ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

フォークと即興ジャムセッションを融合したThe Mountain Moversの新作 “Walking After Dark”

USニューヘイブンを拠点に活動しているガレージ・サイケバンドThe Mountain Movers。Dan Greene(ヴォーカル、ギター)、Rick Omonte(べース)の2人が中心となって2006年にアルバム・デビューします。2011年にKryssi Battalene(リード・ギター)、Ross Menze(ドラム)が参加したことで、バンドとしての方向性をしっかりと打ち出していくことになります。このメンバーとなってからの5作目、The Mountain Moversとしての9作目となる新作 “Walking After Dark” がTrouble In Mindより2LPとしてリリースされました。本日はこのアルバムを取り上げます。

 

The Mountain Movers / Walking After Dark

本作は、Dan Greeneの歌い上げるストイックで叙情的なサイケ・フォーキーな曲と各メンバーの即興ジャムセッションから作り上げた曲が、バランスよく融合した作品となっている。これまでのギター、ベース、ドラム、ヴォーカルに拘ることなく様々な楽器、シンセサイザー、ドラムマシーン、オートハープ、多彩なパーカッションなどを駆使しています。コロナ・パンデミックでライブが行われない状況の中でスタジオに籠り、その中から生まれる実験的な衝動を自由に録りためていたようです。

Dan Greeneのヴォーカル曲は、60年代70年代の雰囲気を醸しながら、淡々と何かを悟す感じで心に沁み込んでくる。Kryssi Battaleneのノイジーなギターワークを抑えながら、サイケでトリップ感たっぷりのフォークへと向かっている。一方で即興ジャムセッションのインスト曲は、エレクトロニック、ミニマル、コズミック、ドローンといった要素を取り入れアンビエントに鳴り響く。この二つの側面を違和感なく聴かせてしまう不思議な世界を構築。The Mountain Moversとしての基本路線は何も変わっていなけど、様々な楽器を駆使したことで表現の幅が広がり、より桃源郷へと近づいた素晴らしいアルバムです。

 

Rick Omonte、Kryssi Battalene、Ross Menzeの3人は、サイケ・ノイズバンドHeadroomとしても活動している。今回HeadroomのメンバーでもあるStefan Christensenがファミリー・アドバイザーとしてクレジットされています。彼はレーベルC/Site Recordingsのオーナーであり、ソロ活動を含めて様々なプロジェクトも行っている。この9月にソロとしての新作 “In Time” がリリース。The Mountain Moversのメンバー全員が参加してアルバムを盛り上げています。こうした人脈も非常に興味深いところでありますね。