今年結成50周年を迎えるGongの新作がリリースされました。2015年に大宇宙へと旅立った故 Daevid Allenの遺志を継いでバンドを継続させたGong。Daevid Allen 亡き後の2016年以来のセカンドアルバムです。
Gong / The Universe Also Collapses
前作「Rejoice! I'm Dead!」はDaevid Allenの面影を残し、Steve Hillage、Didier Malherbe、Graham Clarkといった元Gongのメンバーをゲストに迎えてのアルバムでした。これまでの流れを踏襲しながら現代的なセンスも融合させ、Gongとして継続することを知らしめたかった内容となっていた。それと比べると、本作はゲスト参加もなく、より原点に戻ってのサイケデリックなサウンドに仕上げてきました。ヴォーカルでギター担当のKavus Torabiは「プログレやジャズ・フュージョン的なアルバムではなく、私たちが考える、究極のサイケデリック・ロック・アルバムにしたかった」とThe Quietusのインタビューで語っています。
冒頭1曲目の20分を越える大曲「Forever Reoccurring」を格とする全4曲構成の大作。たしかにサイケデリックな感じは70年代黄金期のRadio Gnome Invisible3部作を彷彿させてくれます。でも、単なる懐古主義ではありません。現代にも通用する新しさも兼ね備えています。現行メンバーは皆、この10年の間にGongに参加しています。親分であるDaevid Allenを失っているので、昔のファンからはトリビュート・バンド的な扱いをされてもおかしくありません。歴史ある伝説バンドを継続させる難しさ、そのプレッシャーをはね除けて、各メンバーの力量がしっかりと反映された素晴らしいアルバムとなりました。
「大宇宙も崩壊する」という誇大妄想的なタイトルに苦笑いしながら、進化したGongサウンドに酔いしれています。あの世からDaevid Allenも喜んでいることでしょう。歴史を築いた往年のメンバーは誰もいません。でも、Gongの名盤であることは間違い有りません。Gongファンと自認している人にこそ、是非とも聴いて欲しい。