Stephen Lawrieを中心に1987年に結成されたイギリスのThe Telescopes。結成当時はバンド編成として固定メンバーで活動していたが、2000年代に入るとStephen Lawrie以外のメンバーは、流動的で様々な面々が集められてアルバム制作やライブ活動を行うようになった。その後は、完璧にStephen Lawrieのソロ・プロジェクト化したのであります。活動歴が長いこともあって、未発表音源などのコンピレーション盤なども多く、2024年は新作として2月に “Growing Eyes Becoming String” 、9月に ”Halo Moon“ がリリースした他に、”Radio Sessions 2016-2019“、2000年代のシングルやレア曲を纏めたRecords Store Day限定の ”Editions“ もリリースしている。その中から本日は、”Halo Moon“ を取り上げます。
The Telescopes / Halo Moon
本作は17作目となる新作で、ドイツ・ハンブルグのレーベルTapete Recordsからのリリースです。2015年以降、このレーベルからの6作目となる新作だけに、良好な関係が伺える。35年以上にわたってサイケデリック、シューゲイザーを中心にギターロックを展開していたThe Telescopes。“Halo Moon” では、Stephen Lawrieのダウナーなヴォーカルに焦点を当てて、しっかりとメッセージを発した曲によって構成している。オープニング・ナンバー “Shake It All Out” で「すべてを振り払え、ベイビー、すべてを振り払え、今」と唸るように歌い上げ、最後は「立ち上がって踊ろう」に繋げる。”Come Tomorrow“ では「もう泣くことも、もう悲しむこともない。明日が来る。」そしてラスト曲 ”This Train Rolls On“ で「無限の宇宙に向かって、この列車は走り続ける」と締めくくる。
これまでのThe Telescopesは、力ずくで引っ張るサウンドの中にヴォーカルが埋もれるといったイメージだった。でも、今回はStephen Lawrieのヴォーカルをメインにバックのサウンドが、それを支えるスタイルになっている。サウンド面でも様々な試みを行っている。”For the River Man“ でブルースハープを使ってThe Telescopes流のブルースを奏で、”Lonesome Heart“ はスロコアの雰囲気を醸し出し、アルバムタイトルナンバー ”Halo Moon“ ではダークなアシッド・フォークといった感じで盛り上げてくる。メロディ・ラインに合わせて個々のサウンドを構築しているように思う。どの曲もゆっくりと展開しており、ダウナーなヴォーカルがより鮮明に催眠トランス状態へと導いてくれる。ヴォーカリストStephen Lawrieとしての存在感を示したThe Telescopesの傑作といってもいいでしょう! 今後、色々な展開に期待が持てますね。