ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

孤高のギタリストSteven R. Smithの次なるユニット「Ulaan Markhor」

Ulaan Markhor

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孤高のギタリストSteven R. Smith.の「Ulaan Khol」3部作に続く、新たなるソロ・ユニット「Ulaam Markhor」がリリースされました。Steven R. Smith.については、日本では、殆ど知名度がなので、彼のバイオグラフィーを紹介しながら、新作「Ulaan Markhor」について書くしかないかな。

 

Steven R. Smith.は、90年代中頃にサンフランシスコのサイケ・スペースロック・バンドMirzaの中心メンバーとして活動し始める。2000年に入ると同じくMirzaのGlenn Donaldsonらとフリーフォーク・ブームのさきがけとなるユニットThujaを始める。そこにはサウンドアートを実践するLoren Chasseなども参加していた。そのThujaを中心として、そこから派生したユニット、バンドなどを含めてJwelled Antler一派とも呼ばれていた。

 

彼は、そんな一連の動きとは、別に活動当初から独自の世界観を持ってソロ活動も行ってきた。Steven R. Smith.名義で活動しつつ、2003年には、伝統的な東欧音楽やラーガ音楽にオマージュを寄せたユニットHala Stranaを始めていた。そして2008年には、轟音ギター・ドローン・サウンドに特化したユニットUlaan Kholとしても活動している。最近では、クラリネット奏者Gareth Davisとのコラボレーション・アルバムもリリースして、現代音楽的なエッセンスも取り込んでいます。実に多彩なことを実践しているのであります。

 

さて、今回の「Ulaan Markhor」でありますが、「Ulaan Khol」のギター・ドローン路線を継承しつつも、Hala Stranaで行っていた東欧音楽の退廃的な雰囲気を組み合わせた感じです。Steven R. Smith.が最初に取り組んでいたバンドMirzaに近い様に思う。ドラム、ベースのリズム隊が、今までの彼のソロ活動には無かったバンド編成的なサウンドになっています。実際にはSteven R. Smith.が一人ですべてを行なっている宅録なのでありますが。

 

個人的には、リズム隊に対する新たる方向性が見えて来たので、バンドとしての展開を今一度考えてもいいかと思う。ライブ活動もせずに、アルバム制作に没頭してきたSteven R. Smith.だけに、この「Ulaan Markhor」を聴くとライブを観てみたい思いがするのであります。Glenn Donaldsonと組んでMirzaの再活動を考えるのは、Steven R. Smith.だけでなく、Jwelled Antler一派が終わった後も、Glenn Donaldsonなど未だに彼らをフォローし続けている私の願望なのですけどね。