ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

アヴァンギャルドからオルタナまで飲み込んでしまう厄介なミュージシャンEugene Chadbourneに嵌まっています!

70年代からジャズ、カントリー、フォーク、ブルース、ロックなど自由奔放にジャンルの垣根をぶっ壊しながら独自の音楽を構築してきたアメリカのギタリストEugene Chadbourne。これまでにDerek Bailey、Han Bennink、John Zorn、Jimmy Carl Black、Sun City Girls、灰野敬二などあらゆる人とのコラボレーションやバンド活動も含めて、現在も幅広く活動を行っている。90年代にCDで1、2枚は持っていたと思うが、カセットやCDRを中心にセルフ・リリースも多いため、フォローしきれていなかった。

 

今回、2018年にリリースされたSunwatchersとのコラボレーション・アルバム “3 Characters” をBandcampで見つけて嵌まってしまった。フィジカルとして2枚組レコードとしてリリースされていたが、すでに完売となっている。Discogsや海外レコードショップでも在庫をもっている所は見つからなかった。Sunwatchersの12インチもリリースしているAmish Recordsのリリースで、何回か直接購入したことがあるので、もっと早くに気づくべきだったと思うが・・

 

このアルバムはMinutemen、Doug Sahm、Henry Flyntのカヴァー曲で彼ら3人に対する思いが詰まった作品です。ノイジーオルタナ的なSunwatchersのサウンドにEugene Chadbourneのヴォーカル、ギター、バンジョーが絡む展開です。MinutemenのMike Wattも参加しています。是非ともリイシューして欲しいです!!

Sunwatchers and Eugene Chadbourne / 3 Characters

 

そんな事で、再びEugene Chadbourneに興味を持ってしまい、フィジカルで4タイトルも購入してしまった。最近の動向を伺えるものから70年代の音源まで、彼の幅広い音楽性を感じられる素晴らしい4作品です。

Eugene Chadbourne、Jim McHugh / Bad Scene(Vinyl)

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2021年にリリースされたSunwatchers のギタリストJim McHughとのコラボレーションによる ”Bad Scene” 。Sunwatchersとの ”3 Characters” で親交を深めていたJim McHughがEugene Chadbourne宅を訪れてのホームレコーディングスです。Eugene Chadbourneのヴォーカル、ギター、バンジョーとJim McHughのギターを中心として、曲によってドラム、ヴィオラが絡んでくる展開です。プロデュースやミックスなどはJim McHughが行っています。

 

Eugene Chadbourneの自作曲と2人による共作曲に加えて、Alvin Lee(Ten Years After)のBad Scene、Lowell GeorgeLittle Feat)のWillin'、Woody GuthrieのHang Knot、Nick DrakeのHangin On A Starのカヴァー曲を含めた全9曲を収録。パンキッシュな乗りからローファイなフォークまで、ネジが2、3本緩んだルーズな雰囲気がもの凄く心地良い!

 

レジェンドEugene Chadbourneと新進気鋭のギタリストJim McHughとの世代を超えたコラボレーション。両者の魅力を巧く纏めた傑作です。

 

 

Eugene Chadbourne / Live At Grand Guignol(Vinyl)

2020年にリリースされた本作は、2010年4月16日にフランス・リオンの本屋さんGrand Guignolで行ったバンジョーを駆使した弾き語りライブ音源です。ギターのごとくコードをガチャガチャと掻き鳴らし、ブルーグラスス的なフィンガーピッキングも披露して、時にはバンジョーを叩いてリズムを刻むなど何でもアリアリの演奏。そこにEugene Chadbourneの熱いヴォーカルが絡む世界です。フォーク、カントリー、ブルースの雰囲気を醸し出しながらもパンキッシュに聞えさせてしまうところに彼の魅了を感じてしまった。

 

リリース元はライブの行われたフランス・リオンのレーベルOuch! Recordsです。プロデューサーはこのレーベルから多くの作品をリリースしているフランス人サックス奏者Lionel Martinが担当し、アートワークやデザイン担当のDamien Grange、Florent Decornetの2人もこのレーベルを含めてフランス中心に活動しているようです。特にこのアルバムジャケットもの凄くいいですね。レーベルとしてのEugene Chadbourneに対するリスペクトを感じます。

 

 

Eugene Chadbourne With Duck Baker And Randy Hutton / The Guitar Trio In Calgary 1977(CD) 

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2019年リリースのEugene ChadbourneがDuck BakerとRandy Huttonと 70年代に組んでいたThe Guitar Trioの1977年2月27日の未発表ライブ音源とスタジオ音源を収録したアーカイブ盤。3人のギタリストがフリー・ジャズやフリー・インプロヴィゼーションからの影響を受けてアヴァンギャルドに掻き鳴らされています。The Guitar Trioの最年少メンバーであるにも関わらず、彼は ライブやレコーディングを仕切っていたとされています。この頃より頭角を現していたのでしょうね。


 

Eugene Chadbourne / The Lost Eddie Chatterbox Session(CD)

EUGENE CHADBOURNE / ユージン・チャドボーン / Lost Eddie Chatterbox Session

2017年にリイシューされた音源です。本作も1977年に録音されて自主制作カセットとして販売していたとのこと。ギターソロ演奏でジャズの巨匠たちの楽曲Thelonious Monkが12曲、Charlie Parkerが3曲、John Coltraneが1曲、Ornette Colemanが1曲をカヴァー、そして自作曲を詰め込んだ全30曲を収録。彼の変態性を感じられるギターワーク満載の1枚です。改めて厄介なミュージシャンであることを再確認しました。

 

 

アヴァンギャルドからオルタナまで飲み込んでしまう厄介なミュージシャンEugene Chadbourne。彼の膨大なアルバムの一部に嵌まってしまった。他にも聴くべく重要なアルバムが有るじゃないか?と言われそうだが、深みに嵌まって収拾付かなくなる気もするけどね(笑)

 

Eugene Chadbourneに嵌まる切っ掛けとなったSunwatchersについて、昨年取り上げています。アップしておきます。