ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

ウクライナのシンガー・ソングライターSvitlana Nianio(Світлана Охріменко)、彼女の不思議な世界に魅了されています

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ウクライナを拠点に活動しているシンガーソングライターSvitlana Nianio。90年代初期にチェンバー・サイケ・フォークバンドCukor Bila Smertで活動していました。Cukor Bila Smert解散後は、1996年にOleksandr Yurchenckoとのコラボレーション作品「Знаєш Як? Розкажи、Лiсова Колекцiя」をカセットにてプライベート・リリース。1999年にソロ・デビューアルバム「Kytytsi(Китиці)」をポーランドのレーベルKoka Recordsからリリースしてからは、ポーランドやドイツでも活動を始めます。90年代はSvitlana Nianio名義としてアルバム2枚のみで、2006年に音楽シーンから姿を消してしまうのです。

 

しばらくの間、音楽活動もしないで遊んでいたと語るSvitlana Nianioは、2015年に突如Soundcloudで新曲の配信を行ったのです。2017年にはウクライナやイギリスでのフェスでライブ活動も始めます。それに合わせるかのように再評価もされ、過去のアルバムがリイシューされるようになりました。ただ、すぐに売り切れてしまい現在入手困難になっている状況です。そんな中、昨年には2016年録音の音源を纏めた新作アルバム「Zviy(Звій)」がカセットでリリースされています。今回はSvitlana Nianioについて、色々と書き綴っていきたいと思う。

 

Svitlana Nianio & Oleksandr Yurchencko / Znayesh Yak? Rozkazhy、Lisova Kolekciya(Світлана Охріменко、Олександр Юрченко / Знаєш Як? Розкажи、Лiсова Колекцiя)

 

1996年にカセットでプライベート・リリースされたこのアルバムは、A面が1995年録音のZnayesh Yak? Rozkazhy、B面が1996年録音のLisova Kolekciyaの2作品をカップリングしてウクライナ語で表記されています。Znayesh Yak? Rozkazhyはカセットとして2017年にウクライナのレーベルDelta Shockよりリイシュー。その後、2020年にLPとしてイギリスのレーベルNight SchoolとSkireより共同リリースとなる。一方、Lisova Kolekciyaも2017年にSkireよりLPとしてリイシューされます。尚、彼女と共にその傑作を作り上げた相方Oleksandr Yurchenkoは、健康上の問題で音楽業界から引退しているようです。ただ、彼の90年代音源が昨年リリースされています。早く復活して、Svitlana Nianioとのコラボレーションを再開して欲しいです。

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Svitlana Nianio & Oleksandr Yurchencko / Znayesh Yak? Rozkazhy(Світлана Охріменко、Олександр Юрченко / Знаєш Як? Розкажи)

 

カセットの方はすでに完売でLPをDiscogsで購入。リリース元のNight SchoolとSkireでは、この2月にLPを追加生産することになっている。すぐに完売になるので興味のある方は早めの購入をお勧めします。Oleksandr Yurchenkoのパーカッシブに鳴り響くハンマー・ダルシマーの音に絡むSvitlana Nianioの不穏で甘美な歌声とカシオ・キーボードのチープな音。これらをミックスしてエキセントリックでアヴァンギャルドな雰囲気を醸し出しています。

 

Svitlana Nianio / Lisova Kolekciya(Світлана Охріменко / Лiсова Колекцiя)

 

入手困難でDiscogsで見つけた時には $135.00の高値になっていたが、思わず購入してしまった。Oleksandr Yurchenkoとのコラボレーションであるが、LP化になった時にSvitlana Nianioの単独名義になっている。2台のカシオ・キーボードとサウンドエフェクトを絡めたミニマル・サウンドにSvitlana Nianioの歌声が伸びやかに映える展開。美しくアンビエントに鳴り響いています。こちらも素晴らしいアルバムです。

 


Svitlana Nianio / Kytytsi(Світлана Охріменко / Китиці) 

 

1999年のソロ・デビューアルバム。2018年にオリジナルの版元Koka RecordsよりCDにてリイシュー。このKoka Recordsはポーランドウクライナアンダーグラウンドミュージックと伝統音楽を専門としています。Svitlana Nianioのアルバムの中では比較的に購入し易いです。日本のArt Into Lifeで購入。この記事を書いている時点でまだ在庫を持っていました。東欧フォークといった感じで、子守歌的な雰囲気もあって安心して聴いていられる。ピアノ、ギター、アコーディオン、ハープ、弦楽器を組み合わせてクラシック、ミニマルの要素も駆使して穏やかに鳴り響く。パッケージも素晴らしく3面の紙ジャケ仕様で18ページのブックレットが貼ってあり、8枚のイラスト・カードが封入されています。たぶん本人が書いたイラストなのでしょうね。

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Svitlana Nianio / Zviy(Звій)

 

昨年新作として2016年録音作品をベルギーのレーベルSloow Tapesより限定70本のカセットでリリース。瞬殺廃盤となったが、昨年11月にDiscogsで見つけて注文をする。ところが輸送中に紛失して未だ届かず。返金はして貰ったけどね。デビュー作以来のアルバムとなる本作はSoundcloudで聴くことが出来る。東欧フォークの雰囲気を醸し出しながら、ミニマルに纏め上げた傑作。彼女の不思議な世界に魅了されています。これまでのアルバムの集大成とも言えるだけに、何としても欲しい!  リリース元Sloow Tapesにリイシューのお願いメッセージを送っているけど・・・


 

現在も様々なメンバーとセッションやコラボレーションを行っているようです。それらが早く形となってリリースされるようになって欲しいですね。