ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

英国アンダーグランドのポスト・パンク・バンドFamily Fodderのへんてこりんなストレンジ・ポップとは

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英国アンダーグランドのポスト・パンク・バンドFamily Fodder。名前は知っていたが、しっかりと聴いたことが無かったのであります。今回、Twitterのフォロワーさんが、彼らのBandcampを紹介していたので聴いてみたら嵌ってしまった。Alig Fodderを中心として1979年にデビューします。男女がかわるがわるにヴォーカルをとりながら、様々な要素を駆使してハチャメチャでユーモラスに鳴り響く。まさにへんてこりんなストレンジ・ポップを展開していました。Alig Fodderは、The Lo Yo Yo、Johnny Human、Vox Humana、Idol Fodder、などの派生バンドでの活動も行いつつ、今現在もFamily Fodderとして活動していたのです。今回、Family FodderのCDを3タイトルも購入してしまったので、紹介したいと思う。

 

Family Fodder / More Great Hits!

2008年リリースの2枚組ベスト盤です。ミニ・アルバム「Sunday Girls」(1979年リリース)より5曲、「Monkey Banana Kitchen」(1980年リリース)より10曲、ミニ・アルバム「ScHiZoPhReNiA pArTy !」(1981年リリース)より4曲、再集結したアルバム「Water Shed」(2000年リリース)からも4曲、そして、これまでリリースされた7インチシングルや未発表音源を含めて全42曲を収録しています。最初はFamily Fodderの最高傑作とされている「Monkey Banana Kitchen」を買おうと思っていたが、圧倒的なボリューム感で彼らの魅力を余すことなく伝えてくれる本作にしました。

 

ポスト・パンクをベースにレゲエ、ダブなどの要素も絡めて自由奔放に面白おかしく攻め込んで来ます。ブロンディーやエリック・サティーのカヴァー曲を含めて、どこまで本気なのか?悪ふざけなのか?その辺りをオブラートに包み込みチープでキャッチーなサウンドです。女性ヴォーカルDominique Levillainの様々な表情を醸し出す歌い方も刺激的で存在感を示しています。This HeatのCharles BullenやThe WorkのMick Hobbs、Rick Wilsonといったレコメン系のゲストも参加しています。混沌としていながらもアットホーム的な雰囲気も感じる初期のFamily Fodderです。

Family Fodderは80年代前半で活動を停止します。2000年に同窓会的に再集結してリリースされたアルバムが「Water Shed」です。その後、2010年に活動を再開します。その時はDominique Levillainの娘Darlini Singh-KaulをフィーチャーしてFamily Fodderのアルバム制作を行っていました。Alig FodderはDarlini Singh-KaulとのユニットIdol Fodderとしてミニ・アルバムも残しています。

 

次に紹介するのはFamily Fodderとして活動していなかった時に関係するアルバムです。

Family Fodder / Foreverandever + Sex Works

2016年にEP盤「Sex Works」と、それをカップリングした「Foreverandever+Sex Works」がリリースされました。元々ForeverandeverはAlig Fodderのソロ名義の派生バンドJohnny Humanが1996年にリリースしたアルバムです。そのアルバムにこれも派生バンドVox Humanaの曲を追加してFamily Fodderとして新たにリイシューしました。Alig FodderとViv Dogan Corringhamの男女混声のヴォーカルを駆使してカラフルに鳴り響かせています。一方「Sex Works」は新たにBee Ororoをヴォーカルとして起用した新曲と80年代の代表曲「Dinosaur Sex」の別ヴァーションなど3曲を収録しています。アルバム全体の印象としては、メローな曲はよりメローに、パンキッシュな曲は奇をてらわずにストレートに真っ向勝負しています。素晴らしいアルバムです。

「Foreverandever + Sex Works」は、まだBandcampにアップされていませんでした。販売権の関係でしょうかね? 尚、初期のアルバムは今年になってからアップされたようです。デジタルはすべて「価格を決めて下さい」になっているので、結構太っ腹です。唯一CDでの販売のあった「Easy Listening (Not)」をBandcampで購入。12ドルで送料を取っていなかったので、以外と安く買うことが出来ました。オーダー後にAlig Fodder本人からサンクス・メールも頂きました。嬉しいですね。

 

Family Fodder / Easy Listening (Not)

2018年リリースされた今のところの最新作。定番となっている女性ヴォーカルは本作でも健在です。2010年よりFamily Fodderに参加しているMae KarthauserとAlig Fodderによるデュオ・アルバムです。よりシンプルに2人のヴォーカルが堪能出来ます。時代と共にサウンドは変化しても、Family Fodderとして女性ヴォーカルの存在は今後も変らないと確信出来ますね。