ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Ben Chasnyのヴォーカリストとして進化が感じられるSix Organs Of Admittanceの新作

アコースティック・ギターの巨匠John Faheyのフォロワーとしても知られ、2000年代前半のフリーフォーク・シーンの中心的存在として名を知られるようなったBen Chasnyのソロ・プロジェクトSix Organs Of Admittance。新作 “Time Is Glass” がシカゴのレーベルDrag Cityよりリリースされました。

 

Six Organs Of Admittance / Time Is Glass

本作はBen Chasnyの故郷であるカリフォルニア州ハンボルト郡の自宅にて制作されました。山々の自然を満喫し、愛犬と散歩しながらリラックスした環境の中でアコースティック・ギターを中心とした作品となっている。この10年は様々な要素を取り入れて新たなエネルギーを見出してきた。その象徴が2021年リリースのエレクトロニクスとエレキギターによるハイブリットな前作 “The Veiled Sea” であり、2020年にデジタル配信され2023年にヴァイナルとしてリリースされたアンビエント・ドローン作品 ”Sleep Tones“ であった。それらをリセットしてしまったのであります。

近年のロック的ハード・エッジな部分を抑えて、アコースティック・ギターとヴォーカルが鳴り響く。Ben Chasnyの歌声がファルセットを駆使しているため、より中性的で神秘に聴こえる。恍惚としたヴォーカル・メロディに対して、シンプルながらギターの演奏がバランスよく構成されている。ギタリストとして勿論であるが、シンガーソングライターとしての真骨頂も見られ、ヴォーカリストBen Chasnyの魅力を引き出した1枚。

初期のサウンドに原点回帰したように思われるが、そうではない。今の生活環境を意識した音作りがされており、そこにヴォーカリストとして進化したBen Chasnyの歌声が絡む世界。英国フォークミュージックの影響も感じられ、心地よく癒し空間へと導いてくれます。派手さはないが、美しくじっくりと心に沁み込んでくる。浄化の息吹も感じることが出来て、これまでに無かった感覚で攻め込んでくる素晴らしいアルバムです。

Ben ChasnyはSix Organs Of Admittanceとして様々なコラボレーションも行っています。それと本人名義Ben Chasnyとしてもアルバムをリリースしているだけに、今後どのように変化するのか気になりますね。

 

 

前作 “The Veiled Sea” について取り上げています。