ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Aksak Maboulの40年振りとなる新作、時代を超えた最高傑作!

ベルギーのレーベルCrammed Discの創始者でもあるMarc Hollander率いるAksak Maboul の40年振りの3rd「Figures」(2枚組)がリリースされました。2014年には80年代前半に録音されメンバー間の主導権争いもあってお蔵入りとなっていた未発表音源「Ex-Futur Album」もリリースされているが、こちらはVeronique Vincent & Aksak Maboul with The Honeymoon Killers名義で幻のアルバムとされていた。「Ex-Futur Album」のリリースが切っ掛けでライブ活動を再開したAksak Maboul。ライブの高評価もあって、今回の新作リリースまでたどり着いたのであります。

 

Aksak Maboul / Figures

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現在のメンバーはMarc HollanderとVeronique Vincentを中心に2人の愛娘Faustine Hollanderも参加。Marc Hollanderの作り上げる曲にVeronique Vincentのヴォーカルが入り、1980年の2nd「Un Peu De L'Âme Des Bandits」にも参加していたHenry CowのFred FrithやArt Zoyd、Univers ZeroのMichel Berckmans、TuxedomoonのSteven Brownなど多くのサポート・ゲストによって「Figures」のサウンドが構築されています。

 

「Figures」は、2nd「Un Peu De L'Âme Des Bandits」のアヴァンギャルドでシリアスなR.I.O(Rock In Opposition)を意識したサウンドに比べると、よりポップで華麗に鳴り響いている。個人的にはVeronique Vincentの存在が大きいと思っている。80年代前半にVeronique Vincent をヴォーカルとして起用していたThe Honeymoon KillersとAksak Maboulの合体によってニュー・ウェーブ的なポップ路線へと舵を切ってしまった。その流れを継承した感じでもあります。そのサウンドは「Ex-Futur Album」で聴くことが出来ます。ただ、本作ではこれまでのアヴァンギャルドな雰囲気はそのままでポップになる、まさにアヴァン・ポップなサウンドを作り上げたのです。そこに1st「Onze danses pour combattre la migraine」のジャズ、エクスペリメンタル、エレクトロニクス、ミニマルなどの要素が加わったAksak Maboulの集大成とも言える素晴らしいアルバムです。彼らの時代を越えた最高傑作だと断言します。

聴いて貰うと、かなり現代的でハイセンスなサウンドに仕上がっています。StereolabAnimal Collectiveといったバンドの名前が上がってくるのも納得です。レーベル運営も行っていることで、様々な音楽を知り尽くしたMarc Hollanderの手腕が遺憾なく発揮されている。プロデュースはもちろんMarc Hollanderですが、娘のFaustine HollanderもCoproducedとしてクレジットされています。今後もAksak Maboul周辺やレーベルCrammed Discに注目していくしかないですね。

 

 

 

1977年リリースのMarc Hollanderのソロ・ユニットとして始まったAksak Maboulの1st。

  

Aksak Maboul単独名義として1980年リリースされた2nd。

 

2014年リリースのVeronique Vincent & Aksak Maboul with The Honeymoon Killers名義による80年代前半に録音された未発表音源