ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

2012年ベスト入り確定のこの1枚、「Fuxa / Electric Sound of Summer」

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Fuxa / Electric Sound of Summer

Randall Niemanのソロ・プロジェクトになってしまったFüxa。10年振りのニューアルバム「Electric Sound of Summer」がリリースされました。3年ぐらい前から、自身のレーベルMind Expansion Recordsでは、Coming Soonになっていたと思うが、やっとリリースされたといった感じである。しかも、Mind Expansion Recordsではなく、Rocket Girl Labelからのリリースであります。まあ、色々と諸事情があったのかな。

 

この10年に関しては、シングル盤やスプリット盤をリリースしていたMindExpansion Recordsの運営が忙しかったのかな。SuicideのMartin Revのソロ・アルバムTelescopesのコンピレーション盤など、コアなファンにはたまらない作品をMind Expansion Recordsでは、リリースしてきた。その一方で、他のバンドのツアー・メンバーとしての活動などもしていた。特に元Spacemen 3のSonic BoomがSpectrumを再始動させた時の、Randall Niemanの働きは大きかったと個人的には思っている。

 

そんな彼の人脈が遺憾なく発揮されたのが「Electric Sound Of Summer」であります。ゲスト参加したメンバーがとにかく凄い。Mark Refoy (Slipstream、Spacemen 3)、Richard Formby (Dakota Suite、ex-Spectrum)、Dean Wareham (Dean &Britta,Luna、Galaxie 500)、Britta Phillips (Dean & Britt、Luna)、Willie B.Carruthers(Freelovebabies、ex-SpiritualizedSpacemen 3)、Stephen Lawrie (Telescopes、Unisex)、Jerry Hope、Sarah Peacock(Seefeel、Scala)、Kyle Chunconらが参加。そして、ジャケットのイラストは、MGMTの2ndアルバム「Congratulations」でも知られるAnthony Ausgangの筆によるものです。

 

これぞ90年代サイフィ・ブームを今に蘇らせる傑作アルバムです。ますは、冒頭の1曲目の「A Billion Kilograms」。いかにも、Füxaらしいドリーミー・ポップな曲。初期のDarla RecordsのBliss Out シリーズの再演かと思ってしまった。レコードで言うならB面の1曲目には、Martin Revへのオマージュに満ちた「Marty Suicide」が収録されています。

 

そして、このアルバムでは、3曲カヴァー曲をやっているが、どれも素晴らしいのであります。まずは、Dean Warehamがヴォーカルを務めるSuicideの「Cheree」、SeefeelのSarah Peacockがヴォイスではなく、ちゃんとヴォーカルを取っているGO GO'Sの「Our Lips are Sealed」、Dean WarehamとDean & Brittとして現在活動しているBritta Phillipsが、なんとDaniel Johnstonの名盤「1990」の収録曲「Some Thing Last A Long Time」を歌っています。そのとれもが、完全にFuxaの世界になっている。改めてRandall Niemanの選曲、人選、そしてアレンジのセンスの良さに脱帽してしまった感じある。

 

2012年ベスト入り確定のこの1枚です。最高ですよ。