ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Dire Wolvesの再活動、新たなる方向を示した新作 “Easy Portals”

Jeffrey Alexander率いるサンフランシスコのサイケデリックバンドDire Wolves。2019年のヨーロッパ・ツアー以降、コロナ・パンデミックの影響で各メンバーは、サンフランシスコを離れざるを得ない状況になりました。ギタリストのJeffrey Alexanderはフィラデルフィアに、ドラマーのSheila Boscoはアムステルダムに、ヴァイオリニストのAjrun Mendirattaは北カリフォルニアの辺鄙な場所に移動し、サンフランシスコにはベーシストのBrian Lucasだけが残り、それぞれ個々の活動に専念していた。

 

2018年リリースの傑作アルバム “Paradisiacal Mind” の勢いを止めてはならないと思ったJeffrey Alexanderは、定期的にアーカイブ音源や過去のライブ音源をリリースしていた。その思いが伝わったのか、2022年に7インチシングルを ”On a Clear Drop You Can See Forever“ をリリース。メンバーは直接会うこともなくフィラデルフィアアムステルダム、サンフランシスコで録音された音源を基にオンラインで制作された。その時にDire Wolvesの再活動に期待してくれ!といったアナウンスもあった。そして、2023年11月にやっと新作 ”Easy Portals“ がリリースされたのでした。

 

Dire Wolves / Easy Portals

本作はこれまでの4人Jeffrey Alexander、Sheila Bosco、Arjun Mendiratta、Brian Lucasに、新メンバーとしてヴォーカル、パーカッションにMarina Lazzara、オルガン、シンセサイザーにJ. Leeの2人が加入。ゲストとして元メンバーであったサックス奏者Taralie Petersonが1曲 “Their Heads Are Green” で参加しています。このメンバーでカリフォルニア州オークランドにあるSanto Recording Studioでアルバム制作に臨みました。この場所は “Paradisiacal Mind” を制作した所でもあり、彼らにすれば、最高のシチュエーションであることは間違いないですね。

 

レコード・オンリーでCentripetal Force(アメリカ)、Cardinal Fuzz(イギリス)、Ramble Records(オーストラリア)のレーベル3社からの共同リリースです。A面B面ともに5分から6分前後の曲と15分から17分超える曲の、計4曲を収録しています。インプロビゼーションを軸に各メンバーの個性を十二分に発揮させて、サイケデリックというオブラートに包んだ世界。アメリカのルーツ・ミュージック的な雰囲気も醸し出しながら、神秘的で奇矯な音も混在させながらプログレッシブに鳴り響かせています。Dire Wolvesの再活動に相応しい新たなる方向を示した傑作です。

新加入した2人、呪文のようなヴォーカルMarina Lazzaraとシンセドローンを奏でるJ. Leeは、現在のDire Wolvesから外せない存在となっている。2人ともサンフランシスコのバンドThe Rabblesのメンバーで、Brian Lucasがゲスト参加したことがあるとのことです。この人脈も個人的にはもの凄く興味深い。

 

本来なら、2023年アルバム・ベスト10に入れても良いアルバムであるが、昨年11月にCentripetal Forceに注文して12月中頃に届いた。しっかりと聴くだけの余裕がなく、年が明けてから聴き始めたのであった。次はこのメンバーによるライブ音源を早く聴きたいですね!

 

 

 

以前、Dire Wolvesについて書いています。


Dire WolvesのメンバーであるBrian Lucasについて書いています。