The Recedents / Wishing You Were Here(5CD BOX)
Lol Coxhill, Mike Cooper, Roger Turnerによるインプロビゼーション・バンドThe Recedentsの5枚組アーカイヴBOX「Wishing You Were Here」を入手しました。一瞬、目玉バンドのレジデンツ(The Residents)と間違ってしまいそうなバンド名でありますが。
The Recedentsは、サックス奏者のLol Coxhill、ブルース、フォークをベースにアヴァンギャルドなギターを奏でるMike Cooper、そして、変幻自在なドラムを展開するRoger Turnerの3人の英国人によって1982年に結成されました。各メンバー共に60年代70年代から活動しているベテラン・ミュージシャンであり、個々のソロ活動も行い、様々な作品を残しています。
特にLol Coxhillは、70年代のKevin AyersのバンドThe Whole Worldのメンバーでもあり、80年代はノー・ウェーブの伝説的なバンドでDavid Toopが仕掛けたThe 49 Americansのメンバーでもありました。残念なから、彼は2012年に他界しています。このBOXは2014年にリリースされています。タイトルがWishing You Were Hereであることからして、故Lol Coxhillに対するオマージュを表したのでしょうね。
これまでにThe Recedents としてリリースしたアルバムは、1987年と1991年の2枚だけであります。しかしながら、ライブの方は結成時の1982年から2010年まで、ほぼ毎年3人揃ってライブを行なってきたのであります。今回のBOXは、そのライブ音源を時系列毎に収録しています。Disc1が1985年のライブ音源4曲と1995年のライブ音源2曲、Disc2が2000年のライブ音源1曲、Disc3が2002年のライブ音源1曲、Disc4が2003年のライブ音源1曲、Disc5が2008年のライブ音源1曲という構成になっています。
初期のライブでは、EMS Synthi-AやCrackle Boxを用いてエクスペリメンタル色を強調している。このあたりがAMMと比較されていたというのも納得です。後期のライブでは、Lol Coxhillのサックスを中心にしてインプロビゼーションの枠をさらに自由奔放に何でもありで攻めてくる。どれもがスリリングな展開で面白い。ブックレットには、過去のライブ・データーやライブ・ポスター、そして雑誌の記事までもが散りばめてある。これを眺めているだけでも、熱気が伝わってきます。CD5枚のヴォリュームがある割には、ダレずに最後まで一気に聴くことが出来た。インプロビゼーションと言っても曲の構成がしっかりしていることを実感した素晴らしBOXなのでした。
ブックレットのライブ・データーによると、これがThe Recedentsとして最後のライブのようです。BOXには収録されていませんけどね。