ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Bardo Pondのアーカイブ音源シリーズ第9弾!

90年代初期からサイケデリックロック、スペースロック、ストナーロックと称されてきたアメリカ・フィラデルフィアのバンドBardo Pond。彼らのアーカイブ音源シリーズ第9弾となる音源が、新作としてイギリスのFire Recordsよりヴァイナルとデジタルでリリースされました。彼らの場合、アウトテイクや未発表音源など膨大な録音を維持管理して、タイミングをみてリリースしてきた。今回の第9弾は、以前の寄せ集め的なコンピレーションとは違っていて、新たなる方向へと進もうとしていた軌跡が残っていました。

 

Bardo Pond / Volume 9

本作は2005年から2006年に録音されています。Bardo Pondのメンバーである、Michael Gibbons(ギター、シンセサイザー)、John Gibbons(ギター)のGibbons兄弟とIsobel Sollenberger(フルート、ビオラ)の3人に、Gibbons兄弟のサイドプロジェクトAlumbradosに参加していたMichael Zanghi(パーカッション、ドラム)の4人編成でジャムセッション的な作りとなっている。Gibbons兄弟のギター vs Michael Zanghiのパーカッション&ドラミングの轟音コラボレーションにIsobel Sollenbergerのフルート、ビオラがさりげなく花を添えている感じ。A面にConjunctio、The Nine Doubts、War Is Over Part 1の3曲、B面にWar Is Over Part 2の1曲の計4曲収録です。

 

前半の2曲は、Gibbons兄弟の脅威的なディストーション・ギターが炸裂。これに対抗するがごとくIsobel Sollenbergerのフルートが可憐に鳴り響く。いつものBardo Pondサウンドですが、ここにMichael Zanghiのパーカッションがオリエンタルなテイストを醸しながら、曲を盛り上げている。後半のWar Is Overは2部構成でPart 1は、3分を少し超える曲でポストロック、あるいはスロコア的な要素を含んで穏やかに聴かせてくれる。B面のPart 2は21分をこえる大作でPart 1の流れを踏襲しつつ、徐々にGibbons兄弟のギターワークが暴走しまくる中で、Michael Zanghiのドラミングの巧さも伝わってくる素晴らしい曲でアルバムを締めくくっている。

メンバー全員が参加してなかったので、当時はBardo Pondとして出せなかったのかな? 2006年にIsobel Sollenbergerのヴォーカルを積極的に取り入れたBardo Pondとしての分岐点となるアルバムTicket Crystalsをリリースしている。Gibbons兄弟のサイドプロジェクトAlumbradosのエキゾチックなサウンドとも違う。この関係でお蔵入りになったとも考えられる。だた、ヴォーカル曲が入ってないけど、Volume 9での変化は現在のBardo Pondに通じるものがあるように思う。

 

2011年からは、ほぼ全ての新作アルバムをFire Recordsよりリリースしている。Fire Recordsは90年代、2000年代の過去のアルバムもリイシューしており、両者の関係が強固であることが伺える。ただし、新録の新作が2017年のアルバムUnder The Pinesよりリリースされてないのが気になる。そろそろ新作を期待しつつ、今はVolume 9に酔いしれています。