ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

スウェーデンのアンダーグラウンド シーンで活躍しているBlodに嵌まっています!

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スウェーデンアンダーグラウンド シーンで活躍しているBlodは、Gustaf Dickssonのソロ・プロジェクトであり、ノイズ、インダストリアル作家の重鎮でもあるSewer ElectionことDan Johansson率いる即興アウトサイダー・アシッドフォーク・ユニットEnhet För Fri Musikのメンバーとしても活動しています。Blodとしては2014年より自宅録音を中心に多くのカセットやレコードをリリース。少量生産の為、入手困難であったが、最近になってリイシューされたことで注目を浴びる存在となっています。サイケやフォークを中心にアンビエントサウンドスケープなどユニークなアルバムを作っています。今年7月に2作品、8月に3作品の合計5作品も購入しています。これはもう取り上げて行くしかないですね。新作を中心に色々と紹介したいと思う。

 

Blod / Pilgrimss​å​nger

Discreet Musicよりレコードのみでリリースされた新作。タイトルPilgrimss​å​nger(巡礼者の歌)が示すように、スウェーデンキリスト教の文化から影響を受けた作品とのことです。スウェーデン語が分らない私には、歌詞の世界からどう影響を受けているのか理解出来ませんが、賛美歌的な雰囲気だけは充分に伝わってきます。

 

曲作りからオルガン、ギター、リコーダー、サックスなど全ての楽器をGustaf Dickssonひとりで行っています。Lo-Fiでポップでありながらも、不思議なカルト的要素も伺える。 彼のヴォーカルからは、何かを諭すような語りから歓喜に溢れた合唱まで多彩なアプローチを披露しています。LoopselのElin EngstromとAnna Johannessonが、ヴォーカルやコーラスとしてゲスト参加しており、Elin Engstromが歌っている “Låt Kärleken Slå Rot” には、不思議な力強さを感じてしまった。マスタリングはTreasury of PuppiesのJoakim Karlssonが担当しています。同郷で同じレーベルDiscreet Musicとはいえ、この人脈は興味芯々です。

 

曲のタイトルを書いたリーフレットやtexterと書かれた歌詞を掲載した小冊子が付いており、子供達と教会の写真が載っています。子供達の未来に対する願いや信仰についての思いでしょうか? 歌詞があるので、時間を掛けて翻訳するしかないのかな?聴き込んでいるうちに洗脳されてしまったかもしれませんね。ちょっとヤバいアルバムです。

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他に購入したBlodの4作品にについても簡単に紹介しておきます。

Blod / ABBA

2021年にDiscreet Musicより2枚組CDとしてリリース。Gustaf Dickssonの日常生活を収めたサウンドスケープ的な作品となっています。女性の嘆きのような会話から子供の鳴き声を絡めながら、ピアノ、ギターによる弾き語りです。たぶん、本人の奥さんや子供もでも出演させてしまったのか?12ベージの小冊子が付いて、幼い子供や女性のスナップ写真が掲載されています。ピアノの写真もあって、スウェーデンのメガ・ポップグループABBAのロゴが貼っていました。これがアルバム・タイトルとなったのですね。映画のワン・シーンでも観ているかのごとく聴き入ってしまった。

 

Blod// Livets Ord

2018年のカセットでリリースしていた音源をベルギーのAguirre Recordsが2枚組レコードで2020年にリイシュー。キーボードを中心としたアンビエントの世界。Gustaf Dickssonが参加しているEnhet För Fri Musikの影響を受けたようなくぐもった雰囲気が満載です。シンセに Jerker Jarold、フルートにEmelie Thulinがゲスト参加しています。

 

Blod / Knutna Navar

2018年にレコード、2019年にカセットでリリースされていた音源をベルギーのAguirre Recordsがレコードで今年になってリイシュー。先に紹介した3枚のアルバムが、それぞれ一つのコンセプトに基づいて制作されています。それに対して “Knutna Navar” は、Blod のすべての要素を凝縮して纏め上げた作品。Blod の原点と言っても過言ではない。まずは、“Knutna Navar” を聴いてから ”Pilgrimss​å​nger”、”ABBA”、”Livets Ord” を聴くのが、Blod の音楽性を把握しやすいと思った。

 

Blod / Leendet Fran Helvetet

2017年にレコード、カセットでリリースされていた音源を ベルギーのAguirre Recordsがレコードで今年になってリイシュー。本作も “Knutna Navar” 同様に様々な要素を絡めています。他の音源と比べるとフリーインプロヴィゼーションやジャズ色が強い一枚であり、その要素を軸にお馴染みのフォークやらポップスをミックスしたを独特の世界観を表しています。

 

Blod、如何でしたか? 年内にPilgrimss​å​ngerの続編がリリースされる情報もあります。今後もBlod(Gustaf Dicksson)の周辺を含めて注目していくしかないですね。今年はスウェーデンに嵌まっていて、当ブログでも幾つかのバンドやアーティストを取り上げています。参考までにアップしておきます。


 

轟音スペース・ジャムバンド化となったPrimordial Undermind の新作!

Primordial Undermindは90年代初頭にEric Arnによってロサンジェルスで結成され、ボストン、サンフランシスコ、オースチンと拠点を移し、2005年よりオーストリアのウィーンに定住して活動しているエクスペリメンタル・サイケデリックバンドです。Eric Arn以外のメンバーは流動的で、2001年リリースの “Beings Of Game P-U” では、CharalambidesのギタリストTom Carterも参加していました。今回、久しぶりの新作 ”An Imaginal Abydos“ が、Sunrise Ocean Bender RecordsとDeep Water Acresの2社よりレコード・オンリーでリリースされました。

 

Primordial Undermind / An Imaginal Abydos

スタジオ録音アルバムとしては、前作 “Last Worldly Bond” 以来の11年振りの新録となっています。2019年から2020年に地元ウィーンで録音されており、Eric Arnのギターとヴォーカル、Antonio Rosa de Pauliのベース、Xavier Scholzのドラムス、Christoph Johannes Weikingerのギターの4人編成です。Eric ArnとChristoph Johannes Weikingerの2本のギターがノイジーに掻き鳴らされ、Antonio Rosa de PauliとXavier Scholzのリズム隊が変幻自在にそれを支えています。

 

インプロヴィゼーション的なギターサウンドにグルーヴ感を兼ね備えたリズム隊がバランス良く絡んでいます。ストパンクからサイケデリック・ロックプログレ的な要素も醸しつつ、より轟音スペース・ジャムバンド化した感じで攻め込んでくる。30年の活動歴のあるベテラン・バンドで有りながら、ここまで刺激的なアルバムを作り上げたことに驚いています。ギターのフリークアウトがふんだんに盛り込まれた全7曲、フル・ボリュームで聴いて欲しい。貴方を宇宙の彼方へと導いてくれますよ!

この10年は、ソロ活動中心に様々なミュージシャンとのコラボレーションを行っています。Primordial Undermindについては、メンバーを集めて単発的にライブ活動も行っていたようです。Eric Arnがいうには、今のメンバーと2018年より様々な活動を行っているとのことです。パンデミックがあって、各メンバーも個々に活動を行っている中で、Primordial Undermind として4年も交流が続いているのは、初めてだとも語っています。Christoph Johannes Weikingerとのコラボレーション・ユニットOuter Vertexも進行中とのことです。今後も注目していくしかないですね。

 

 

エレファント6界隈のバンドのひとつ、米インディーズ・バンドElf Powerの新作!

Elf Power

Elephant 6界隈のバンドのひとつ、米インディーズ・バンドElf Powerの5年振り14作目となる新作 “Artificial Countrysides” がリリースされました。本日はその新作について取り上げます。彼らが未だにElephant 6界隈のバンド云々と言われているので、Elephant 6についても書いています。

 

Elf Power はジョージア州アセンズで結成。Andrew Riegerのソロ・プロジェクト的なことで、作った曲をライブで行うためにメンバーが集まりました。1995年リリースの自主制作されたデビュー・アルバム “Vainly Clutching At Phantom Limbs” が話題となり、1997年リリースのセカンド・アルバム “When The Red King Comes” では、同じくアセンズを拠点とするThe Olivia Tremor ControlのBill DossとWill Cullen Hart、Neutral Milk HotelのJeff Mangum、Of MontrealのKevin Barnesら総勢10名以上のメンバーが集まって制作された。

 

ここに集まったメンバー達が、アセンズを拠点としたインディーズ・バンドのコミュニティ集団Elephant 6の面々です。様々なバンドと情報交流しながら、一緒に盛り上がって行こうとしていた。バンドのメンバー、サポートメンバー関係無く、皆でひとつの作品を作り上げると言った雰囲気が満載であった。このアルバム “When The Red King Comes” はNYのメジャーレーベルArena Rockでリリースされたが、レーベル運営も行っていたElephant 6でもリリースされました。このあとの1999年 “A Dream In Sound”、2000年 “The Winter Is Coming” のアルバムもElephant 6サポートにて制作されている。

 

Elephant 6の中心的な役割を果してきたNeutral Milk Hotelが1999年に解散、The Olivia Tremor Controlが2000年に活動休止します。Elephant 6としての活動が停滞したのも確かです。このことで、2000年代に入ってからElf Powerのアルバムに物足りなさを感じる様になっていた。2002年に全曲カヴァー・アルバム “Nothing's Going To Happen” を、2008年にアセンズ出身のシンガーソングライターVic Chesnutt(1964-2009)とのコラボレーションアルバム “Dark Developments” をリリースするなど、様々な試みを行ってきた。その後も、定期にアルバムはリリースされていたけど、どうしてもElephant 6時代の勢いは感じられなかったのです。

 

Elf Power / Artificial Countrysides

新作 “Artificial Countrysides” は、前作 “Twitching in Time” 以来の5年振り14作目で新たに契約したYep Roc Recordsからのリリースです。このレーベルは1997年にGlenn DickerとTor Hansenによって設立され、近年のNick Loweのアルバムも手掛けています。Andrew RiegerはオーナーであるGlenn Dickerと20年近い交流があったとのことですが、今回やっとリリースすることになったようです。

 

ヴォーカルでギタリストのAndrew Riegerの他は、ギタリストのDave Wrathgabar、ドラマーのPeter Alvanos、キーボードプレヤーのLaura Carterが参加。Dave Wrathgabarはデビュー作からのメンバーで2000年代中頃にElf Powerを離れていますが、前作より復帰しています。Peter Alvanosは前々作からの参加です。Laura CarterはNeutral Milk Hotelのメンバーでもあり、デビュー作からアートワークを含めてマルチに関わっています。彼女はレコーディングのみで、ライブパフォーマンスは別のメンバーになっています。これまでになく少数精鋭のラインナップです。

 

Andrew Riegerは “試行錯誤の過程を経て、死ぬほどリハーサルをしてからレコーディングをするのではなく、思いつくままに曲を作っていく。その方が僕らにとってはより面白い音楽になると感じた” と話しています。甘くメロディックなヴォーカルラインを活かすために、演奏はコンパクトでシンプルに纏め上げています。Elf Powerの持っているサイケなフォーク・ロックの魅力を小気味よくストレートに掻き鳴らしている。様々なゲストが参加して、ああでもないこうでもないと言って行うよりも、Andrew Riegerの好きなようにやって、バックのメンバーがそれを支える構図であります。これが一番だと思った。Elephant 6時代を越えた傑作です!!

 

Elephant 6の御三家バンドと言えば、Apples in Stereo、The Olivia Tremor Control、Neutral Milk Hotelです。御三家バンドが活動していない現在、しっかりと活動し続けていたのが、Elf Powerであり、Of Montrealであります。Of Montrealについては、Kevin Barnesのキャラを活かして奇抜でユニークなパフォーマンスを行っており、音楽的にも高い評価を受けている。Elephant 6界隈のバンド云々と言われることは少なくなっている。Elf Powerについても、そろそろElephant 6界隈の・・・は要らないと思った。

 

とは言え、Elephant 6の90年代後半のインディーズ・シーンに与えた影響は大きい。御三家バンドを中心に再確認してみました。

Elephant 6 - Wikipedia

Elephant 6は米インディーズ・バンドのコミュニティ集団で、80年代後半にRobert Schneider、Bill Doss、Will Cullen Hart、Jeff Mangumの4人が学生時代にデモテープを作って、遊びでやり始めたことから始まっています。90年代に入るとRobert Schneiderはコロラド州デンバーを拠点にApples in Stereoを結成し、Bill DossとWill Cullen Hartはジョージア州アセンズを拠点にThe Olivia Tremor Control、Jeff Mangumはルイジアナ州ラストンを拠点にNeutral Milk Hotelとして活動します。

4人は各バンドのサポートメンバーでもあり、他のバンドとも様々な交流を行いながら、ひとつのコミュニティを形成して行きます。その中でRobert SchneiderがレーベルElephant 6 Recording Co.を立ち上げたことで、メディアより注目を浴びます。サイケでチープなポップサウンドを基本としながらも、各バンドの独自性は失わずに横の繋がりで、勢力を拡大して行きました。90年代インディーズ・バンドの歴史を塗り変えたと言っても過言ではなかった。

ただ繁栄も長くは続かなかった。Neutral Milk Hotelが1999年に解散、The Olivia Tremor Controlが2000年に活動休止します。双方とも注目されたことに対するプレッシャーが原因なのでしょうか?それでも、The Olivia Tremor Controlが2009年にライブ活動を再開して、Jeff MangumがAll Tomorrow's Party Festival 2012のキュレーターを行ったことで、2013年から再結成ツアーをNeutral Milk Hotelとして行っている。

ところが、The Olivia Tremor ControlのBill Dossが2012年に動脈瘤で急変し亡くなったことで事態は一変する。ライブツアー中だっただけに、ファンや関係者のショックは大きかった。新作の音源も出来ていたにも関わらず、未だにリリースされていない。Bill Dossも参加していたApples in StereoのRobert Schneiderは “生涯の友人、協力者、そしてバンド仲間を失ったことに心を痛めています。素晴らしい、面白い、非常に創造的なBill Dossいなければ、Apples in Stereoの世界はあり得ない” と声明を発表してバンドの活動休止をしている。2017年にジョージア州アセンズにてApples in Stereoはインディーズ・バンドの音楽フェスに親分的な扱いでのヘッドライナーとして参加しているが、その後の活動は確認されていない。

 

 

2022年8月のディスカホリック

8月はバタバタしていました。私事で申し訳ありません。仕事の関係でワクチン4回接種しているにも関わらず、コロナに感染しました。職場でコロナが発生して、すぐにレッドゾーン勤務を行うことになった。5日目に発熱があり、検査の結果コロナ陽性で、10日間の休みを頂き自宅療養です。38℃越えの発熱に加えて、喉の痛みが有りました。ただ、意外と軽症だったのでワクチン4回摂取のおかげかな?どうなんでしょうね。療養中、少し遅れていたフジロック最終日の観戦報告を書き上げ、購入してから聴きそびれていたSpiritualizedの新作についても書くことが出来ました。そして、本日職場復帰をします。職場はまだ混乱していたが、徐々に落ち着き始めていたことにホッとした。復帰初日は、少し疲れたけどね。

 

2022年8月のディスカホリックは、レコード8作品、カセット1作品、CD1作品の合計10作品の購入実績でした。まだ、サラッとしか聴けていませんが、これだと思うアルバムに出会えてテンションも上がっている。今後、色々と取り上げていきたいと思う。

Primordial Undermind / An Imaginal Abydos(Vinyl) 購入先Primordial Undermind Bandcamp 購入価格€30.00 EUR(4,400円)

Eric Arnを中心にアメリカで結成され、現在はオーストリアを拠点に活動しているPrimordial Undermindの新作。

 

 

Primordial Undermind、Lebanon(Cassette) 購入先Stoned To Death Bandcamp 購入価格€9.70 EUR(1,413円)

Primordial Undermindとチェコのエクスペリメンタル・バンドLebanonの2020年リリースのスプリットカセット。

 

 

Valentina Goncharova /  Ocean - Symphony For Electric Violin And Other Instruments In 10+ Parts(2Vinyl) 購入先Oven Universe 購入価格4,770円

ウクライナ出身でエストニア・タリンを拠点に活動するヴァイオリン奏者で実験音楽家のValentina Goncharovaによる88年録音音源と、2021年に録音した作品をコンパイルした作品が2枚組。

このアルバムの前にValentina Goncharovaとして初リリースとなったRecordings 1987-1991, Vol.1、Vol. 2を以前に取り上げています。


 

Arnold Dreyblatt & Paul Panhuysen / Duo Geloso(Vinyl) 購入先Meditations 購入価格4,382円

今年リリースされた2人のミニマル作家、Arnold DreyblattとPaul Panhuysenが残した1987年12月のコンサート音源。

 

 

Elf Power / Artificial Countrysides(CD) 購入先Amazon.co.jp(ZOverstocksJPN) 購入価格2,545円

エレファント6界隈のバンドのひとつ、米インディーロックバンドのElf Powerの新作。

 

 

Enhet För Fri Musik / Ömhet & Skilsmässa(Vinyl) 購入先Discogs(tempo21) 購入価格€30.50EUR(4,332円)

Dan Johansson、Gustaf Dickssonらが、中心となって集まったスウェーデンの即興アウトサイダー・アシッドフォーク・ユニットEnhet För Fri Musik の2021年リリース作。

 

 

Enhet För Fri MusikのメンバーでもあるGustaf DickssonによるプロジェクトBlodの3作品。

Blod / Pilgrimssånger(Vinyl) 購入先Juno Records 購入価格£25.46 GBP(4,394円)

ローファイ・フォークを中心とした最新作。

 

Blod / ABBA(2CD) 購入先Art Into Life 購入価格3,262円

2021年にリリースされた赤ん坊の声、ラジオからの音声、ギター弾き語りの断片テイクなどを日常風景とミックスしたアルバム。アルバムタイトルがABBAと言うのも凄い!

 

Blod / Livets Ord(2Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格4,032円

2018年カセットリリースされていた音源のレコードによるリイシュー盤。不思議な輝きを放つアンビエント作品。

 

 

Psychic Ills & Gibby Haynes / Nowhere In The Night(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格4,090円

今年リリースされたアメリカのサイケデリックバンドPsychic IllsとButthole SurfersのメンバーでもあるGibby Haynesとの2010年2月4日のサイケセッション。

 

 

Spiritualizedの新作は、名盤 “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space(宇宙遊泳)” の第2章と言える傑作!

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Spiritualizedはイギリスの伝説的なバンドSpacemen 3のメンバーであったJ SpacemanことJason Pierceを中心に1990年に結成。1997年にリリースされた3枚目 “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space” が彼らの人気を不動のものとした名盤になった。2005年Jasonは重病を患い生死の境を彷徨う。2008年にこのことを題材とした復活作 “Songs In A&E” をリリース。異色作であったが、個人的には大好きなアルバムであります。そして、今年4月に9作目となるアルバム “Everything Was Beautiful” をリリース。本日はその新作を取り上げます。

 

Spiritualized / Everything Was Beautiful

アポロ11号の送信ビープ音?のあとに女声がアルバム・タイトルをアナウンスしてモールス信号が流れる中、1曲目 “Always Together With You” がスタートする。最初に聴いたときすぐに “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space” を思い出した。同じ手法で再現したのであった。これを行ったのがPierceの娘であるPoppyです。この曲のみの参加でPoppy Spacemanとしてクレジットされています。彼女はミュージシャンじゃなく、コロナと戦っている医療従事者みたいですね。

 

アートワークも “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space” と同じMark Farrowが担当。面白いことにアルバム・ジャケットはどちらもピルボックス(薬箱)を用いたデザインであり、明らかに意図的に取り入れたように思える。前回はCD12枚組ピル・ボックス仕様が有りました。昔、新宿にあったRough Tradeで購入したことがあった。通常のCDを持っているので、開ける必要がないにも関わらす、封を切ってCDを取り出してしまった。今考えると本当にバカですね。今回も有りそうかな? 7曲収録なので、7錠個別のパッケージでしょうか(笑)

コロナの為、ロックダウンや孤独の中にある人もいたが、逆境の中、成長した人もいた。すべての人々に対する愛のメッセージとJason Pierceは、本作を語っています。娘であるPoppy Spacemanを始として、Spiritualizedに欠かせない毎度お馴染みのJohn Coxon、コラボレーションを行ったことのあるOneidaのドラマーKid Millionsなど、30人以上のミュージシャンやシンガーなどを起用して作られています。

 

Jason Pierceによるとミステイクが幾つもあって、その中からより完成度の高い物をよりブラッシュ・アップしてSpiritualizedらしさ追求しているとのこと。ラフなライブ感覚を持ちつつも繊細で丁寧に作り上げられたサウンド。Jason Pierceの本作に対する拘りを感じる。名盤 “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space” との類似点を含ませながらも、それとの比較対象ではなく、何か別な次元でのベクトル勝負に臨んでいる気がする。新たなる展開はありません。これまで築き上げてきたことを一度解体しながら、一つ一つの音を積み重ね再構築することで、これこそSpiritualizedというべきサウンドを作り上げています。集大成を表した傑作アルバムだと思う!

 

今年10月に日本でライブが行われます。10月6日の東京Spotify O-EAST、10月8日~9日の朝霧JAMに出演することが決定しています。1998年5月、今は無き新宿リキッドルームのオールナイト・イベントの初来日を観ている自分としては、もの凄く行きたいのは山々であるが、この状況で東京だけは行きたく無かったので泣く泣く諦めてしまった。トップにある写真は私が撮ったフジロック2012年のです。

 

 

 

 

 

フジロックフェスティバル2022、7月31日(日)観戦報告

フジロック最終日です。個人的にバタバタしていて、すこし間が空いてしまった。やっと書き上げる余裕が出来た。これを書かないことには次に進まないしね。最終日はゆっくりスタートです。前日が午前3時に寝たのでそうならざるを得ない。もう無理の利く年じゃないので。これまで雨はパラパラ程度でしたので、今日も降らないで欲しい。

 

Japanese Breakfast  GREEN STAGE 13:00-14:00

10年近い活動歴があるにも関わらず、初々しくキュートなJapanese Breakfast。Michelle Zaunerのコスチュームが話題になっていたが、演奏の方もタイトで小気味よくドリーム・インディーポップの世界を披露していたと思う。この曲何だったけ?とライブの時には思い出せなかったけど、クランベリーズのカヴァーDreamsが最高に盛り上がっていた。

 

Altın Gün  FIELD OF HEAVEN 15:00-16:00

トルコとオランダの多国籍サイケバンドAltın Gün。この民族音楽的なグルーヴ感に踊らされました。フジロックならではのバンドで、もう楽しさ満載! Altın Günを一押ししていた芸人ハライチの澤部さんも居ましたね。

 

今回のフジロック、被らずに観ることが出来ていたが、このAltın GünとBlack Country, New Roadの終了時間と開始時間が一緒だった。Altın Günを最後まで観てヘブンからBlack Country, New Roadのホワイトまで急いだ。隣のステージだったので良かったです。これがグリーンとかレッドだったら、どちらか観るのを諦めていたかもしれない。

Black Country, New Road  WHITE STAGE 16:00-17:00

今年新作をリリースするも、その直後にメインヴォーカルが脱退。その状況で全曲未発表の新曲セットリストでフジロックに乗り込んできました。残念だけど、熟し切れてない部分もあった。ライブ終了と同時にベースのTyler Hydeが泣き崩れてしまった。好きなバンドだけに、これから再スタート、頑張れ!とエールを送りたい。

 

オレンジ・カフェにある ”下町バルながおか屋” は、いつ行っても混んでいる。やっとラムチョップスペシャルプレートをやっと食することが出来ました。最高に美味しい!

 

Superorganism  WHITE STAGE 17:50-18:50

Superorganism、いずれフジロックのヘッドライナーを務める感じがした。日本人オロノのヤサグレた雰囲気もカッコイイ!日本語喋らないと思っていたが、最後オーディエスをステージに上げる時に、早く上がれよ!とか、ハーモニカ吹ける奴いないか?など思わず笑ってしまった。ホワイトステージで観客をステージに上げるのを初めて観た!

 

Mogwai  RED MARQUEE  20:10-21:10

初来日から何回も観ています。アンビエント要素も取り入れてより進化した感じがした。入場規制が掛かったが、大音量で外からでも充分に聴こえていたと思う。最後は毎度の定番曲 ”Mogwai Fear Satan” で締めてくる。分ってはいるけど盛り上がってしまう。はい、これでフジロック2022のベストアクトはMogwaiで決定です。

 

私のフジロック2022はこれで終了です。入場者数69,000人と発表となっていた。何なんだよ、この少ない数字と思った。もちろんコロナの影響もあると思うが、ライブ配信で済ませるオーディエンスが多かったのも確かです。開催されたからライブ配信があることを忘れないで欲しい。フジロックもそれに合せてコンパクトに集約されていた。最終ゲートの看板 ”SEE YOU IN 2023!!” に来年の日程が表示されていなかったことに不安を感じるが、来年も必ずここに戻って来ます!

 

雨の影響を殆ど受けなかったフジロック2022です。翌日、新幹線で新函館北斗に着いたら大雨であった。しかも、その先の在来線がすべて運休という有様。仕方なく駅の近くで宿を取りました。昔フジロックの日高正博さんは、家に着くまでフジロックだ!って言ってたんで、もう1日フジロック追加ですね(笑)

 


 

フジロックフェスティバル2022、7月30日(土)観戦報告

フジロック2日目です。いつもよりも早めに宿を出る。朝10時からのピラミッド・カーデンで行われるTerry Rileyを観るためです。初ピラミッド・カーデンです。元々はキャンプサイト専用ステージということでスタートしているが、その後、出入りが自由になった。行き方が分らなかったので、取り敢えず通常ゲートのキャンプサイトから入場しようとしたら、断られてしまった。スタッフの方が、アプリのエリアマップで現時点がここで、移動することで動くことを説明してくれた。ただ、使いづらいアプリなので、プリンスホテルの方から入って行けばすぐですと口頭で丁寧に対応してくれた。会場に着くと、ピラミッド・カーデンの定番であるヨガワークが行われていた。

 

Terry Riley with Sara Miyamoto - Everything and Beyond  PYRAMID GARDEN 10:00ー11:00

現代音楽、ミニマルミュージックの巨匠Terry Riley87歳。これまでのフジロック出演者の最高年齢記録を更新したようです。2020年より山梨県に在住で、彼の門下生である 古典声楽家宮本沙羅とのコラボレーションです。ラーガ・ミュージックを中心にTerry Rileyのヴォーカル&キーボードに絡む宮本沙羅のコーラス、パーカッションが、宇宙の彼方へと導いてくれました。何と名曲 “A Rainbow in Curved Air” も披露して、朝からトリップしまくりのヤバい世界! フジロックでTerry Rileyを観られるなんて、奇跡みたいなものですね。

 

ピラミッド・カーデンから30分ほどゆっくりと歩いてグリーン・ステージに着く。Bloodywoodが轟音を掻き鳴らしていた。Terry Rileyの余韻が残っていて、体がヘビィーな音を受け付けなくなっていた。これはもう気分を変えるために、ドラゴンドラに乗って山頂にあるデイ・ドリーミング&サイレント・ブリーズに行くしかないと思った。このドラゴンドラは日本最長の5481mを誇り、標高差425mをスリル溢れるアップダウンを繰り返しながら25分で山頂まで結びます。ドラゴンドラの名称はシンガーソングライターの松任谷由実により名付けられたようです。

デイ・ドリーミングではSugiurumnがDJを行っていた。カッティング・シートを広げ、横になりながら微睡む。サイレント・ブリーズではハイジのコスプレした女性がシャボン玉パフォーマンスを行っていた。昼食としてレストランMangosteenでカレーとクラフトビールを食する。まったりと時間を忘れて休憩をする、これも私のフジロックにおける楽しみ方の一つです。

 

デイ・ドリーミング&サイレント・ブリーズで少しノンビリしすぎたかな?本日の後半は、ホワイト・ステージの4連続ライブです。

Snail Mail  WHITE STAGE 16:10ー17:10

アルバム “Valentine” ジャケットからイメージすると小生意気な女性かと思っていたが、小柄でキュートな感じに驚いた。短パンでオアシスのリヴ・フォーエヴァーのTシャツを着て演奏するサウンドに90年代インディーズ・ギターバンドへのオマージュを感じる。音の調子が悪かったのか、メンバーにふてくされた雰囲気を露わにしていた。ただ、サウンドに対する不備は感じられず、最後まで心地よく観ることが出来た。

 

Glim Spanky  WHITE STAGE 18:10ー19:10

長野県出身の日本のバンドGlim Spanky。期待せずに観たけど意外に良かった。2曲目に演奏した“Singin’ Now” が、テレビ朝日系「警視庁・捜査一課長2020」の主題歌であったことをこの時に知る。世界のフェスの名前でロックと付いているのは、フジロックしかない。たから、カッコいいロックをやる!と語っていました。素晴らしいです。

 

Dinosaur Jr.  WHITE STAGE 20:00ー21:10

もう何回か観ているが、いつも通りのDinosaur Jr.であることに納得してしまう。昨年の新作 “Sweep It Into Space” からの曲も2曲披露していたが、初期、中期の曲を中心に纏めた展開。1991年のアルバム ”Green Mind“ のThumb、The Wagonでスタートしたライブに、拳を振り上げヒートアップした自分がいた。Dinosaur Jr.に大きな変化は必要ないし、このまま進化して欲しいと思った。

 

Cornelius   WHITE STAGE 22:00ー23:10

昨年活動自粛後の初ライブです。Corneliusサウンドについて、私はいつも虚無的なイメージを持っている。それを補っているのが映像だと思っていた。今回も映像とシンクロさせる展開です。最初は前半を観たらすぐに帰るつもりでいたが、どんどん引き込まれていって結局最後まで観てしまった。小山田圭吾ってミュージシャンというよりもプロデューサーであることを再確認。巧さの際立つライブであった。Terry RileyがCorneliusを観に来ていた情報もありました。Terry Rileyと小山田圭吾とのコラボレーションをちょっと期待しますね。

 

越後湯沢の宿に戻ったのは午前1時半ぐらいであった。疲れを癒やすため、ゆっくりと温泉に浸かり、寝たのは午前3時でした。最終日は午後から観たいライブがあるため、遅めのスタートです。フジロック観戦報告もあと1日あります。フジロックに来る前にあった仕事のバタバタ状況は今も変らずです。加えてフジロスに嵌まってしまい思うように書き進んでいませんが、お付き合いのほどよろしくお願いします。