ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

ギターと木箱による打楽器カホンを駆使した75 Dollar Billの世界!

Secondary, 2 of 2

ギタリストChe ChenとパーカッショニストRick Brownによるデュオユニット75 Dollar Bill。ブルックリンで2012年に結成して地道にライブ活動を行い徐々に注目を浴びるようになります。2019年リリースのアルバム “I Was Real” が、英国の音楽誌The Wireの年間ベスト・アルバムNo.1に選出されています。The Wire誌ですから、メインストリームと関係なく独自の視点で選んでいることに注目ですね。

Che Chenは、秋山徹次、向井千惠とのコラボレーションなど、日本のアンダーグランド・シーンとも繋がっているのも興味深い。そのほか、Pauline Oliveros、Eliane Radigue、Yoshi Wada、Sun Circleを集めた名作コンピレーション “Attention Patterns” の監修を行い、マルチに活動している。一方、Rick Brownは80年代初期より音楽活動を行っており、自分は90年代のAlan Licht、Sue Garnerらと結成したインディーズ・バンドRun OnでRick Brownを知った。Run OnはAlan Lichtのソロ活動に専念したいとのことで解散してしまう。その後、Rick Brownの活動をフォローしきれていなかったのでした。

 

今回、75 Dollar Billの新作が、実験的な音楽を積極的に扱っているドイツのレーベルKarlrecordsよりリリースされました。Karlrecordsはこのブログでも取り上げたことのあるKammerflimmer Kollektiefの新作もリリースしており、その時にKarlrecords Bandcampのフォロワーとなった。新作が出るごとに色々と案内メールが来ていたのでした。

 

75 Dollar Bill / Power Failures

本作はコロナ・パンデミックの影響でライブ活動などが制限される中で、これまでのリハーサル音源やジャム・セッション音源、ライブ音源を再構築して2020年に “Power Failures” としてデジタル配信しました。それをKarlrecordsが新たにリマスターして2枚組レコードでリリースしたアルバムです。Che Chenのギターを中心にソプラノサック、フルート、バスリコーダーなども駆使し、そこにRick Brownの木箱による打楽器カホン、マラカス、ハンドメイドのホルン、カウベル、電子機器が絡む世界。

 

曲によって様々なゲストが参加している。1曲目 ”Power Failure #2“ は、アルトサックスとギターにSteve Maing、ヴァイオリンにRun OnのメンバーであったSue Garnerが参加して、フルバンドといった趣でポストロック的な雰囲気を醸し出している。この2人、これまでも75 Dollar Bill のサポーターとして色々なアルバムに参加している。

 

3曲目 ”15 (IRA)“ は、Yo La TengoIra Kaplanが参加しており、フリーキーなギターを堪能することが出来る。これはライブイベントのリハーサル時に偶々行ったジャム・セッションの録音だそうです。Ira Kaplanからすれば、何も考えずに自由奔放に弾いただけなのにと思っているかもしれない。

 

圧巻なのは19分を越えるラスト7曲目 “... Noguchi Garden In Long Island City” です。Che Chenのギターワークがしっかりと反映された曲です。それを支えるRick Brownは、前半はホルンの音をさりげなく響かせ、途中でカウベルを組み合せ、最後は木箱による打楽器カホンで締めている。75 Dollar Bill流のアメリカン・ブルースといった感じで、故Jack Roseを思い出してしまった。

録音された時期や場所、そして編成人数も違う音源を集めて作られた新作 “Power Failures” でありますが、75 Dollar Billの培ってきた要素をこの1枚にぶち込んだ感じがする。今後、どのように変化していくか楽しみです。

 

 

 

ブログ読者であり、お互いにフォローしている本多重夫 -Shigeo Hondaが、75 Dollar Billの2020年にリリースされたライブ盤 “Live at Tubby's” について書いています。Steve Maing、Sue Garnerらが参加しての7編成で、名義が75 Dollar Bill Little Big Bandになっています。この記事を読んでアマゾンに注文を入れました。

 

 

Richard Youngsの新作 “Modern Sorrow” は、自身の声をサンプリングやビブラート変調して作り上げた、ポップでコンテンポラリーな怪作!

エクスペリメンタル・フォークからアヴァンギャルドなポップ・ミュージック、そしてノイズからエレクトロニクスまで多彩なジャンルを奏でてきたスコットランドグラスゴーの奇才Richard Youngs。これまでも数多くのアルバムをリリースしており、無尽蔵なアイディアで多くのリスナーを魅了してきました。今回、Oren AmbarchiのレーベルBlack Truffleより新作がリリースされました。

 

Richard Youngs / Modern Sorrow

Primary

レコード・オンリーでリリースされた本作は、A面1曲、B面1曲の2曲収録となっています。本作はギターを使用せず、自身の声をサンプリングやビブラート変調して、ポップでコンテンポラリーといった2 つの側面を表した不思議なアルバムを作り上げています。

 

A面のアルバム・タイトルナンバーModern Sorrowは、Richard Youngsのヴォーカルとピアノの音を中心にドラムマシンによるエレクトロニックなリズムを取り入れ、オルガン・ドローンがさりげなくサウンド全体を纏め上げている。R&Bやラップといった雰囲気も感じさせつつ、ミニマルで穏やかに桃源郷へと導いてくれます。神々の領域をも凌駕しようとしたソウルフルな名曲に仕上げています。Richard Youngsの新たなる世界感を表したと言える本当にヤバい曲です。

 

B面のBenevolence I + IIは、2部構成になっています。前半がドラムマシンとオルガン・ドローンがトーン、トーンと間隔を開けて鳴り響く。そこにRichard Youngsのビブラート変調された声が絡む。これが声だと思う人は誰もいなと思う。後半はオルガン・ドローンが無くなり、少し人間味らしい声が絡む展開。ドラムマシンのリズムは前半後半も同じで、二つの声がひっそりと絡む展開。コンテンポラリーとアンビエントの生み出す静寂な世界。この曲も凄いです。

マスタリングをリリース元Black TruffleのオーナーOren Ambarchiと親交の深いJoe Taliaが、行っていることも興味深い。あとピアノにスコットランドのフォーク・バンドModern StudiesのJoe Smillieがゲスト参加しています。それ以外の、オルガン、ドラムマシン、そして声とデジタル・ツールの組み合わせは、Richard YoungsによるDIY制作です。声に焦点を当てる彼のアイデアとぶっ飛んだ音楽センスに脱帽しました。傑作というよりも最高に素晴らしい怪作ですね

 

 

 

 

2023年10月のディスカホリック

2023年10月のディスカホリックはレコード6、CD3(1枚は頂きもの)、カセット1の10作品の購入実績でした。今回、シアトルのレーベルEiderdown RecordsよりNatalia Beylis & Eimear ReidyのCDを頂きました。Eiderdown Recordsに7月発売の43 Odesのレコードを注文していました。2か月経っても届かなかったので、問い合わせたところ、レコードに反りがあって一時販売を停止していたのであった。連絡が遅れたことに申し訳ないとうことで、レコードを送る時にCDも併せて送ってくれました。Natalia Beylis & Eimear Reidyについては、今年3月にリリースされた新作 “She Came Through The Window To Stand By The Door” のジャケットが印象的だったので知っていた。これが同梱されていたので驚きました。非常に有難いです。

 

43 Odes / Hwn Un Amn(Vinyl) 購入先Eiderdown Records Bandcamp 購入価格$52.00 USD(7,840円)

Steven R. Smith、Glenn Donaldson、Brian Lucasによるユニット43 Odesの2作目となる新作このブログでは毎度お馴染みのSteven R. Smith。カリフォルニアのインディーズ・ポップ職人と言われるようになったGlenn Donaldson。Dire Wolves、Angel Archerとして活動を行いながらソロ・ユニットOld Million Eyeとしても活躍しているBrian Lucas。この3人は90年代のサイケデリック・バンドMirza として活動していました。

 

 

Natalia Beylis & Eimear Reidy / She Came Through The Window To Stand By The Door(CD) Eiderdown Recordsからの頂きもの

今年3月にリリースされたアイルランドアンビエント楽家Natalia Beylisとチェロ奏者Eimear Reidyによるコラボレーションの2作目。

 

 

Steven R. Smith / Arroyo Tree Complex(Cassette) 購入先Worstward Recordings Bandcamp 購入価格$29.00 USD(4,507円)

今年はUlaan Passerine、Ulaan KholとしてもアルバムをリリースしてきたSteven R. Smith。昔の仲間たちとのユニット43 Odesとしても新作をリリースしているだけに、彼の制作意欲は衰えることを知らないようです。そして、今回は本人名義による新作カセットです。パッケージからカセット音源に対する思いも伝わって来ます。


 

Blod / Ondskans Frö(Vinyl) 購入先Discreet Music 購入価格€33.99 EUR(5,592円)

Gustaf Dickssonが1人で作り上げたBlodのセルフリリースによる新作。ディストリビューターはDiscreet Musicが行っています。


 

Wet Tuna / Party In The House(Vimyl) 購入先Discogs(Lot Of Music) 購入価格€42.50 EUR(6,990円)

Primary

PG Sixが脱退してMV&EEが中心となったWet Tunaの2作目となる新作。


 

Modern Nature / No Fixed Point In Space(Vinyl) 購入先Juno Records 購入価格£26.74GBP(4,964円)

Jack Cooper率いるModern Natureの新作。

 

 

Richard Youngs / Modern Sorrow(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,005円

Black TruffleからリリースされたRichard Youngsの新作。


 

Radian / Distorted Rooms(CD) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,420円

オーストリアはウィーンを拠点とする電子音響バンドRadianの7年振りの新作。

 

 

Terry Riley / Standards and Kobuchizawa Sessions #1(CD) 購入先購入先Amazon.co.jp 購入価格3,000円

テリー・ライリー

ライブ・プロジェクトのために日本へ訪れていたが、コロナの影響で身動きが取れなくなり、そのまま2020年初頭から日本で生活しているTerry Riley。本作は日本で制作されたカヴァー6曲とオリジナル4曲によるジャズ・スタンダードナンバーの新作。

 

サンプル音源を見つけることが出来ませんでした。

 


 

Autorhythm / Songs For The Nervous System(Vinyl)  購入先Amazon.co.jp 購入価格1,696円

スウェーデンのレーベルThanatosis ProduktionよりリリースされたニューカマーAutorhythmのフルアルバム。電子音楽を軸にして様々な要素を取り入れた作品。

 

 

2023.10.20 The Album Leaf@渋谷WWW X

The Album Leafの渋谷WWW Xでのライブに行ってきました。今回はJimmy LaValleのキーボード以外に、RaaysことAaron RaaysのドラムとWalter Trappのトランペットが、サポートメンバーとして参加しています。Raaysはポストニューエイジアンビエント系マルチ奏者で、今年Leaving Recordsよりカセット音源 “Innervzm I+II” でソロ・デビューしている。ゲストとしてオープニング・アクトで演奏することになっているので、この辺りも興味深かった。それと会場に着いて告知を確認すると、Featuring Guest Vocal:Maika Loubtéとなっていたので驚いた。翌日の朝霧JAMThe Album Leafともに出演する東京在住のシンガーソングライターも参加することになっていた。どんなライブになるのか、始まる前からワクワクです。

OPEN17:00で STARTが18:00と、通常のライブよりも少し早く始まる。翌日の朝霧JAM出演のことを考慮したのかな? 会場に入ったときは観客少ないと思っていたが、係員の方より早く始まるため、後から来る観客も多いので全体的一歩前に詰めてくれといったアナウンスがあった。5分ほど遅れてライブがスタートした。

 

最初に登場したのは、やはりRaaysであった。モジュラーシンセによる演奏で、ポストニューエイジアンビエント系のサウンドでオリエンタルな雰囲気も醸しながらスピリチュアルに鳴り響いていた。ラスト曲はエリック・サティジムノペディのカヴァーであった。これが霞かかった感じで良かったです。40分ほどの演奏でしたが、Raaysの世界を堪能することが出来た。

 

10分ほどでステージチェンジを行ない、右にキーボードのJimmy LaValle、中央にトランペットのWalter Trapp、左に今まで演奏を行っていたRaaysが、今度はドラマーとして配置していた。新作 “Future Falling” の曲順通りのPrologueで始まり、途中で過去の曲入れ、再び新作に戻ってアルバムタイトルナンバーFuture Fallingからラスト曲Epilogueまで一気に演奏して終了。新作をすべて演奏する辺りは、Jimmy LaValleの思いが伝わってくる。アンコールもあって、Red-Eye、Another Day、Vermillionの初期の名曲も演奏してくれた。デビュー時からフォローしてきたファンとしては、この上もなく嬉しい。

 

ゲストヴォーカルとしてMaika Loubtéは、新作でKimbraが歌ったAfterglowと同じく新作でBat for Lashesが歌ったNearで参加した。この2曲は最初から演奏しないと思っていただけに、ヴォーカルは違うけど特別感があって良かったです。アンビエント色が強かっだ新作だけに、どうなるのかと思っていたが、The Album Leafの原点でもあるポストロック的な雰囲気を前面に押し出した気持ちのいいライブであった。

今回のライブ、サポートとして参加したRaaysの影響が大きいと思った。彼のドラムは縦横無尽に鳴り響き、曲に合わせてライブを引っ張っていた感じ。そこにWalter Trappのトランペットが官能的な音色を組み合させていた。この2人がいたからこその、素晴らしいライブとなった。Jimmy LaValleのキーボードは、これまでと同じくソロであっても完結できる内容をもったサウンドを披露していた。ただ、初期の名曲を演奏するには、強力な助っ人が必要なことも再確認した。

 

RaaysとWalter Trappの2人は、これまでThe Album Leafのアルバム制作に関ったことは無い。次作はこの2人を入れてアルバム制作して欲しい。もちろん、ゲスト・ヴォーカルはMaika Loubtéですね。

 

セットリストです。ライブが終わった後に、写真を撮らせてくれた方に感謝です。

 

 


 

Arnold Dreyblattの新作 “Resolve” は、これまでのアルバムのなかで、よりロック的な魅力が満載の傑作!

エクスペリメンタルでアヴァンギャルドな音楽を追求しているニューヨーク出身の作曲家Arnold Dreyblatt。Pauline Oliveros、La Monte Young、Alvin Lucierといった巨匠の下で音楽を学んでおり、1984年よりベルリンを拠点に活動しています。待望の新作がリリースされたので紹介します。この数年はアーカイブ音源やコンピレーション音源のリリースが多く、新作となると2013年のフォークバンドMegafaunとのコラボレーション “Appalachian Excitation” 以来の10年振りとなります。興味深いのはThe Orchestra Of Excited Strings名義となっていることです。Arnold Dreyblattの曲を演奏する目的で1979年に結成します。2002年の ”The Adding Machine“ まで、多くのアルバムにこの名義が使われていました。                             

 

Arnold Dreyblatt、The Orchestra Of Excited Strings / Resolve

今回のThe Orchestra Of Excited Stringsのメンバーは、ドラム、コンピューターのKonrad Sprenger、ギターのJoachim SchützとOren Ambarchi、そしてコントラバスのArnold Dreyblattという4人によるラインナップです。Konrad SprengerとJoachim Schützの2人はドイツ出身で2009年頃よりArnold Dreyblattのアルバム制作のサポートを行っていた。その流れで2010年代のライブ時に、この2人が中心となってThe Orchestra Of Excited Stringsが復活したのであります。

 

近年のアーカイブ音源、コンピレーション音源については、2013年 “Choice” はKonrad Sprengerの主宰するレーベルChoose Recordsからのリリース。そして、2015年 ”Second Selection“ と 2020年 ”Star Trap“ は、Oren Ambarchiの主宰するレーベルBlack Truffleよりリリースしていました。Arnold Dreyblattのことをより深く理解している最強の助っ人がいたからこそ、新作への方向へと向かったのは間違いないですね。

本作はシカゴのレーベルDrag Cityよりレコード・オンリーでリリースされました。A面にContainer、Shuffle Effect、Flight Pathの3曲、B面に17分を越えるAuditoriaの1曲を収録。A面B面ごとに紹介します。

 

A面1曲目 Containerでは、Arnold Dreyblattのコントラバスの弦を弓で引っ叩くような感じで音を出し、ドラムとギターがそれに合わせるように展開している。過去にも同じような手法があったが、ここまでシンプルでストイックな演奏を聴いたことはなかった。2曲目 Shuffle Effect、3曲目 Flight Pathは、初期のThe Orchestra Of Excited Stringsを思わせる感じがいい! ドラムとギターが絡むことで、より刺激的に鳴り響く。Arnold Dreyblattのコントラバスを別にすると初期の定番楽器であったバイオリン、チェロ、ピアノ、オルガン、ハーディー・ガーディーでなくてもArnold Dreyblattサウンドを構築できることを証明している。

 

B面のAuditoriaは、Arnold Dreyblattのコントラバスがヴァイオリンのような音色を引き出し、ドローンでミニマルな空間を構築。中盤辺りからギターが絡みだすとリズミカルでソリッドな展開へと変化してくる。4人のアンサンブルが複雑に組み合わさって、一つの頂点へと向かっています。この瞑想的なグルーヴは、これまでのArnold Dreyblattに無かった感じもする素晴らしい曲となっている。

 

Konrad Sprengerがプロデュースを行い、マスタリング、ミックスをOren Ambarchiのアルバム制作に色々と関わっているJoe Taliaが担当しています。Konrad Sprenger、Joachim Schütz、Oren Ambarchiの3人は、独自のスキルを駆使してArnold Dreyblattの曲を現代に伝えようしています。Arnold Dreyblattのこれまでのアルバムの中で、よりロック的な魅力が満載の傑作です。

 

Bandcampでは、Shuffle Effect、Flight Pathしか公開になっていません。なのでユーチューブでContainer、Auditoriaをアップしておきます。

 

2016年のライブ映像です。Oren Ambarchiは参加していませんが、Konrad SprengerとJoachim Schützの2人にホーン奏者が参加しています。この時点でContainerをライブ演奏していたのでした。

 

 

 

過去にArnold Dreyblattについて、色々と書いています。


 

ベルリンを拠点に活動しているNein Rodereのアウトサイダーな世界とは?

Nein Rodereはベルリンを拠点に活動しているDavid Roederの音楽ソロ・プロジェクトです。画家や精神保健福祉士でもあるという経歴から、様々な芸術を熟考、制作、促進することによって、日常の経験をより深い心理的構造と結びつける取り組みも行っている。ベルリンのアウトサイダー・アート協会の理事としても活動しているようです。音楽については、Nein Rodereとして2017年頃からひっそりとカセット音源をセルフリリースしていた。そんな彼を取り上げたのがロンドンの実験的なフォークを中心とした新興レーベルHorn Of Plentyであった。最近になってレコード2枚とカセット1本を購入しているので紹介したい。

 

Nein Rodere / Catch Up With What Party +

2022年1月にHorn Of PlentyよりLPレコードとしてリリースされた本作は、2020年のカセット “Catch up with Social” から全13曲と2017年のカセット “What Party?” から3曲を選曲し、これに未発表音源7曲を追加した全23曲を収録したアルバムです。ベッドルームポップ的なフォークからフィールドレコーディング、インプロ、エレクトロニクスなど変幻自在にコラージュしてくる展開。セルフリリースや未発表音源の寄せ集めでありますが、多くのゲストをヴォーカル、ヴォイスなどで起用しています。これまでのNein Rodereの音楽を総括できる内容となっている。個人的に興味深いのは、11曲目のC O Dです。Thinking Fellers Union Local 282の名作Strangers From The Universeの収録曲Cup Of Dreamsをモチーフに作られたとのこと。TFUL282を取り上げる辺りは、只物ではないですね。

 

Nein Rodere / Sketches from Summer

SKETCHES FROM SUMMER by Nein Rodere – Good Press — good books & more  

2022年12月にFreuyd & VerdruszよりカセットEPとして限定75本でリリース。このFreuyd & Verdruszは、以前David Roederが参加していたバンドMordwaffeのリイシューもカセットで行っており、自身でレーベルを立ち上げたのかな? この年は “Watercolor of Jandek Debut:Music Texts2015⁻2020” という音楽本も発刊しており、音楽レビューや音楽に対する様々なことを書いているようです。本のタイトルにもなっているJandekは70年代後半より活動している伝説のアウトサイダー・ミュージシャンのことで、本作が彼の影響を受けていることを感じる。David Roederのヴォーカルとギターの奏でるローファイなアシッド・フォークにフィールドレコーディングされた日常の風景か絡む全7曲を収録。紙袋に入った特殊なパッケージも含めて激ヤバですよ!!

 

Nein Rodere / Form & Feeling

2023年3月に再びHorn Of PlentyよりLPレコードとしてリリースされた本作は、アメリカの哲学者Susanne Langerの1953年に発刊された著書Form & Feelingからのインスピレーションを落とし込んだ1枚です。この本のなかで、音楽は従来の言語では表現するのに苦労していた感情を伝えることができると提唱していた。これを考慮したDavid Roederは、実験的なサウンドとローファイなフォークなどを組み合わせた全15曲を収録しています。今回も多くのゲストがヴォーカル、ヴォイス、ギターなどで参加。様々な要素を混在させながら、一つのコンセプチュアルなアルバムに仕上げている。咳き込む音を入れたり、意味不明のノイズ音が流れたりして、異形な雰囲気も醸し出ています。ただ、これがアウトサイダーであるNein Rodereの魅力なのでしょう。素晴らしい1枚です。

 

 

David Roederのビジュアル・アーティストとしての世界です。


David Roederの著書 “Watercolor of Jandek Debut:Music Texts2015⁻2020” について書いていて、注文も出来るようです。

WATERCOLOR OF JANDEK DEBUT: MUSIC TEXTS 2015-2020 by David Roedergoodpress.co.uk

 

 

2023年9月のディスカホリック

月末のディスカホリックでは、購入履歴以外に色々と書いていたが、今月は何も書くことが出来ませんでした。ネタは色々とあったけど、考えが纏まらずにタイムアウトです。なので購入履歴だけとなります。

 

2023年9月のディスカホリックは、レコード7、カセット3、CD1の合計11作品でした。毎度のことですが、買ったその月に殆ど聴けてないことの方が多いです。

75 Dollar Bill / Power Failures(2Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格5,486円 

ニューヨークのマルチ奏者Che Chenとパーカッショニストとして活動するRick Brownのデュオユニット75 Dollar Billの新作。

 

 

DRNTTCKS / OKBOOMER!(Cassette) 購入先Feathered Coyote Records Bandcamp 購入価格€13.75 EUR(2,266円)

ドイツのThorben DetlefsenとFranz Joseph Kaputtによるクラウト、ドローン、ノイズユニットDRNTTCKSの今年1月リリースのカセット音源。

 

 

Core of the Coalman / New Chords(Cassette) 購入先Feathered Coyote Records Bandcamp 購入価格€11.75 EUR(1,937)

アメリカ出身で現在はイギリスを拠点に活動している実験音楽家Jorge BoehringerのソロプロジェクトCore of the Coalmanの2014年のカセット音源。

 

 

Altin Gün / A​ş​k(Vinyl) 購入先Disk Union Online 購入価格3,850円

トルコとオランダの混成バンドAltin Günの新作。

 

 

Pere Ubu / Trouble On Big Beat Street(CD) 購入先Disk Union Online 購入価格2,310円

Pere Ubuの新作。

 

 

Alexandre Bazin / Innervision(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格4,180円

パリの電子音楽家Alexandre Bazinのメロディックテクノサウンドを追求した新作。

 

 

Raays / Innervzm & Innervzm II(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格2,150円

Primary

The Album Leafの来日公演にドラマーとして参加しているRaaysの今年リリースされたカセット音源。


 

ドイツ・ベルリンを拠点に実験的なフォークを奏でるNein Rodereの2作品

Nein Rodere / Catch up with What Party +(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格3,290円

2020年に出ていたカセット音源に未発表音源を追加した作品。

 

Nein Rodere / Form & Feeling(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格4,180円

2023年の新作。

 

 

Svitlana Nianio / Transilvania Smile,1994(Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格5,213円

ウクライナのシンガーソングライターSvitlana Nianioの幻の1stが初音源化。


 

Arnold Dreyblatt、The Orchestra Of Excited Strings / Resolve(Vinyl) 購入先Juno Records 購入価格£25.48GBP(4,790円)

Arnold DreyblattのThe Orchestra Of Excited Stringsによる新作。