ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

80年代に活躍した フランスのエスノ・インダストリアルバンド Vox Populi!のアーカイブ音源集!

80年代に活躍した フランスのエスノ・インダストリアルバンド Vox Populi!は、1981年にパリ在住のAxel Kyrouによって結成。その後、彼のパートナーとなるイラン・テヘランからの移住者である女性シンガーMitraとその弟Arash Khalatbariらが参加します。カセット音源を中心に90年代前半まで活動します。アンダーグラウンド・シーンで「陰のヒーロー」と言われていたカルト的な存在でもありました。2000年代後半より様々な音源がリリースされることで、やっとVox Populi!の全貌が把握出来るようになりました。今回、全盛期の1986年から1990年までのアーカイブ音源集がヴァイナル・リリースされました。

 

Vox Populi! / Psyko Tropix

イギリスのレーベルTouch Sensitiveよりリリースされた “Psyko Tropix” は、クラウトロック、インダストリアル、サイケデリック、フォーク、サウンドコラージュなど様々なサウンドを取り入れて中東、東洋と言った雰囲気を醸し出している。そこに彼ら独特のポップなフィーリングが加味された素晴らしい1枚となっています。

 

本作のプロデューサーでライナーノーツも書いているMark Reidは、Axel KyrouとMitraと色々と話し合いを積み重ねながら全11曲を収録しています。その中で2人が2017年に新たなるメンバーとセッションを行った秘蔵音源(Mush Dubby Gnarls & Vrooms、Psycho Tropics、Ethno Space Trek)3曲も収録されています。30年近く録音時期が空いているにも拘わらす一貫性を持って聴くことが出来るのは、マスタリングを行ったRupert Clervauxの技なのでしょう。こうした裏方さんのVox Populi! に対する思いも伝わって来ます。何よりも2人が密かに音楽活動を行っていたことにも興味芯々です。今後、新作なども期待出来ますね。

同じインダストリアルバンドでもイギリスのThrobbing Gristleに代表されるノイズ系列と一線を画すところは面白いです。エスノ・インダストリアルバンドとカテゴライズされることに違和感を持っているAxel Kyrouは、「我々はすべてのアイデアを録音した。常にカセットやリールを回していた。フリーキー、オルタナ、エクスペリメンタル、インダストリアルなど、様々なスタイルのものを作った。私たちにはルールも計画もなく、遊びと楽しみが主な動機でした。多くの人がそれを音楽で感じられると思う。」とも語っています。

 

ジャケットは80年代後半の写真で左よりArash Khalatbari、Axel Kyrou、Mitra、Pacific 231Pierre Jolivet)、FR6 Man(Francis Manne)と映っています。Pacific 231はソロ活動も行っており、Vox Populi!のサポートメンバーでありコラボレーターでもありました。現在はフランスからアイルランド・ダブリンを拠点としてインダストリアルからエクスペリメンタル・ミュージックを中心に今も多彩な活動を行っています。