ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

2018年アルバム・ベスト20

今年最初の更新は恒例の年間アルバム・ベスト10なのですが、2018年は絞りきれずにベスト20になってしまいました。18年リリースの新作が対象で、リイシュー盤やライブ盤、コンピレーション盤は外しています。ベスト20に入れそびれたアルバムも多く、後半の順位はかなりアバウトになっています。それだけ素晴らしいアルバムが多かったのです。今年もベテラン、中堅、新人、そして、メジャー、マイナーに拘らず新作を中心に追いかけたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

 

No.1   Jackie-O Motherfucker / Bloom

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Tom Greenwood 率いるアヴァン・ロックバンドJackie-O Motherfuckerの7年振りの新作。フォーク、ロック、ジャズ、ノイズ、民族音楽など様々な要素をギター、ヴァイオリン、サックス、フィールドレコーディングスなどを交えてサイケデリックでエクスペリメンタルに鳴り響く世界です。最高に素晴らしいです。


 

No.2   Clan Caiman / Clan Caiman

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アルゼンチンのマルチ・インストゥルメンタリスト作家Emilio HaroのバンドClan Caimán。様々な音楽活動を行っており、自身のバンドで活動するのは、今回が初めてです。そのアルバムをリリースするのが、何と日本のレーベルEM Recordsです。ポストロック的な佇まいでミニマルやアンビエントの要素も採り入れたエキゾチックなトライバル音楽。聴けば聴くほどに和んでいくちょっと不思議な世界です。 

 

 

No.3   Elephant Micah / Genericana

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Joseph O'Connellによるソロ・プロジェクト Elephant Micah。フォークをベースにしながらも、アンビエント、エレクトロといったエクスペリメンタルな要素を取り込んだ世界。白昼夢の中で微睡んでいたらいつの間にか海に流されてしまったといった幻想的な想起をもさせる傑作です。 

 

 

No.4   Oneida / Romance

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NYブルックリンのインディーズバンドの大御所Oneida。サイケデリック、ポストパンク、ガレージロック、もう何でもアリアリでカオスしまくりのごった煮サウンドは最高です。本作は、更に一歩進んで各メンバー自由奔放に音を出しあってバトルを繰り返す変態サウンドへと進化しています。

 

 

No.5   Cavern Of Anti-Matter / Hormone Lemonade

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StereolabのTim Gane率いるCavern Of Anti-Matterのサード・アルバム。デジタルとアナログを融合させ、ミニマルでエクスペリメンタルに鳴り響く。ベルリンを拠点に活動していて、より一層クラウトロックに対するオマージュを感じられる傑作。

 

 

No.6   Sandro Perri / In Another Life

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カナダ、トロントシンガー・ソングライターSandro Perriの7年振りの新作。In Another Lifeと Everybody’s Parisの2曲によるミニマル・ポップソングは、ほのぼのと心が癒やされます。追加収録でゲスト・ヴォーカルとして参加したDestroyerのDan BejarとThe Deadly SnakesのAndré Ethierが、それぞれにEverybody’s Parisを歌っています。こちらの方はアレンジも変更してプロデューサーとしての実力も発揮しています。

 

 

No.7   Dirty Projectors / Lamp Lit Prose

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前作のセルフタイトルのアルバムで内省的なことをすべて吐きだして、吹っ切れたのでしょう。本作では本来の奇天烈サウンドで未来に向かおうとしている意欲作。素晴らしいです。

 

 

No.8   Yo La Tengo / There's A Riot Going On

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「今そこで暴動が起っている」というタイトルからは過激で刺激的な動をイメージしたサウンドを思い浮かべるけど、Yo La Tengoはいつもと変らないドリーミーでポップなアルバムに仕上げています。しかし、ただ単にポップじゃないところが、彼らの魅力でもあります。アンビエントやミニマル、そしてジャズの要素をも採り入れてくるあたりは流石です。


 

No.9   Made To Break / Trebuchet

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数多くのプロジェクトで活躍するサックス、リード楽器奏者Ken Vandermarkを中心としたフリージャズ・バンドMade To Break。この新作ではShellacのBob Westonが録音、ミックス、マスタリングを行っています。まさに「ハードコア・パンクに対するフリージャズからの回答」といった言葉がピッタリのサウンドになっています。

 

 

No.10   Peaking Lights / Sea Of Sand

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LAを拠点に活動するサイケデリックでダブ・ポップ的なサウンドを奏でる夫婦デュオPeaking Lightsの新作。このエレクトロニックで摩訶不思議なグルーブ感は、彼らしか出せない世界です。

 

 

No.11   Richard Ashcroft / Natural Rebel

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やりたいことをあれこれ取り込んだ前作よりも、方向性を絞ったことでスッキリと纏まって聞える新作。アコースティックギターを中心としたサウンドが彼の歌声を力強く引き立ててくれる傑作!


 

No.12   Smashing Pumpkins / Shiny & Oh So Bright Vol.1 Lp: No Past, No Future, No Sun

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3/4によるオリジナルメンバーによるSmashing Pumpkinsの新作。大したことないと思っていたら、これが予想以上に良いです。これまでを踏襲しつつも、新たなる展開もしっかりと取り込んでいます。曲数を8曲にして、無駄なくスマパンアイデンティティを伝えているアルバムです。

 

 

No.13   Marc Ribot / Songs Of Resistance 1942-2018

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Marc Ribot名義でアンチ・トランプをテーマにしたアルバム。彼自身による楽曲の他、過去のプロテスト・ソングのカヴァー曲を含めて豪華なゲストTom WaitsMeshell Ndegeocelloらをフィーチャーして作り上げています。心に突き刺さる傑作です。

 

 

No.14   Richard Youngs / Belief

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CharlatansのTim Burgessも運営に関わっているレーベルO GenesisからリリースされたRichard Youngsのヴォーカルアルバムです。アヴァン・フォークを中心に異形な雰囲気満載ですが、しっかりと心に染みいって来ます。近年のヴォーカルものの中では一番好きです。



No.15   Stop Motion Orchestra / Lightworks

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レコメンデッド系のチェンバー/アヴァン・ロックを奏でるテキサス州オースティンのStop Motion Orchestraの2作目。エクスペリメンタルで有りつつも、ポップに鳴り響いてくれます。

 

 

No.16   God Is An Astronaut / Epitaph

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アイルランドポスト・ロックバンドGod Is An Astronautの8枚目。メンバーであるKinsella兄弟の親戚の子供さんが亡くなったことに対するレクイエム・アルバムで、ジャケット・アートワークにも表れています。これまで以上に、よりダーク・ヘビィーでメランコリックに宙を舞うサウンドは圧巻です。彼らの思いがヒシヒシと伝わって来ます。

 

 

No.17   Dire Wolves / Paradisiacal Mind

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サンフランシスコのエクスペリメンタル・ロック・バンドDire Wolvesの新作。クラウトロックスピリチュアル・ジャズプログレッシブ・ロックなどの要素を組み合わせたバンドです。瞑想的でコズミックな雰囲気満載のサウンドを展開しています。 

 

 

No.18   Landing / Bells In New Towns

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コネチカットサイケデリックアンビエント・ロック・バンド Landing の新作。シューゲイザー的な雰囲気をも感じさせる好盤です

 

 

No.19   Low / Double Negative

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新たなる方向性を示したLowの意欲溢れる新作。彼らのこれまで培ってきたスロウコア的サウンドにノイズやシンセの音が鏤められて、よりダイナミックで幻想的に聞えます。 

 

 

No.20   Begayer / Terrain A Mire . Une Maison Retive . Contrainte Par Le Toit

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ブルース、フォーク、民族音楽など、これらの要素を自作楽器でチープかつサイケデリックに掻き鳴らすフランスの3人組Begayerの2作目。時折、垣間見えるノイジーな雰囲気が心地良いです。