ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Brian LucasのソロユニットOld Million Eye、浮遊感あふれる独特のサイケデリックをアンビエントにて包み込んだ世界!

Dire Wolvesや43 Odesのメンバーとしても活躍しているマルチ奏者でテープマニピュレーターBrian LucasのソロユニットOld Million Eye。90年代のサイケデリックバンドMirza解散後、2000年代中頃に一時期タイに住んでいたころにOld Million Eye名義で活動する。その後、アメリカに戻って2014年頃よりDire Wolvesのベーシストとして参加します。Dire Wolvesの活動が軌道に乗る中で、Mirzaの昔のメンバーとの43 Odesにも参加しつつ、2019年頃よりソロ活動をOld Million Eyeとして再開します。カセット音源を中心に何作かリリースしていたあと、ヴァイナルとしてFeeding Tube Recordsより2021年にThe Incandescent Switch、2022年にThe Air's Chrysalis Chime、それに続くヴァイナル3作目Quartz Hiveが、同じくFeeding Tube Recordsから新作としてリリースされました。

 

Old Million Eye / Quartz Hive

これまではBrian Lucasが、基本的に一人ですべて制作していた。曲によって、一部ゲスト・ミュージシャンを使うこともあったが、そんなには多くない。今回は多数のミュージシャンをフル動員させて、アンサンブルを中心にアルバム制作を行っている。参加しているメンバーは、Dire Wolves、Angel Archerとして一緒に活動しているSheila Bosco(パーカッション、キーボード)、43 OdesのメンバーでもあるSteven R. Smith(ハーモニウム、ギター)、コラボレーションしたことのあるStuart Chalmers(ダルシマー、ソーマンダル)、前作に参加していたKevin Van Yserloo(ヴァイオリン)、Jem Fanvu(ヴォーカル、エレクトリック・ピアノ)、Zekarias Thompson(サックス)、Ceylan Hay(ハープ)などが、Old Million Eyeのサイケデリックな世界を構築しています。

Brian Lucasは曲の構想を考え、自身の朴訥としたヴォーカル、テープによるノイズなどで応戦しています。アルバム全体のイメージとしては、浮遊感あふれる独特のサイケデリックアンビエントにて包み込むといった感じ。各メンバーの力量もしっかりと反映しており、ときに不協和音を醸しながら巧くアンサンブルを作り上げている。最初に聴いたときは、取り留めなく思ってしまったが、聴き込むことで繊細で優美さを兼ね備えた音楽であることを確認した。これまで脇役的な存在であったBrian Lucasであるが、このアルバムで多くのミュージシャンを従えて作品を作り上げたことで、プロデューサー的な力量も凄いことを改めて感じてしまった。