ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

ニュージーランドのダウナーなフォーク、ロックを奏でるThe Strange Girlsの追悼盤に魅了されています

ニュージーランドのClayton Noone、Kaaterama Morehuによるローファイでダウナーなフォーク、ロックを奏でるカルト・デュオThe Strange Girls。1999年に結成され、2020年にKaaterama Morehuが亡くなるまで断続的に活動していた。そんな彼らの存在を知ったのは、スウェーデンのDiscreet Music傘下のレーベルFordamning Arkivが、初期の音源を “It's OK To Be Happy(1999-2001)” としてレコードでリリースしたことが切っ掛けでした。Fordamning Arkivは、Discreet Musicのリイシューやアーカイブを中心に扱っているレーベルです。これまでもニュージーランドのThe Garbage & The Flowersの派生バンドDressのリイシューを行っており、注目していました。

 

The Strange Girls / It's OK To Be Happy(1999-2001)

2022年11月にリリースされた本作は、バンド結成時の3人組だった1999年から2001年の楽曲にフォーカスした1枚です。Clayton Noone、Kaaterama Morehuの他にJon Arcusがドラムとして参加。この時代の音源は殆ど未発表で、カセットテープに録音していた様々な音源を集めて制作しています。彼らが初めて行ったライブでの曲 “Satan” で始まり、多彩な要素を絡めた全10曲を収録。ローファイでダウナーなフォーク、ロックをラフでノイジーな雰囲気に巧く纏め上げている。寄せ集めの音源ですが、一つのアルバムとしてトータルに聴くことが出来る1枚です。Clayton Nooneがライナーノーツを書いており、1曲ごと丁寧にコメントが記載されています。最後はRest in rock Motty. で締めている。MottyはKaaterama Morehuのことですね。

 

“It's OK To Be Happy(1999-2001)” に魅了されて、もっと色々と聴きたくなった。これまではカセットやCDRを少量生産で地元ニュージーランドのレーベル中心にリリースしていたようですが、すでに廃盤となっている状況です。ただ、Kaaterama Morehuが亡くなってから再評価されるようになって、デジタル配信で聴けることも多くなっています。そんな中、アメリカ・ミネアポリスのレーベルSoft Abuseが2021年10月にカセット音源をリリースしていた。

 

The Strange Girls / Threads

本作はKaaterama Morehuの美しくも儚いヴォーカルを中心に、ギターとオルガンの音色をミニマルさせながら、ダウナーなフォークの佇まいからフィードバック・ノイズへと導いてくれます。全4曲収録で最初と最後に10分越えの曲を配置する構成も非常に巧さを感じる。 “It's OK To Be Happy(1999-2001)”の初期衝動的な音の出し方と比べると、 “Threads” はじっくりと洗練された作りとなっています。実はこのアルバムも2010年に録音されていた未発表アーカイブ音源だった。新作に向けて準備を進めていた時に、Kaaterama Morehuが亡くなってしまったのです。リリース元Soft Abuseはアーカイブ音源になることを意図してなかった。しかし、Soft AbuseのオーナーChris Berryも深く関わって素晴らしい追悼作品に仕上げています。

 

Clayton Nooneによると、5年振りに集まって新曲の録音や古い曲の再録音に取りかかっていて、新作のアルバムタイトルも “Maelstrom” に決まってたとのこと。一部音源については、地元のレーベルよりカセット限定20本でリリースされていたようです。Soft Abuseには、早く完成盤をリリースして欲しいと思う。

 

 

 

Fordamning ArkivよりリリースされたThe Garbage & The Flowersの派生バンドDressについて書いてます。