ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Richard Youngsの今年リリースされた2枚のレコードより

Richard Youngs - Alchetron, The Free Social Encyclopedia

毎年多くのアルバムをリリースしているイギリスのエクスペリメンタル系アーティストRichard Youngs。今年も私の知る限りでは、コラボレーションも含めフィジカルとして5タイトルリリースしている。デジタルなどでも公開になっているので、すべて購入する必要性は無いけど、これまでにレコードを2枚購入している。これを書いている途中でもう1枚ポチッとしてしまった。海外からなので来年に届く予定。今回はすでに手元にある2枚のレコードを取り上げます。

 

Richard Youngs / Holograph

Glass Modernから今年4月にリリース。Glass ModernのレーベルオーナーDave Barkerから2020年10月23日の金曜日にアルバム制作の依頼を受けて、翌日土曜日より制作開始。音源は 10月27日に終了してDave Barkerへと送られて、その後、Colin Lloyd-Tuckerがマスターを行った。この様な “Holograph” の制作過程がアルバムジャケットに書かれています。アルバム制作の依頼を受けた時には音源のストックは無かったとも書いている。

 

Richard Youngsはヴォーカル、ギター、ベース、リズムボックスを駆使して1人で録音しています。フォーク、スペース・ロック、トロピカリアといった雰囲気を感じさせつつ、シンプルな演奏でリズムボックスがボコポコ鳴り響く中で、ヴォーカルがより一層際立つ作りです。奇をてらった仕掛けはないけど、彼の淡々とした歌声が心に突刺さってくる傑作です。

1人での録音とは言え、アルバムを4日間で仕上げてしまうことに驚いている。聴くごとに新鮮味が増してくる感じです。時間を掛けて丁寧に作り上げるよりも、即興でその時のインスピレーションを大切にしているRichard Youngsの思いも伝わってくるアルバムです。

 

 

Richard Youngs / CXXI

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オーストラリアのOren Ambarchiが設立したレーベルBlack Truffleより今年9月にリリース。レーベルカラーを意識したのか、アヴァンギャルドなドローンアルバムとなっています。タイトルのCXXIはローマ数字の121であり、Richard Youngs の121作目のリリースです。そしてエレクトロニクスを駆使して121のマイナーコードを中心にサウンド構築されているとのこと。アルバムジャケットのグリッド・デザインによるコード表は、本人によるアート・ワークです。

 

エレクトロニクスにフィールドレコーディング素材やテープ音源を加えた全2曲。1曲目の“Tokyo Photograph” では本人のヴァーカル、Sophie Cooperのトロンボーンもフィーチャーして、メランコリックにゆらゆらと鳴り響いています。続く “The Unlearning” はよりミニマル・ドローン色を強調してゆっくりと白昼夢を見るがごとく桃源郷へと導いてくれます。

“CXXI” は初のBlack Truffleからのリリースです。Oren Ambarchiとのコラボレーションもこれまで有りそうで無かったので、これを切っ掛けに2人で何かやって欲しい期待感が出てきました。今後がちょっと楽しみですね。

 

 

 

因みに、現在注文していて来年届くアルバムは、Fourth Dimension Recordsからリリースされた "Iker" です。アコースティック・ギターを中心とした野外レコーティングらしい。届くのが楽しみです。

 

Richard Youngsは3年前にも取り上げています。