ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

カルト的な人気を誇るニュージーランド発のThe Garbage & The Flowersが満を持してリリースしたインディーズ・ギターバンドとしての新作!

ニュージーランドウェリントン出身のYuri Frusin、Helen Johnstoneの2人により80年代後半に結成されたThe Garbage & the Flowers。サポート・メンバーを加えて活動を行い、1992年のデビュー・シングルから5年も経った97年に1stアルバム “Eyes Rind As If Beggars” をリリース。その後、2000年代中頃までは音沙汰がなく、2007年にThe Garbage & the Flowersの派生バンドEntlangとのスプリット・カセット音源で音楽シーンに復帰。2008年にニュージーランドでのライブ・アルバム “Stoned Rehearsal” をリリースしている。“Eyes Rind As If Beggars” がVelvet Undergroundを想起させるサイケデリックなアート感で、一部リスナーからはカルト的な存在になっていた。因みに、The Garbage & the Flowersのバンド名は、Leonard Cohenの “Suzanne”  の一節から取ったようです。

 

その後、2人は拠点をオーストラリア、シドニーに移した。2013年に “Eyes Rind As If Beggars” をイギリスのFire Recordsがリイシューしたことで、一気に知名度が上がったのです。私もこの時にThe Garbage & the Flowersの存在を知ったのでした。2016年には 97年の “Eyes Rind As If Beggars” 以前に録音した未発表音源集 “The Deep Niche” をリリース。結成から30年以上経っている中で、アルバム3枚、シングルEP盤8枚ほどリリースしているが、オーストラリアに移ってからの新録としての新作はリリースされていない。それでもメンバーを集めてライブ活動は行っていた。そんな状況の中、満を持して新作がリリースされました。

 

The Garbage & the Flowers / Cinnamon Sea

Fire Recordsよりレコードとしてリリースされた本作は、オーストラリアのビクトリア州ゴールドフィールドの小さな村の廃墟となった裁判所で2019年に録音されています。全5曲収録でミニ・アルバム的な感じです。Yuri Frusin(ギター、ヴォーカル)とHelen Johnstone(ギター、ヴォーカル)の2人に加えてBen Wright Smith(ギター)、 Dan Lewis(ギター)、Stuart Olsen(ベース)、Paul Williams(ドラムス)の6人編成となっています。

 

プロデュースはメンバーであるBen Wright Smithが担当。これまでの“The Deep Niche”のようなアシッド・フォーキーな感じでもなく、Helen Johnstoneのヴィオラを用いて多彩な雰囲気を醸し出していた “Eyes Rind As If Beggars” とも違っている。Helen JohnstoneとYuri Frusinのヴォーカルを中心に何本ものギターがシンプルで有りながらもバランスよく鳴り響いて、インディーズ・ギターバンドといった様相を示している。

 

Helen Johnstoneが歌う “Eye Know Who You Are”、“Cinnamon Sea”、“On the Radio” の3曲は、何れも彼女の飾らない歌声がノスタルジックで恍惚を感じる。心の中にすっと染みこんでエンドレスに聴き込んでしまう。ふとLeonard Cohenの “Suzanne” の影響なのかとも思ってしまった。一方でYuri Frusinが歌う “Red Star” に絡むHelen Johnstoneの歌声は、茶目っ気に溢れ30年以上に渡る2人の関係性を物語っているように思う。ラスト曲 “Jacob B” はYuri Frusinの弾き語りで締めくくっている。

 

たった5曲ですが、どの曲も素晴らしいです。他にもアウトテイクが有りそうな気がしますが、Yuri Frusin、Helen Johnstoneの2人の時間軸はゆっくりでマイペースですからね。他のメンバーも個々に様々な活動を行っているため、“Cinnamon Sea” がリリースされたことで一段落といった感じでしょうか?

 

2019年のライブ映像があります。この時点で “Eye Know Who You Are” はすでに演奏されていたようです。レコーディング時の画像と併せてアップしておきます。

 

 

The Garbage & the Flowersについて、過去にも書いています。