのソロ・アルバムは、June et Jimで培ってきたフォークやシャンソンの雰囲気を活かしつつ大胆にエレクトロニクスを導入してアルバムを作ってきました。本作は1作目、2作目の流れを踏まえながら、ダンサブルでグルーヴ感を意識した変則的なリズムをベースにしてエレクトロニクスをスペーシィーに散りばめたサウンド。そこにヴォーカルやコーラスが美しく絡んでいます。
Borja Flames以外には、June et Jimの相方であるMarion Cousin、アヴァン・ボサノヴァ・ポップバンドClaptrapのメンバーでもあるPaul Loiseau、2000年代初期より様々な音楽活動を行っているRachel Langlaisが参加して制作されました。特にMarion Cousinは、これまでのBorja Flamesのソロ・アルバムにも参加しています。2021年にはJune et Jimの後継ユニットとしてBorja FlamesとCatalina Matorralを結成してアルバムもリリースしている間柄です。