ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Play The Red Krayola Live 1967

Art & Language: Letters to The Jackson Pollock Bar in the Style of The Red Krayola

Spiritualizedの2人、J. SpacemanことJason Pierceと John Coxon によるデュオ・アルバムがリリース。2019年10月にNYで行われたArt & Language展のために制作された音源が、 John CoxonのレーベルTreaderよりレコード・オンリーでリリースされました。何とアルバムタイトルが “Play The Red Krayola Live 1967” となっています。

 

コンセプチュアル・アートの集団として1969年に結成されたArt & Languageは、The Red Krayolaとのコラボレーションを通じて音楽とアートのコンセプトを訴えてきました。80年代初期からThe Red Krayola with Art & Languageとして、これまでに6作リリースしています。Art & LanguageとってThe Red Krayolaは外せない存在であります。ただ、今回のArt & Language展にThe Red KrayolaのMayo Thompsonは参加していません。ライブ映像は流れていますが、実際にライブを行ったのはJason Pierceと John Coxonの2人だけです。2人はThe Red Krayolaの代役なのか?ちょっと気になりますね。

 

J. Spaceman、John Coxon / Play The Red Krayola Live 1967

本作は1967年にAngry Arts Festivalで行われたThe Red Crayolaのライブセットをカヴァーするという企画です。当時はKの KrayolaではなくCのCrayolaの表記でした。初期のThe Red CrayolaはKよりもアヴァンギャルドでカオティックなフリーサイケ・サウンドを奏でていました。ライブになるとさらに即興な要素が加わって過激で再現不可能なパフォーマンスを行っていた。このAngry Arts Festivalでの音源は “Live 1967” として1998年にDrag CityよりCDでリリースされている。Jason Pierceと John Coxonはオリジナル音源を個別に聴き、2人の思い描くThe Red Krayola Live1967を作り上げてしまったのです。

 

The Red Crayolaのオリジナル・ライブは午後に1回、夕方に2回行われました。1セット1曲の3曲による構成です。ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルの即興演奏にフェクターによる電子的なノイズを絡めてソリッドでタイトに鳴り響かせています。それに対して、Jason Pierceと John Coxonの2人は、2本のギターを中心にして、カリンバ、ミュージック・ボックス、ハーモニカ、メトロノームを駆使してジャンクでノイジーに攻め込んできます。こちらも3曲収録ですが、オリジナルとは似ても似つかない展開です。でも、これはカヴァーなのです。50年以上前の曲を現代に蘇させようとした2人のメッセージが込められていると思う。如何にしてフリークアウトをさせて楽しませるかと言うことに関しては一緒です。Mayo Thompsonも喜んでいるに違いない。

 

尚、アルバムジャケットはArt & Languageによる2018年作品とのことです。

 

 

 

The Red Crayolaによる1967年Angry Arts Festivalのライブ音源です。1998年にDrag CityからCDでリリースされた時は、3曲とも収録されていますが、短めに編集されている。その代りに、同じく1967年Berkeley Folk Music Festivalのライブ音源が収録された2枚組CDとなっています。

 

 

Art & Language展のダイジェスト映像です。Art & Languageの創設メンバーであるMichael BaldwinとMel Ramsdenを中心にディスカッションなどが行われています。54分ぐらいからJason Pierceと John Coxonのライブ映像も観ることが出来ます。