ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Leonore Boulangerのおもちゃ箱をひっくり返したような不思議な世界

Léonore Boulanger | ディスコグラフィー | Discogs

舞台音楽、実験音楽ペルシャ音楽などを学んでいたフランスの女性シンガーLeonore Boulanger。彼女の2019年にフランスの先鋭的なサウンドを奏でるレーベルLe Sauleからリリースされた4作目「Practice Chanter」をピックアップします。

 

Leonore Boulanger / Practice Chanter

「聖歌の練習」と題された本作は、民族音楽や現代音楽、シャンソンなどをミックスしてエクスペリメンタルに鳴り響くアヴァン・ポップ。ギター、トイピアノ、サックス、ハルモニウム、パラフォン、ンゴニ、マウスハープといった多彩な楽器なども駆使し、擬声語や日本語までも持ち出してきています。これらの要素をカット&ペーストして、モザイクアート的なサウンドの組み立てと壊しを交互に行いながら心に染みこんでくる傑作。まさに、おもちゃ箱をひっくり返したような不思議な世界。変幻自在のヴォーカルとサウンドに魅了されています。遊び心がいっぱいの素晴らしいアルバムです。

 

このサウンドを支えているのが、Jean-Daniel Botta、Laurent Sérièsの2人であります。この2人に加えてレーベルメイトであるBégayerのLoup Ubertoなどのゲストが参加しています。特にJean-Daniel Bottaはデビュー時からの付き合いで、ファースト、セカンドは彼の作曲した曲をLeonore Boulangeが歌うことから始まっています。前作あたりから曲作りにも参加しているようです。これまでのフォーキーな雰囲気でヴォーカルを聴かせるのも素晴らしいです。ただ、彼女が積極的に曲作りに参加して自由な発想から生み出された「Practice Chanter」の方がより刺激的に感じてしまった。