ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Shimmy DiscのKramerが近年発見したDaniel Johnstonの2000年4月のライブ音源!

Iconic Daniel Johnston concert immortalised with LP 'Alive in New York City'

2019年に58歳で天国に旅立ったシンガーソングライターDaniel Johnston。精神の病と闘いながらKurt CobainSonic YouthBeckYo La Tengo、Flaming Lipsなど数多くのアーティストがリスペクトしていたアウトサイダーヒーローでもあった。今回、2000年4月にニューヨークで行ったライブ音源が発表されました。Daniel Johnstonのアルバムを手掛けたことのあるShimmy DiscのKramerが近年発見したDATからマスタリングされた音源をレコードとカセットでShimmy Discよりリリースです。

 

Daniel Johnston / Alive In New York City

私は2003年2月23日の初来日を観ています。飛行機が大嫌いで睡眠薬を飲ませ寝かせたまま日本に連れてきたとか、様々な伝説があった人です。この時はピアノの弾き語りで、本人が出てくるまで1時間近く待たされた記憶が蘇った。機嫌が悪かったのかな?本作は心身共に安定していた時期だったのでしょうね。彼の痛切で生々しい歌声とギターが、ほろ苦さを感じさせながらもユーモラスで優しく鳴り響く。観客と一体となった臨場感あふれるライブ盤となっている。Paul McCartneyの “Live And Let Die” 、The Beatlesの “You’ve Got To Hide Your Love ”も取り上げていますが、完璧にDaniel Johnstonの世界へと塗り替えていることが凄い。何よりも本人がこのライブを楽しんでいるように思える。彼の魅力を堪能できる傑作です。

ライブ音源以外のボーナス・トラックとして、ニューヨークで受けたストリート・インタビューからの短い抜粋が1分ほど収録されている。そして、これはカセット・オンリーであるが、彼が友人たちに送るために作られた “Telephone Demos” も収録。こちらは電話の受話器越しに歌った曲を何曲か纏めて20分弱ぐらいに仕上げている。2023年にJoyful Noise Recordingsがハンドメイドの7インチとして限定100枚でリリースしているが、一般販売しているのかな? ライブ音源とは違った、Lo-Fiで初期の実験DIY的な雰囲気が Daniel Johnstonらしさを物語っている。

 

このアルバムがリリースされたことでKramerが、音楽シーンに残っていたことを知った。プロデューサーとしてGalaxie 500やLowを見出したことや、Daevid AllenとHugh Hopperを90年代に結び付けたのは、彼の功績だと思う。一方で女性を含めた人間関係や金銭問題で色々とトラブルを抱えていたのも確かです。90年代のインディーズ・シーンで異端児とも言われていた。1998年に自身が運営するShimmy Discを売却してからも地味に活動していたようであるが、あまり情報が入って来なくなっていた。ただ、2020年頃よりShimmy Discを復活させているようです。Kramerとしてのソロアルバムもリリースしているのでちょっと注目している。