ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

アート セックス ミュージック / コージー・ファニ・トゥッティ

ヌードモデル、ストリッパーでもあり、伝説のノイズ・インダストリアル・バンドThrobbing GristleのメンバーCosey Fanni Tutti。彼女が生まれてから2014年までの日記をベースにした自伝。2017年に刊行され、日本語翻訳版は2018年9月に元ロッキングオンの坂本麻里子氏の翻訳で発行された。値段が高くて購入するのを躊躇していたが、今年Coseyのソロアルバム「Tutti」やCarter Tutti Void「Triumvirate」がリリースされたこともあって、やっと購入しました。

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500ページ近くあって写真が16ベージのみの分厚い本です。読むのに時間が掛かってしまったが、興味深く読み終えることが出来た。Coseyを取り巻く様々な人間関係が、愛と欲望の渦に巻き込まれながら描かれています。ここまでしなくてもいいかと思うところまで、自分自身をさらけ出しています。まさにこの本の推薦文でRobert Wyattがキーワードとして取り上げている「Far Out(型破り、斬新)」を許容されるギリギリ限界の地点から始めているアーティストなのです。

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アート・パフォーマンス・グループCOUM Transmissions時代からのGenesis P-Orridgeとの肉体関係も含めて、その後のThrobbing Gristleで出会い結婚するChris Carterとの思いなど赤裸々に語っています。この本が面白いのは、その時代を取り巻く文化やカルチャーなども書かれていることです。それとThrobbing GristleやCoseyに関わってきたバンドやアーティストも登場して暴露本的な内容も強烈です。後半には家族愛的なことも書かれており、Coseyを知らない方でも一人の女性アーティストの生き様を描いた本として充分に楽しむことが出来ると思う。

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個人的には、2000年代に入ってからの再結成や新作「Part Two - The Endless Not」からXーTG「Desertshore / The Final Report」に至るまでのリアルタイムでフォローしていた時が一番興味深かったです。もちろん、70年代のエログロ時代も面白いのは言うまでもありませんが。やはり、それまでの確執を乗り越えてThrobbing Gristleの音楽を愛するファンの為に、活動を続けることは中々出来ることでは無いと思う。しかし、ドランスジェンダーして性格までも破綻してしまったGenesis P-Orridgeが脱退したことで終わってしまうのです。Peter Christophersonが亡くなったので、本当に伝説になってしまったThrobbing Gristle。これについてはGenesisの意見も聞きたい所でもありますね。

この本を読んだ後でThrobbing Gristleのアルバムを聴き直すと、これまで以上にCoseyの葛藤に満ちた心の叫びを感じてしまった。ファン必読の本であることは間違いないです。

 

 

Coseyの今年リリースされた2作のアルバムをアップします。このアルバムのおかけで「アート セックス ミュージック」に出会うことが出来ました。2作とも、もの凄く素晴らしいアルバムです。

Cosey Fanni Tutti / Tutti

35年ぶりのソロ・アルバム。エクスペリメンタルでビートを効かせたサウンドは最高に格好いい!! 


Carter Tutti Void / Triumvirate

Chris CarterとCosey Fanni Tuttiの夫婦に、Factory FloorのNik Voidが加わったプロジェクトの3作目。エレクトリックでインダストリアルなダンスサウンドに絡むノイジーなギターが気持ちいい!


 

 

最後に、Cosey Fanni Tuttiのインタビュー記事もアップしておきます。インタビュアーは坂本麻里子氏です。心臓の病気と関わりながら生活していると言った気がかりなことも発言しています。ちょっと心配です。