ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

ニュージーランドのWilliam Henry Meungが奏でるカオティックなLo-Fiインディ・フォーク!

William Henry Meung on defining experimental music and more (Video) |  dunedinsound.com

フォーク、ジャズ、ノイズ、ミニマル、ドローンなどを中心にエクスペリメンタルでオブスキュアな雰囲気を持ったDIY的ミュージシャンやバンドの音源を届けてくれる英国のレーベルHorn of Plentyに注目しています。このレーベルより昨年は、ベルリンを拠点に活動しているアウトサイダーミュージシャンNein Rodereを取り上げました。今回はニュージーランド先住民族マリオをルーツにしているWilliam Henry Meungの “Hiraeth and Limerence” を紹介します。

 

William Henry Meung / Hiraeth and Limerence

William Henry Meungは10年以上前より音楽活動を行っていた。つい最近になってやっとカセット・テープを中心に作品をリリースし始めています。本作は昨年7月にリリースされた初のフルレングス・レコードで、2016 年から 2019 年にかけて録音されたアーカイブ音源です。リリース元Horn of Plentyは、何がなんでも新作に拘っている訳ではなく、内容のいいものはコンピレーション、リイシュー関係なく取り扱っている。

 

このころ本人は、精神疾患と闘っていた。10年近い闘病生活の中で録音されたのが、 “Hiraeth and Limerence” であります。宅禄で粗悪な録音環境の中で、ギター、ピアノ、ヴォーカル、自作の電子機器に加えて録音した機材から出るアンプハム、テープビズのノイズまでダイレクトに収められている。取り敢えずそのまま録音したチープな音源で、彼の精神状態を表した恍惚と絶望で揺れ動く心の思いが伝わってくる。

 

全14曲で4曲のヴォーカル曲が収録されている。センシティヴなメロディを淡々と歌い上げているが、これがLo-Fiインディ・フォーク的な雰囲気で最高にいい。最初に聴いたとき、寄せ集めでとりとめもなく曲が配置されていると思ったが、このヴォーカル曲をバランスよく挿入している。インスト・ノイズ曲との高低差も含めて、カオティックに鳴り響いている。聴き込むことで、統一感を持ったアルバムであることを確認する。レーベルHorn of Plentyのカラーが、凝縮された素晴らしい1枚です。

 

Bandcampでは1曲の公開なので、SoundCloudより何曲かアップしておきます。