Beckの6年振りの新作「Morning Phase」を聴く。今回は2002年リリースの「Sea Change」の時に共演したミュージシャンと再び一緒にレコーディングしたということだが、私が買った輸入盤CDには一切クレジットがない。雑誌のインタビューによると、セルフ・プロデュースで大部分はひとりきりでやったと書かれている。他の人を入れてやりたかったとも言っているが、この6年間のパーソナルな思いを完成させるには、自分でやるしかなかったのだろうと個人的には思う。まさに、ポジティブに自分を解放したアルバムなのである。
Beckというと様々な音楽テイストを、奇想天外なギミックで散りばめるといったイメージだが、今回はシンプルに彼のソングライティング、そしてヴォーカリストとして力量をまざまざと魅せつけられた感じである。ゆっくりと浮遊感溢れるサウンドは、アンビエントの雰囲気で心地よく包みこんでくれる。夜明け前の、さあ、これからといった時にやさしく鳴り響く。絶望的な闇から脱したBeckの新たなるスタートとしては、申し分のない傑作である。
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Beck - Morning w/ lyrics - YouTube