ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

ポストロックバンドBilly Mahonie、円熟味を兼ね備えての復活!

90年代後半のポストロック黎明期にロンドンで結成されたBilly Mahonie。途中でメンバーチェンジなどがあって、最終的にGavin Baker(ギター)、Howard Monk(ドラム)だけになってしまう。2人は初期のメンバーであったHywell Dinsdale(ベース、ギター)、Kevin Penney(ベース)を呼び戻し、2017年にオリジナルメンバーで再集結をする。各メンバー離れて生活しているため、新作の制作に時間が掛かったが、15年振り5作目となるアルバムを自身のレーベルWhistling Sam Projectsよりリリースしました。

 

Billy Mahonie / Field of Heads

本作は、ここ数年に書かれた新曲と20年位前に書かれていた曲 “The More I Know You” 、”Dry Season“ などの未発表曲をリメイクした曲の組み合わせによって構成されている。音の方向性は、これまでと基本的には何も変わらず全曲インストで、オルタナ、ハードコア、マスロック、プログレなど取り込んだBilly Mahonie流のポストロックな展開。ファンにとって、納得出来る1枚となっている。

 

どの曲も素晴らしい出来栄えであるが、個人的にこれだと思う2曲を取り上げます。2曲目 ”Kaiju“ は、2010年に行ったGavin BakerとHoward Monkの2人とアヴァンギャルドなフォークシンガーDavid Thomas Broughtonとのジャムセッションがモチーフとなっている。原曲はヴォーカル曲だったのかな? Hywell Dinsdale、Kevin Penneyの2人が参加したことで、このアルバムを象徴する曲になっている。タイトルの ”Kaiju“ は、日本語の怪獣をローマ字で表記しています。タイトルを考えたのはKevin Penneyで、モンスターでなく日本の怪獣映画やテレビに影響を受けていたのでしょうね。7曲目 ”Tributer“ は、TelevisionのTom Verlaineの訃報を受けてのトリビュート曲です。複雑でありながらもキャッチーなギターワークが心地よく鳴り響く。彼らのTelevisionに対する思いがヒシヒシと伝わってきます。

 

このようにギター、ベース、ドラムを中心に、これまでよりシンプルでソリッドに攻め込んで来るサウンド。Howard Monkは、“かなりロックしている。そして少しファンキーでもある。気に入らないところなんてないだろう!” と自信満々に語っています。1999年にToo Pureからリリースされたデビュー・アルバム “The Big Dig” でポストロックの金字塔を打ち立ててしまったBilly Mahonie。デビューから25年の時を経て、円熟した魅力を兼ね備えての復活です。是非聴いて欲しい!