ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Alan Lichtの2001年リリース「Plays Well」がリイシュー。 2000年代ベスト・アルバム級の傑作!

Alan Licht | Family Vineyard

ニューヨークのアヴァンギャルド・ギタリストAlan Licht。 80年代後半にパンクバンドLove Childとしてデビューし、90年代中頃にアート・ロックバンドRun Onで活躍します。Run On在籍時よりソロ活動を行い、Loren Connorsのコラボレーターとして多くのアルバムを残しています。恩田晃、灰野敬二、白石民夫といった日本人アーティストとのコラボレーションも行っており、今現在も幅広く活動中です。最近になってBandcampを開設していたことを知りました。その中で2001年のアルバム「Plays Well」が昨年CDでリイシューされていたことを確認。Alan Lichtの最高傑作だけに、これは取り上げるしかないです。

 

Alan Licht / Plays Well

当時、Run Onのギタリストとして、またはLoren ConnorsのコラボレーターとしてAlan Lichtの存在はは知っていたが、彼のCDを入手することは困難であった。2001年にリリースされた本作を今は無きワルシャワで見つけた時は、本当に嬉しかったことを思い出してしまった。36分越えの大作2曲の収録で、何れもライブ録音ですこのアルバム1枚でAlan Lichtの音楽家としての方向性を凝縮した内容であり、さらにウィットに富んだ遊び心をしっかりと表現できる人であることを再確認してしまった。個人的には2000年代ベスト・アルバム級の傑作でもあります。アルバム・クレジットを見るとTechnical AssistanceでRun OnのメンバーRick Brown、Sue Garnerの名前が上がっています。Alan Lichtのソロ活動のおかげで、Run Onとしての活動が出来なくなったことを考えると、彼の人徳のなせる業なのでしょうね。

Remington Khan

1997年のLoren Connorsとのジョイント・ライブでのAlan Lichtソロ・パートからの1曲です。フォーキーなフレーズをミニマルさせながら、徐々にノイジーなギターを絡めながらコズミックでサイケデリックな世界を築き上げてきます。最後は自由奔放に暴走したギターがカオスティックに鳴り響く。幻想的な雰囲気を醸し出しながらトランス状態へと引きずり込む展開は本当にヤバいです。この感覚を是非とも味わって欲しい!尚、この曲はライブでの定番曲ということもあって、2003年リリースの「A New York Minute」でも2000年のライブ音源が収録されています。Alan Lichtを代表する1曲と言って良いでしょう。

 

The Old Victrola  

1995年、1997年、2000年のライブセットから抜粋した音源をエンドレスで繋いでいます。Captain BeefheartとDonna Summerの曲をサンプリングしながらドローン・ミニマルミュージックを展開。冒頭からCaptain Beefheartの”Well”でスタートして、そこに不穏でノイジーなギターが掻き鳴らされる。その後、Donna Summerの”Dim All The Lights”の声を長く伸ばした部分を10分以上延々と引き延ばして本曲へ突入する。最後の方はAlan Lichtのヴォーカルで幕を閉じるユニークで不思議な曲です。この曲を聴いた時は、Terry Rileyの2000年に発掘音源としてリリースされた「You're Nogood」の手法をパクってしまったのかと思った。”You're Nogood”は60年代の未発表発掘音源なので時間的には無理なんですけどね。もし、Alan Lichtと話が出来たなら、この辺りを聞いてみたいとずっと思っていました。

 

The Old Victrolaでサンプリングした Captain BeefheartとDonna Summerの曲、それと私がパクりと勘違いしたTerry Rileyの曲も合わせてアップしておきます。


 

 

Alan Licht Bandcampでは、新作カセット・アルバム「A Symphony Strikes the Moment You Arrive」もアップしていました。注文済みで間もなく届く予定です。こちらも楽しみです。