ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Fuji Rock Festival 2024 My Time Table

フジロックまであと2週間です。自分が観たいものを纏めてみました。実際、どうなるかは現地に行ってからです。無理せずに楽しみたいと思います。

 

https://www.fujirockfestival.com/artist/timetable/26

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https://www.fujirockfestival.com/artist/timetable/27

 

https://www.fujirockfestival.com/artist/timetable/28

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Ben Chasnyのヴォーカリストとして進化が感じられるSix Organs Of Admittanceの新作

アコースティック・ギターの巨匠John Faheyのフォロワーとしても知られ、2000年代前半のフリーフォーク・シーンの中心的存在として名を知られるようなったBen Chasnyのソロ・プロジェクトSix Organs Of Admittance。新作 “Time Is Glass” がシカゴのレーベルDrag Cityよりリリースされました。

 

Six Organs Of Admittance / Time Is Glass

本作はBen Chasnyの故郷であるカリフォルニア州ハンボルト郡の自宅にて制作されました。山々の自然を満喫し、愛犬と散歩しながらリラックスした環境の中でアコースティック・ギターを中心とした作品となっている。この10年は様々な要素を取り入れて新たなエネルギーを見出してきた。その象徴が2021年リリースのエレクトロニクスとエレキギターによるハイブリットな前作 “The Veiled Sea” であり、2020年にデジタル配信され2023年にヴァイナルとしてリリースされたアンビエント・ドローン作品 ”Sleep Tones“ であった。それらをリセットしてしまったのであります。

近年のロック的ハード・エッジな部分を抑えて、アコースティック・ギターとヴォーカルが鳴り響く。Ben Chasnyの歌声がファルセットを駆使しているため、より中性的で神秘に聴こえる。恍惚としたヴォーカル・メロディに対して、シンプルながらバックの演奏が緩急をつけてバランスよく構成されている。シンガーソングライターとしての真骨頂も見られ、ギタリストではなくヴォーカリストBen Chasnyの魅力を引き出した1枚。

初期のサウンドに原点回帰したように思われるが、そうではない。今の生活環境を意識した音作りがされており、そこにヴォーカリストとして進化したBen Chasnyの歌声が絡む世界。英国フォークミュージックの影響も感じられ、心地よく癒し空間へと導いてくれます。派手さはないが、美しくじっくりと心に沁み込んでくる。浄化の息吹も感じることが出来て、これまでに無かった感覚で攻め込んでくる素晴らしいアルバムです。

Ben ChasnyはSix Organs Of Admittanceとして様々なコラボレーションも行っています。それと本人名義Ben Chasnyとしてもアルバムをリリースしているだけに、今後どのように変化するのか気になりますね。

 

 

前作 “The Veiled Sea” について取り上げています。

 

 

2024年6月のディスカホリック

フジロック2024まで1か月を切りました。今年も3日間、無理せずにゆっくりと楽しみたいと思う。7月25日に越後湯沢に入ります。宿は昨年と同じく駅からすぐ近くの温泉宿です。前夜祭は気分しだいだけど、宿の温泉でのんびりしたら、動けないでしょうね。会場の苗場までは、シャトルバスの利用なので深夜帯は諦めている。気になっているのが、この時点で未だ正式なタイムテーブルの発表がないことです。今年は色々とあっただけに、主催者側も大変なのは察しできますね。でも、何とかフジらしさを維持したラインナップに納得です。最近の自分は、ちょっとお疲れ気味であります。なので、後は体調を崩さずに元気に参加できればと思っている

 

2024年6月のディスカホリックは、CD1、カセット1、レコード6の計8作品を購入しました。まだ、しっかりと聴けてないものが多いです。それと、購入するだけではなく売ることも考えなくてはいけません。まずは物置にある15年以上段ボール箱に入れて放置してあるCDの処分です。取り合えず1箱、何が入っているのか分からないので、恐る恐る開けてみる。区別して入れた訳でないため、色々とごちゃ混ぜに入っていた。こんなものも買っていたのか、これは何なのか、と思うとつい聴いてしまって作業が進まない。何とか選別をして某レコード店の買い取りセンターに連絡してCD用段ボール箱2個を送って貰い、CDを詰め込んで送り返した。200枚以上あると思うけど、価格が付くのかな? 前回2018年に買い取って貰った時は、240枚送って101枚を金額21,788円で買い取ってくれました。いくらになるのか楽しみですけど、期待は出来ませんね。物置にはまだまだ、CDの入った盤ボール箱が大量にあるので、徐々に処分していくしかないと思う。

 

Pumice / Miserable Poison(2CD) 購入先Discreet Music 購入価格€20,32(3,597円)

ニュージーランドのアンダーグランド・シーンにて活動するローファイ・フォークロックバンドPumiceの1996年から2021年の膨大な録音からのコンピレーション盤。

 

 

Blod / Du Är Välkommen(Cassette) 購入先Discreet Music 購入価格€14,32(2,535円)

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スウェーデンのシンガーソングライターBlodの2024年6月8日のライブ音源。中古カセットを使用した限定40本。

 

 

Roy Montgomery & Friends / Broken Heart Surgery(Vinyl) 購入先Discreet Music 購入価格€30,32(5,371円)

80年代から活動しているニュージーランド出身のギタリストRoy Montgomeryの新作。

 

 

Juho Toivonen "Sisarusten Toistuva Uni(Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格4,367円

レーベルAKTI Recordsのオーナーでもあるフィンランドのエクスペリメンタル・アーティストJuho Toivonenの新作。

 

 

Arv & Miljö / Jorden F​ö​rst(Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格4,367円

スウェーデンのレーベルDiscreet MusicオーナーでもあるMatthias AnderssonのプロジェクトArv & Miljo。2021年CDRリリースされていたJorden F​ö​rstのリイシュー・レコード。

 

 

Arnold Dreyblatt / Music From The Resting State(Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格4,367円

Arnold Dreyblattとしては、これまでになかったインスタレーションによる新作。

 

 

The Sunburned Hand of the Man / Nimbus(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp(Chalkys JP) 購入価格5,958

Three Lobed RecordingsよりリリースされたThe Sunburned Hand of the Manの新作。

 

 

Kramer&Various / Rings Of Saturn(7inch Vinyl×6 Box Set) Tower Records Online 購入価格15,890円

Kramerに嵌っています。6人の様々なミュージシャンとのコラボレーションを7インチに纏めた6枚組木箱BOXセット。David GrubbsJad Fair、Paul Learyは驚かないけど、Britta Phillips、Rob Crowはおっ!と思うよね。

 

 

Still House Plantsのヘビィーでミニマルに構築されたスロコアな世界!

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Jessica Hickie-Kallenbach(ヴォーカル)、Finlay Clark(ギター)、David kennedy(ドラム)によるイギリスのインディーズ・バンドStill House Plants。2015年に同じ美術大学で知り合って、このバンド結成している。今年4月にロンドンのレーベルBisonよりリリースされたサード・アルバム “If I Don​’​t Make It, I Love U” が、これまでの彼らのサウンドを最も完全に体現した作品となっている。

 

Still House Plants / If I Don​’​t Make It, I Love U

ヴォーカル、ギター、ドラムの最小限による音数で、ストイックに反復を繰り返しながら恍惚の高みへと昇りつめる。サウンドの要となっているFinlayのギターとDavidドラムからは、変幻自在に掻き鳴らされるジャムセッションにのような雰囲気を醸し出す。そこにJessicaのソウルフルでブルージーな歌声が絡む世界。この3人の力量が一つになって攻め込んで来る。様々な要素を感じさせつつ、ヘビィーでミニマルに構築されたスロコアなサウンドが独自のグルーブ感を生み出す。シンプルが故に彼らのエモーションが、ダイレクトに伝わってくる傑作!素晴らしいです。

“静かなる観葉植物” となるバンド名とは裏腹に攻撃的でアクティブな演奏を繰り返している。アルバム名の ”もしうまくいかなくても、僕は君を愛している“ から一瞬女々しさも感じたが、どんな状況になってもStill House Plantsとしての結束力は変わらないと言ったポジティブなメッセージであるように思えた。最初にジャムセッションに近いと書いているが、その場限りの即興的なことではなく何度も繰り返してセッションを行っている。一つの音に対する拘りの結果として、彼らにしか出せない独自のグルーブ感を生み出しているのも確かです。

 

海外メディアの評価も高く、初回分のレコードは完売。すぐに追加プレスをしたのとことです。今後も楽しみなStill House Plantsであります。最後に少し前のライブ映像をアップしておきます。

 

 

フランスBégayerの新作、アヴァンギャルドでありながらも、ポップさも兼ね備えた異形の音響空間!

2015年頃よりLoup Uberto、Lucas Ravinale、Alexis Vineïsの3人によって結成されたフランスのアヴァンギャルドサイケデリックバンドBégayer。フランス語で、どもり、吃音を意味したバンド名で、Loup Ubertoの個性的なヴォーカルを中心に、様々な要素をモチーフにしたサウンドが魅力です。2022年に2人のメンバーJean-Philippe Curtelin、Etienne Foyer が参加して、5人編成となっている。本日は今年3月に新作 ”Évohè B​è​gue” がリリースされたので、これを取り上げたいと思う。

 

Bégayer / Évohè B​è​gue

本作はフランスのレーベルVia Parigi、Le Saule、Murailles Musicによる3社共同リリースで、Bégayerに対する期待感を感じる。これまでのシャンソン、ブルース、民族音楽を軸にミックスしたアブストラクトなサウンドであるが、よりノイジーでパーカッシブに鳴り響く。リュート、ベゲナ、ウトガルドン、バグパイプ、スルドといった民族楽器を駆使しつつ、エレクトロニクスを巧く取り入れ催眠術のようなトランス状態に導いていく。そこに脱力感に満ちたLoup Ubertoの軽い雄たけびが、不気味に絡みつく不思議な世界です。

ミュージック・コンクレート作品であるが、ロックやジャズなどの要素も滲ませている。個人的にはCaptain BeefheartのTrout Mask ReplicaやBrian EnoがプロデュースしたNo New Yorkあたりの雰囲気を感じてしまった。アヴァンギャルドでありながらも、ポップさも兼ね備えた異形の音響空間を構築。最高に素晴らしいです!

 

アルバム ”Évohè B​è​gue” からの1曲です。

 

最近のライブ映像です。

 

 

2021年にリリースされたベルギーのシンガーソングライターAntoine Loyerとのスプリット・アルバム “Sauce chien et la guitare au poireau” について書いています。

 

 

2024年5月のディスカホリック

今月クレジットカードの不正アクセスがありました。幸いにもクレジット会社のセキュリティが未然に防いてくれました。夜中の2時半ぐらいにショートメッセージで本人確認の連絡が来ました。本人で無いことを伝えるとすぐにカード使用停止になりました。日中にコールセンターに電話をして、最近使用した分の再確認をして新しいカードを作りました。皆さんもクレジットカードの扱いには気を付けてくださいね。

 

2024年5月のディスカホリックは、レコード10、CD5の15作品の購入実績でした。クレジットカードの件もあって、今月は何とか国内で購入することが出来ました。といってもすべて通販なので支払いはクレジットカードですけど。円安の影響もあって海外から送料も高いので、欲しいものは国内で確保出来るといいのですが。

 

Claire Rousay / Sentiment(CD) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,420円

ギター、ヴォーカルを大胆に取り入れ、エクスペリメンタル・ポップを展開し始めたClaire Rousayの新作。

 

 

Innode / Grain(Vinyl) 購入価格Amazon.co.jp 購入価格5,486円

オーストリアの電子音響トリオInnodeの3ndアルバムとなる新作。

 

 

Shellac / To All Trains(CD) 購入先Linus Records 購入価格2,140円

先日惜しくも急逝したSteve Albini率いるShellac の10年振りとなる新作。

 

 

Still House Plants / If I Don​’​t Make It, I Love U(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格4,180円

ヴォーカル、ギター、ドラム編成によるグラスゴー出身アヴァン・ロック・バンドStill House Plants の3作目となる新作。

 

 

Gastr del Sol / We Have Dozens of Titles(3Vinyl BOX) 購入先Meditations 購入価格11,341円

解散から実に25年近くを経てリリースされたGastr del Solのアーカイヴ音源集。

 

 

Glass Beams / Mahal(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格4,400円

フジロック2024に出演するオーストラリア・メルボルンのミステリアスなビジュアルと東洋と西洋を掛け合わせた摩訶不思議な音楽で注目されている3人組Glass Beamsの最新EP盤。

 

 

Ride / Interplay(CD) 購入先Diskunion.net 購入価格2,151円

フジロック2024に出演するRideの新作。

 

 

The Jesus And Mary Chain / Glasgow Eyes(CD) 購入先Diskunion.net 購入価格2,200円

フジロック2024に出演するThe Jesus And Mary Chainの新作。

 

 

Six Organs Of Admittance / Time Is Glass(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格5,060円

Six Organs Of Admittanceの新作。

 

 

Elkhorn & Mike Gangloff / Shackamaxon Concert(Vinyl) 購入価格Amazon.co.jp 購入価格3,577円

Peltのフィドル奏者Mike GangloffとDrew Gardner とJesse Sheppardによるギター・デュオ Elkhornが2022年に行ったコラボレーション・ライブ音源。

 

 

Brannten Schnüre / Aprilnacht(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格4,400円

独エクスペリメンタル・ダークフォーク・デュオBrannten Schnüreの2014年リリースのカセット音源のヴァイナルによる再発。

 

 

Marion Cousin & Eloïse Decazes / Com a lanceta na m​ã​o(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格4,400円

現在のフランスを代表するふたりの女性ヴォーカリストMarion CousinとArltのEloïse Decazesによるコラボレーション。

 

 

Bégayer / Évohè B​è​gue(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格4,400円

フランスのLoup Uberto率いるBégayerの新作。

 

 

The Reds, Pinks And Purples / Unwishing Well(CD) 購入先Diskunion.net 購入価格2,200円

カリフォルニアのインディーズ・ポップ職人と言われるGlenn Donaldson率いるThe Reds, Pinks And Purplesの新作。

 

 

Steven R. Smith / Olive(Vinyl) 購入価格Amazon.co.jp 購入価格4,061円

ホルン奏者と木管楽器奏者などミュージシャン達とのアンサンブル・アレンジを中心としたSteven R. Smithの新作。

 

 

90年代インディーズ・シーンの異端児Kramerが、2021年に新作をリリースしていました。

Kramer – Shimmy-Disc

2020年頃よりKramerがShimmy Discを復活させていたことを今頃になって知った。その中で、1998年以来となる自身のソロアルバム “And The Wind Blew It All Away” を2021年にリリースしていた。本日は、このアルバムを取り上げたいと思う。

 

Kramer / And The Wind Blew It All Away

プロデューサーとしてGalaxie 500やLowを見出したことは、Kramerの功績だと思う。以外と知られていないのが、Daevid AllenとHugh Hopperを90年代に結び付けたのも、彼の人脈があってのことである。一方で女性を含めた人間関係や金銭問題で色々とトラブルを抱えていたのも確かで、90年代インディーズ・シーンで異端児とも言われていた。1998年に自身が運営するShimmy Discを売却してから、音楽を辞めようと思ったこともあったが、何とか断続的に活動を行っていた。そんな彼にソロアルバムの発表の場を提供し、Shimmy Discの復活をサポートしたのが、Joyful Noise Recordingsであった。

 

Joyful Noise RecordingsはKramerに対してJoyful Noise 2020 Artist In Residenceとして5枚組ボックス・アルバム "Make Art, Make Love, Die" を作ること提案する。その中の1枚が “And The Wind Blew It All Away” でShimmy Discより単品でリリース。これ以外は、映画音楽作品や朗読作品といった感じで、Kramerを多面的に捉えたボックス・アルバムであった。限定販売の為、すぐに完売となる。映画音楽作品 ”Music For Films Edited By Moths“ と朗読作品 ” Words & Music Book One“ もShimmy Discよりリリースしています。

Artist In ResidenceとしてJoyful Noise Recordingsから支援を受けたことに感謝しつつも、不安もあったのでしょうね。こんな発言もしています。音楽を通じて、また別のアーティストと一緒に音楽を作ることが出来るだろうか、このまま大晦日を迎えることが出来るだろうか、娘の声をもう一度聞くことが出来るだろうか、そして、愛を感じることが出来るだろうかと考えながら、このアルバム制作時の心境を語っています。この内省的な発言から90年代に破茶滅茶な行動していたKramerとは思えない感じがした。

 

そんな状況の中、痛々しくも美しく、最終的には希望に満ちたアルバムを作り上げました。全10曲収録でラスト曲のLeonard Cohennoカヴァー曲Winter Lady以外は、Kramerのオリジナル曲です。すべて本人ひとりで作り上げている。スロコアと称されるバンドを幾つも見出してきたKramerが、原点に戻ってサイケデリック・フォークを奏でていることに安心しました。ダウナーな彼のヴォーカルを中心にシンプルながらも洗練されたサウンドがいい感じに響き渡る。エクスペリメンタルやアヴァンギャルドといった要素を取り込ますに、妖しげな雰囲気を醸しながらKramerらしさを表している。様々な思いが蘇る傑作アルバムです!

 

 

 

KramerがShimmy Discを復活させていたことを知る切っ掛けとなったDaniel Johnstonの2000年4月のライブ音源について書いています。