ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Charlemagne Palestine、長年の友人であるTony Conradに捧げたトリビュート・カセット音源

可愛いぬいぐるみを使ったインスタレーションを行うアート作家としても知られ、Terry Riley、Steve Reichなどと並ぶミニマル音楽の作曲家Charlemagne Palestine。初期の頃から実験的でオシレーターやホワイト・ノイズを駆使したミニマル・ドローン・ミュージックは、ミニマル界のアウトサイダー的な扱いをされていた。ただその分、ロックやテクノに多大な影響を与えたのは確かです。

 

今回、長年の友人であり、2016年惜しくも逝去したTony Conrad(1940ー2016)に捧げたトリビュート・カセット音源を入手したので紹介したいと思う。この作品が2017年にリリースされていたことを今頃になって知りました。

 

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Charlemagne Palestine - STTT THOMASSS ...

長いタイトルのこのアルバムは、1曲26分ほどの演奏がA面、B面両方に収録されています。ライナーノーツには1963年から70年までマンハッタンの教会で朝5時〜5時半の間毎日ベルを演奏していたCharlemagne Palestineの所へ、Tony Conradも来ていたと言った内容が書かれています。2人が知り合う切っ掛けだったのでしょう。Charlemagne Palestineのトニーと呼びかけるヴォーカルで始まり、ポエムを読みベルの演奏に繫がって行きます。まさに2人の原点を描いたサウンドです。

 

曲は2カ所の場所で録音されています。イントロの呼びかけからポエムまでの2分ほどが、2017年3月8日に詩人のClemente Soto Velezにちなんで建てられた文化施設で、ベルの演奏は2017年4月7日にNYの教会で行われています。日付に注目です。Tony Conradは3月7日生まれで、4月9日に亡くなっています。びったりと合って居ませんが、この時に合わせたかったのでしょうね。両方ともにライブ録音で、オーディエンスの声や回りの音なども入っています。Charlemagne PalestineのTony Conradに対する哀悼がしっかりと伝わってきます。



2人は60年代より共演も多く行っています。Charlemagne Palestineのミニマルに実験的なドローン要素の影響を与えたのはTony Conradとされています。まだ、まだ、この2人の埋もれた音源が多数あると思うので、是非リリースして欲しい! 尚、Charlemagne Palestineは現在も勢力的に活動を行っています。

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Tony Conradについては、こんな記事も書いていました。