ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

トルコの民族音楽にオルタナティブ要素をぶち込んだBaba Zulaに嵌まっています。

7月に2タイトル、10月に4タイトルも購入してしまったトルコのオルタナティブジャム・バンドBaba Zula。このバンドについては、個別に取り上げるしかないですね。

f:id:hiroshi-gong:20191103160558j:plainBaba Zulaは1996年にトルコ、イスタンブールにて映画のサウンドトラック制作のために結成されました。トルコの民族音楽をベースにオルタナティブ要素をぶち込んでジャム・バンド的なサウンドを展開しています。Murat ErtelとLevent Akmanが中心となって、その都度ゲスト・ミュージシャンを招いて活動し、これまでにアルバム9枚、EP盤1枚、コンピレーション盤1枚をリリース。7月にEP盤「Kizil Gozlum」を購入したことで一気に嵌まってしまった。名前ぐらいは知っていたが、本格的に聴くのは初めてです。7月、10月のディスカホリックでも簡単に書いていますが、6タイトルも購入しているので纏めてリリース順に紹介します。

 

 

Baba Zula & Mad Professor / Ruhani Oyun Havaları-Psychebelly Dance Music(CD)

f:id:hiroshi-gong:20191019092430j:plain

2003年リリースの3作目。ダブ・ミュージックの大御所Mad Professorとのコラボレーション企画。この異色の組み合わせで世界的に存在感を示した出世作。原題「Ruhani Oyun Havaları」がトルコ語で、世界で売るには英題「Psychebelly Dance Music」が必要だったのでしょう。このアルバムでMad Professorはミックスとマスタリングを担当。当時、トルコを含む中東の音楽が注目されていた中で、Mad Professorの名前を前面に押し出して知名度を上げたかったのかもしれませんね。Baba Zulaは単なる民族音楽をやっていた訳でなく、そこに様々なサウンド・エフェクトを採り入れていた。ダブ・ミュージックとの融合も彼らの強かさからくるものだと思った。

 

 

Baba Zula & Mad Professor / Duble Oryantal(CD)

f:id:hiroshi-gong:20191022181921j:plain

2005年リリースの4作目。Mad Professorとのコラボレーション企画第2弾。前作同様にMad Professorがミックスを担当し、自らパーカッションで参加している曲もあります。レゲエから始まり、これがSyd Barrettの曲と言われても分からないカヴァー曲、日本の演歌的な曲、そしてEinsturzende NeubautenのAlexander Hackeも参加して、インダストリアルでコラージュ的な要素も組み入れて自由奔放にカオスしまくっています。ラスト4曲は、このアルバムに収録されている曲のダブ・ヴァージョンで締め括っています。仕掛けているのは、勿論Mad Professorです。もう、何でもアリアリのエキゾチックな1枚です。

 

 

Baba Zula / Do Not Obey(CD)

f:id:hiroshi-gong:20191019092445j:plain

2014年リリースの8作目。原題は「34 Oto Sanayi」です。私が購入したのはUS盤でタイトルが違っています。英題「Do not Obey」は、服従するな、言いなりになるな、ということです。このアルバムは反政府運動や都市化が進むイスタンブールに対する危機感などをテーマにしています。一部、歌詞が過激過ぎるとのことでトルコ国内では問題視され、TVやラジオで放送禁止になったとか?これまでとは少し異なりストレートにロック色を打ち出したサウンドになっています。何物にも束縛されない彼らの信念を感じる1枚です。


 

Baba Zula / XX(2Vinyl+CD)

f:id:hiroshi-gong:20190717101902j:plain

ドイツのレーベルGlitterbeatから2017年にリリースされた結成20周年を記念したコンピレーション盤。通常のベスト盤的なのと違っていて、既発の音源は使わずに、これまで発表した曲を再録音やリミックスしたり、未発表のライヴ音源などに置き換えて収録。さらにはアルゼンチンのシンガー・ソング・ライターLa YegrosやOki Dub Ainu Bandとのコラボレーション音源、Deleyamanがリメイクした音源までも取り上げてアルバム全体を盛り上げています。なお、ボーナスCDには、Mad Professorをはじめとして様々なアーティストが手掛けたダブ・ミックスが収録されています。このタブ・ミックスもこれまでに無いぐらいぶっ飛んでいます。Baba Zulaの懐の深さを感じさせるコンピレーション盤です。

 

 

Baba Zula / Kizil Gozlum (Vinyl) 

f:id:hiroshi-gong:20190717101806j:plain

こちらもドイツのレーベルGlitterbeatから2019年にリリースされた12インチEP盤。この後に予定されているアルバムからの先行シングルです。オルタナティブクラウトロック的な雰囲気満載の曲です。B面には「Kervan Yoldan」という曲のリミックスが2トラック収録。このリミックスの1曲にSchneider TMを起用しています。この組み合わせも興味深いです。

 

 

Baba Zula / Derin Derin(CD)

f:id:hiroshi-gong:20191019092412j:plain

スタジオ録音アルバムとしては「Do not Obey」以来の最近作。彼らのトレード・マークである民族楽器サズ、ウードを駆使して、より一層サイケデリックアヴァンギャルドな世界を構築しています。ドイツのレーベルGlitterbeatからリリースで、CanのドラマーJaki Liebezeitを偲んで作られた曲など、クラウトロックに対するオマージュも感じられる。現在は創設メンバーのMurat Ertelが中心に、息子などが参加して Ertelファミリー・バンドの様相を呈している。バンドの絆も最高なので、このメンバーで是非ともライブが観たいです。

 

 

彼らの魅力は民族音楽をベースにその時代に合わせて変化出来ることです。そのどれもがBaba Zulaらしさを失っていない。簡単のようだけど、様々な音楽に精通しているからこその技だと思う。出遅れでファンになったので、しっかりとフォローしていくしかないですね。