ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Jackie-O Motherfucker「Bloom」、アヴァン・ポップなサウンドがモダンに鳴り響く最高傑作!

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1994年に結成して以来、Tom Greenwoodを中心として活動し続けるUSアヴァン・ロックバンドJackie-O Motherfucker。2000年代初頭のフリー・フォーク・ブームで異才を放っていて、2002年リリースの「Change」で日本でも注目を浴びるようになりました。フリー・フォーク・ブーム以前から、フリー・フォームでサイケデリックサウンドを展開し、ブームが終わった後も、そのモチベーションを維持してきた彼らです。メンバーは、基本的に流動的で、レコーディングともなると多彩なゲストが多数参加してくる。Tom Greenwoodが言うには、パーマネントなメンバーは僕一人だけかな?と発言している。彼らの昨年リリースされたアルバム「Bloom」を前回の記事「2018年アルバム・ベスト20」のNo.1に選出したので、もう少し書いていきたいと思う。

 

Jackie-O Motherfucker / Bloom

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スタジオ・アルバムとしては7年振りで、3年以上かけて制作された11作目。Tom Greenwoodと10年振りにアルバム参加しているアルトサックスの Michael Whittaker以外は、ほぼ新メンバーでの布陣です。興味深いのは、サンフランシスコのエクスペリメンタル・ロックバンドDire WolvesのギタリストJeffrey Alexandeが参加していることです。Dire Wolvesも昨年後半に素晴らしいアルバム「Paradisiacal Mind」をリリースしており、Jackie-O Motherfucker側からもMichael Whittakerがゲスト参加しています。双方の交流関係もいい感じであることか伺えます。それと元TristezaのChristopher Spragueもベースとして参加。彼は自身のスタジオSanto Studioを提供しており、Tom Greenwoodと共にプロデューサーとしてもクレジットされています。

 

アルバム制作は、街の郊外にある橋の建設用のパイプ置き場にメンバーが定期的に集まって、パイプの美しいリヴァーブと共に長時間のフィールド録音を行うことからはじまっています。その時の録音物は、冒頭の1曲目「The Pipe」や5曲目「Wild Geese」のインスト曲で効果的に使用されており、全体のアクセントにもなっていて摩訶不思議な世界を醸し出している。他の曲はTom Greenwoodのヴォーカルをメインに、フォーク、ロック、ジャズ、ノイズ、民族音楽など様々な要素をギター、ヴァイオリン、サックスやフルートなどの管弦楽器を駆使したフリーキーでアヴァンなサウンドとのせめぎ合いです。これがバランス良くアヴァン・ポップでモダンに鳴り響く。全6曲収録のこのアルバムは、彼らの最高傑作だと断言出来る素晴らしさです。2007年の初来日ライブを観ているので、このアルバムでのライブが観たいですね。

 


 

 

2018年アルバム・ベスト20

今年最初の更新は恒例の年間アルバム・ベスト10なのですが、2018年は絞りきれずにベスト20になってしまいました。18年リリースの新作が対象で、リイシュー盤やライブ盤、コンピレーション盤は外しています。ベスト20に入れそびれたアルバムも多く、後半の順位はかなりアバウトになっています。それだけ素晴らしいアルバムが多かったのです。今年もベテラン、中堅、新人、そして、メジャー、マイナーに拘らず新作を中心に追いかけたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

 

No.1   Jackie-O Motherfucker / Bloom

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Tom Greenwood 率いるアヴァン・ロックバンドJackie-O Motherfuckerの7年振りの新作。フォーク、ロック、ジャズ、ノイズ、民族音楽など様々な要素をギター、ヴァイオリン、サックス、フィールドレコーディングスなどを交えてサイケデリックでエクスペリメンタルに鳴り響く世界です。最高に素晴らしいです。


 

No.2   Clan Caiman / Clan Caiman

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アルゼンチンのマルチ・インストゥルメンタリスト作家Emilio HaroのバンドClan Caimán。様々な音楽活動を行っており、自身のバンドで活動するのは、今回が初めてです。そのアルバムをリリースするのが、何と日本のレーベルEM Recordsです。ポストロック的な佇まいでミニマルやアンビエントの要素も採り入れたエキゾチックなトライバル音楽。聴けば聴くほどに和んでいくちょっと不思議な世界です。 

 

 

No.3   Elephant Micah / Genericana

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Joseph O'Connellによるソロ・プロジェクト Elephant Micah。フォークをベースにしながらも、アンビエント、エレクトロといったエクスペリメンタルな要素を取り込んだ世界。白昼夢の中で微睡んでいたらいつの間にか海に流されてしまったといった幻想的な想起をもさせる傑作です。 

 

 

No.4   Oneida / Romance

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NYブルックリンのインディーズバンドの大御所Oneida。サイケデリック、ポストパンク、ガレージロック、もう何でもアリアリでカオスしまくりのごった煮サウンドは最高です。本作は、更に一歩進んで各メンバー自由奔放に音を出しあってバトルを繰り返す変態サウンドへと進化しています。

 

 

No.5   Cavern Of Anti-Matter / Hormone Lemonade

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StereolabのTim Gane率いるCavern Of Anti-Matterのサード・アルバム。デジタルとアナログを融合させ、ミニマルでエクスペリメンタルに鳴り響く。ベルリンを拠点に活動していて、より一層クラウトロックに対するオマージュを感じられる傑作。

 

 

No.6   Sandro Perri / In Another Life

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カナダ、トロントシンガー・ソングライターSandro Perriの7年振りの新作。In Another Lifeと Everybody’s Parisの2曲によるミニマル・ポップソングは、ほのぼのと心が癒やされます。追加収録でゲスト・ヴォーカルとして参加したDestroyerのDan BejarとThe Deadly SnakesのAndré Ethierが、それぞれにEverybody’s Parisを歌っています。こちらの方はアレンジも変更してプロデューサーとしての実力も発揮しています。

 

 

No.7   Dirty Projectors / Lamp Lit Prose

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前作のセルフタイトルのアルバムで内省的なことをすべて吐きだして、吹っ切れたのでしょう。本作では本来の奇天烈サウンドで未来に向かおうとしている意欲作。素晴らしいです。

 

 

No.8   Yo La Tengo / There's A Riot Going On

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「今そこで暴動が起っている」というタイトルからは過激で刺激的な動をイメージしたサウンドを思い浮かべるけど、Yo La Tengoはいつもと変らないドリーミーでポップなアルバムに仕上げています。しかし、ただ単にポップじゃないところが、彼らの魅力でもあります。アンビエントやミニマル、そしてジャズの要素をも採り入れてくるあたりは流石です。


 

No.9   Made To Break / Trebuchet

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数多くのプロジェクトで活躍するサックス、リード楽器奏者Ken Vandermarkを中心としたフリージャズ・バンドMade To Break。この新作ではShellacのBob Westonが録音、ミックス、マスタリングを行っています。まさに「ハードコア・パンクに対するフリージャズからの回答」といった言葉がピッタリのサウンドになっています。

 

 

No.10   Peaking Lights / Sea Of Sand

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LAを拠点に活動するサイケデリックでダブ・ポップ的なサウンドを奏でる夫婦デュオPeaking Lightsの新作。このエレクトロニックで摩訶不思議なグルーブ感は、彼らしか出せない世界です。

 

 

No.11   Richard Ashcroft / Natural Rebel

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やりたいことをあれこれ取り込んだ前作よりも、方向性を絞ったことでスッキリと纏まって聞える新作。アコースティックギターを中心としたサウンドが彼の歌声を力強く引き立ててくれる傑作!


 

No.12   Smashing Pumpkins / Shiny & Oh So Bright Vol.1 Lp: No Past, No Future, No Sun

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3/4によるオリジナルメンバーによるSmashing Pumpkinsの新作。大したことないと思っていたら、これが予想以上に良いです。これまでを踏襲しつつも、新たなる展開もしっかりと取り込んでいます。曲数を8曲にして、無駄なくスマパンアイデンティティを伝えているアルバムです。

 

 

No.13   Marc Ribot / Songs Of Resistance 1942-2018

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Marc Ribot名義でアンチ・トランプをテーマにしたアルバム。彼自身による楽曲の他、過去のプロテスト・ソングのカヴァー曲を含めて豪華なゲストTom WaitsMeshell Ndegeocelloらをフィーチャーして作り上げています。心に突き刺さる傑作です。

 

 

No.14   Richard Youngs / Belief

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CharlatansのTim Burgessも運営に関わっているレーベルO GenesisからリリースされたRichard Youngsのヴォーカルアルバムです。アヴァン・フォークを中心に異形な雰囲気満載ですが、しっかりと心に染みいって来ます。近年のヴォーカルものの中では一番好きです。



No.15   Stop Motion Orchestra / Lightworks

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レコメンデッド系のチェンバー/アヴァン・ロックを奏でるテキサス州オースティンのStop Motion Orchestraの2作目。エクスペリメンタルで有りつつも、ポップに鳴り響いてくれます。

 

 

No.16   God Is An Astronaut / Epitaph

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アイルランドポスト・ロックバンドGod Is An Astronautの8枚目。メンバーであるKinsella兄弟の親戚の子供さんが亡くなったことに対するレクイエム・アルバムで、ジャケット・アートワークにも表れています。これまで以上に、よりダーク・ヘビィーでメランコリックに宙を舞うサウンドは圧巻です。彼らの思いがヒシヒシと伝わって来ます。

 

 

No.17   Dire Wolves / Paradisiacal Mind

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サンフランシスコのエクスペリメンタル・ロック・バンドDire Wolvesの新作。クラウトロックスピリチュアル・ジャズプログレッシブ・ロックなどの要素を組み合わせたバンドです。瞑想的でコズミックな雰囲気満載のサウンドを展開しています。 

 

 

No.18   Landing / Bells In New Towns

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コネチカットサイケデリックアンビエント・ロック・バンド Landing の新作。シューゲイザー的な雰囲気をも感じさせる好盤です

 

 

No.19   Low / Double Negative

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新たなる方向性を示したLowの意欲溢れる新作。彼らのこれまで培ってきたスロウコア的サウンドにノイズやシンセの音が鏤められて、よりダイナミックで幻想的に聞えます。 

 

 

No.20   Begayer / Terrain A Mire . Une Maison Retive . Contrainte Par Le Toit

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ブルース、フォーク、民族音楽など、これらの要素を自作楽器でチープかつサイケデリックに掻き鳴らすフランスの3人組Begayerの2作目。時折、垣間見えるノイジーな雰囲気が心地良いです。




2018年12月のディスカホリック

2018年12月、今年最後のディスカホリックは12タイトルの購入実績です。年間ベストを選ぶ関係で、今年リリースされたものを優先に買い漁りました。意外とフランスものが多かったですね。年間でも139タイトルの購入実績です。昨年の109タイトルに比べると大きく伸ばしています。これだと思う素晴らしいアルバムに出会えたので.、購入量が増えたと思います。私的年間ベスト・アルバムについては、いつもの様に来年1月に入ってからのアップですが、何を選ぶか悩んでいます。

 

今年も拙い文章にお付合いして下さった皆さんに感謝です。来年も地道に更新して行きますので、よろしくお願いします。

 

Begayer / Terrain A Mire . Une Maison Retive . Contrainte Par Le Toit 購入先Reconquista 購入価格2,485円

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ブルース、フォーク、民族音楽など、これらの要素を自作楽器でチープかつサイケデリックに掻き鳴らすフランスの3人組Begayerの2作目となる新作。時折、垣間見えるノイジーな雰囲気が心地良いです。


 

Stop Motion Orchestra / Lightworks 購入先Reconquista 購入価格1,944円

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レコメンデッド系のチェンバー/アヴァン・ロックを奏でるテキサス州オースティンのStop Motion Orchestraの2作目となる新作。エクスペリメンタルで有りつつも、ポップに鳴り響いてくれます。

 

 

Scherzoo / 4 購入先HMV Online 購入価格3,024円

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フランスのプログレ・バンドScherzooの新作。Magmaの影響を受けつつ、カンタベリー的な雰囲気をも感じさせるバンドです。

 

 

Vak / Budo 購入先HMV Online 購入価格3,024円

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こちらもフランスの新鋭プログレ・バンドVakの2作目となる新作。Scherzoo同様にMagmaの影響を受けており、女性シンカーAurélie Saintecroixのスキャットを交えてドラマチックに鳴り響きます。 


 

Smashing Pumpkins / Shiny & Oh So Bright Vol.1 Lp: No Past, No Future, No Sun 購入先HMV Online 購入価格2,700円

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3/4によるオリジナルメンバーによるSmashing Pumpkinsの新作。大したことないと思っていたら、これが予想以上に良いです。これまでを踏襲しつつも、新たなる展開もしっかりと取り込んでいます。曲数を8曲にして、無駄なくスマパンアイデンティティを伝えているアルバムです。


 

Inspector Cluzo / We The People Of The Soil 購入先HMV Online 購入価格2,161円

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フランスで農業も営む2人組兼業ロッカーInspector Cluzoの新作。2014年のフジロック来日時には日本のTV番組「YOUは何しに日本へ?」出演し話題となりました。来年のフジロックに是非とも出演して欲しい!


 

Rick Potts / Greatest Hits (CDR) 購入先LOS APSON? 購入価格1,380円

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LAFMS(Los Angeles Free Music Society)創設者の一人で、様々なバンド、プロジェクトでも活動するRick Pottsの作品集。LAFMS文化を伝え続ける第一人者である坂口卓也氏のレーベルNEURECからのリリースです。坂口氏がライナーノーツを書いています。これを読むだけでもLAFMSの全体像が浮かび上がって来ます。もちろん、音源もアヴァンギャルドでありながら、ポップで面白いです。

http://www.losapson.net/shop/listen/la-18774_1.mp3

http://www.losapson.net/shop/listen/la-18774_2.mp3

http://www.losapson.net/shop/listen/la-18774_3.mp3

 

 

Holydrug Couple / Hyper Super Mega 購入先Amazon.co.jp (importcds-com)  購入価格1,605円

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南米チリの Ives Sepúlveda Minho、Manuel Parraによるドリーミー・サイケディリック・デュオThe Holydrug Coupleの新作。10年近い活動歴で本作が7枚目のアルバムとのこと。チリのサンティアゴを拠点に世界に打って出ると意気込んでいます。日本にも来て欲しい!

 

 

Current 93 / The Light Is Leaving Us All 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,215円

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David Tibet率いるCurrent 93の新作。Tibetのヴォーカル作品で、いつもの様に呪文のようなアシッドフォークを展開しています。シンプルにヴォーカルを際立たせる為、バックの演奏は控えめです。それがより一層、神秘さを増している感じがします。

 

 

Current 93 / The Stars On Their Horsies 購入先Amazon.co.jp 購入価格1,781円

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こちらも今年リリースされたアルバムで、歌ものでなく1曲40分近いダーク・アンビエントで現代音楽の雰囲気を持っています。サウンド全体から伝わってくる不気味さは、まさにCurrent93の世界です。


 

Jackie-O Motherfucker / Bloom 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,253円

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Tom Greenwood 率いるアヴァン・ロックバンド、Jackie-O Motherfuckerの7年ぶりとなる新作がリリースされていたことを年末ギリギリになって知りました。様々な要素を組み合わせてサイケデリックでエクスペリメンタルに鳴り響く世界、最高に素晴らしいです。



Dire Wolves / Paradisiacal Mind(Vinyl) 購入先Reconquista 購入価格3,544円

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サンフランシスコのエクスペリメンタル・ロック・バンドDire Wolvesの新作。クラウト・ロックスピリチュアル・ジャズプログレッシブ・ロックなどの要素を組み合わせたバンドです。瞑想的でコズミックな雰囲気満載のサウンドを展開しています。 

 

 

2018.12.2 King Crimson@札幌文化芸術劇場hitaru

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King Crimsonの札幌公演に行ってきました。個人的にKing Crimsonの初ライブ体験であります。会場である札幌文化芸術劇場hitaruは今年10月に開場したばかりで、札幌発のオペラやバレエなどの舞台芸術を日本国内外に発信する「舞台芸術の創造の場」として位置づけているようです。ロックとはあまり縁が無さそうな感じですが、どこの席でもステージを見渡すことが出来て音響もいいです。King Crimsonのように年齢層の高いリスナーにとっては最高の会場です。

 

17時開場で18時開演と少し早めのスタートです。物販でトートバックとツアーパンフレットを購入しました。会場に入った段階で写真撮影禁止、録音録画禁止、さらには携帯電話の電源を切って下さいとのアナウンス。かなりピリピリした感じですが、東京公演で不祥事が起きたことを考えると当然ですね。

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ライブは3人のドラマーをステージ前面に配置した8人編成で、まずはトリプル・ドラムによるバトルから始まった。このドラムのセンターを勤めているのが、Noel Gallagher's High Flying Birdsの元メンバーJeremy Staceyであることを直前になって知った。このトリプル・ドラムの迫力に圧倒され、食い入るように見入ってしまった。

 

予習編としてMeltdown - Live in Mexicoを聴いてライブに臨んだ。CDで聴くと完璧主義的なミスの許されない緊張感を感じていた。実際のライブでは、繊細に練られたアンサンブルだけど、各メンバーの自由奔放な演奏で解放されたエネルギーが会場内を覆っていた。Robert Frippは右後方でさり気なくそれを見守りながら淡々とギターを弾いている感じであった。Fripp同様に往年のメンバーであるMel Collinsは、ソロ・パートの時にフルートで日本国歌である君が代のフレーズを入れるなど、もの凄く楽しんでいるように見えた。King Crimsonについては、あまり詳しくない為、一音一音逃さず、しっかりと聴いてやろう、見てやろうと観戦していた。 知っている曲Moonchildを演奏した時にはちょっとホッとした。気合いを入れすぎたので、第1部が終わった時には、椅子に座ったままだったけど、疲労感一杯でした(笑)。

 

20分の休憩を入れて第2部のスタートです。第2部もドラム・バトルからのスタートです。第1部でテンションを上げすぎたので、ノンビリと観戦です。それでもRed、Epitaph、Starlessは、こみ上げてくるものがありますね。思わず立ち上がりそうになったけど、回りをみても皆さん冷静にライブ観戦していたのには、少し戸惑いもありました。詳しい友人が言っていたお地蔵さん状態って、このことかと納得。Starlessが終わって本編終了と分かると一斉に立ち上がって拍手喝采のアンコールです。アンコール曲は誰しもが知っている 21st Century Schizoid Manです。Mel CollinsはサックスでジャズのスタンダードナンバーであるA列車で行こうのフレーズを絡めていた。後で、Live in MexicoのCDで確認したけど、しっかりと入ってますね。やはり、この曲は最高です! 

 

新曲もリリースしないで、未だに50年近い古い曲に頼って演奏している懐メロ・バンドに、殆ど興味を持ってない私ですが、このKing Crimsonは違いますね。コアなファンじゃないので大きなことは言えないけど、どの曲も新曲のように聞えてしまう。曲を時代に合わせて再構築して進化させるのは、新曲を作るよりも難しいと思う。ツアーパンフレットのキング・クリムゾン2018の7か条の一つに、「すべての音楽は新曲だ。それがいつに書かれたとしても。」と 記載されている。まさに、これを実践したライブであったと思う。

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最後の最後にベースのTony Levinがカメラを手にした時から写真撮影解禁というお約束ごとを理解していませでした。回りがスマホを取り出したので、自分も慌てて何とか写真を1枚撮ることが出来ました。みんなの輪に加わることが出来て最高に良かったです。

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2018年11月のディスカホリック

前回のディスカホリックでCDを売ったことを書いた。その時点では、段ボール箱に詰めて買い取りセンターに送ったところまででした。送ってから2週間ぐらいで明細書が届いた。240枚送って101枚を金額21,788円で買い取ってくれました。当初、1箱20,000円で売れれば良いかと思っていたのでOKなのですが、何でこれに価格が付かないのか?色々と思うところが有ります。事前に価格が付かないものは、処分する契約にしていましたが、それらの方が90年代のインディーズものが多くてマニア受けすると思う。やはり、商売ですから、売れるものしか買い取りません。CD自体が売れてないので価格も予想以上に安い。大物アーティストでも需要と供給のバランスがあるので、同じアーティストでも20円だったり100円だったりと色々とあります。これまでCDを売ったことが無く、今回初めて売ったので色々と勉強になりました。まだまだ、売らなきゃならないものが大量に有るのですが、次に売るのは来年の春ぐらいです。もう寒くて物置でのCD整理は行えないですしね。

 

11月のディスカホリックは金銭的な余裕もあって19タイトルの購入実績でした。私的年間ベストに向けての王道路線の買い込みも一気に行ったディスカホリックなので、楽しみなものも多い。まあ、いつもよりも購入数が多い為、しっかりと聴けてない状況です。なので、簡単な紹介だけになっています。

 

それと、今月は何と9年振りにHMVでCDを買いましたよ。5枚纏めて買うと安くなる企画で、価格的にはWOW HDと比べても遜色ないのです。ただ、取り寄せが多く纏めて出荷されるので、時間が掛かるのが玉に瑕かな。

 

 

Spiritualized / Nothing Hurt 購入先HMV Online 購入価格1,484円

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Spiritualizedとしての最後のアルバムとも噂される6年振りの新作。すべてを1人で作り上げた力作です。9月のライブに行けなかったことに今更ながら後悔している。

 

 

 

Marc Ribot / Songs Of Resistance 1942-2018 購入先HMV Online 購入価格1,231円

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フジロック2018でMarc Ribot's Ceramic Dogとして素晴らしいライブを披露してくれたMarc Ribot名義の新作。彼自身による楽曲の他、過去のプロテスト・ソングのカヴァー曲を含めて豪華なゲストをフィーチャーして作り上げています。心に突き刺さる傑作です。

 

 

Low / Double Negative 購入先HMV Online 購入価格1,354円

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新たなる方向性を示したLowの意欲溢れる新作。彼らのこれまで培ってきたスロウコア的サウンドにノイズやシンセの音が鏤められて、よりダイナミックで幻想的に聞えます。

 

 

Epic45 / Through Broken Summer 購入先HMV Online 購入価格1,289円

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ポストロック、エレクトロニカアンビエントシューゲイザーなど様々な要素をミックスしてサウンドを築き上げてきたEpic45の7年振りの新作。基本的には何も変っていないけど、より壮大で幽玄なサウンドになった感じがする。

 

 

Richard Ashcroft / Natural Rebel 購入先HMV Online 購入価格1,490円

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やりたいことをあれこれ取り込んだ前作よりも、方向性を絞ったことでスッキリと纏まって聞える新作。アコースティックギターを中心としたサウンドが彼の歌声を力強く引き立ててくれる傑作!


 

Suede / The Blue Hour 購入先HMV Online 購入価格1,490円

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再結成後の3作目で3部作の最終章となる新作。新たな試みも伺えるが、Suedeらしいサウンドでファンなら納得の1枚です。


 

King Crimson / Meltdown: Live In Mexico (3CD+Blu-ray)  購入先HMV Online 購入価格3,854円

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ライブ観戦の予習で購入した最新ライブ・アルバム。 

 

 

Primal Scream / Give Out But Don't Give Up: The Original Memphis Recordings (2CD)  購入先HMV Online 購入価格1,633円

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今頃になってオリジナル・メンフィス録音はこれなんです!と言われてもなあ(笑)。1991年のScreamadelicaの時は「今どきロックンロール、イエイ!!! なんて・・」と言っていたのですよ。それで1994年のGive Out But Don't Give Upの時には正直瞞された思いでした。そして今回ですからね。常にファンを瞞し続けてきた彼らですが、憎めないのですよ。当時、この音源をボツにして録音し直しを命じたAlan McGeeの存在も凄い。1994年のGive Out But Don't Give Upとオリジナルを聞き比べるしかないですね!!!

 

 

The Skygreen Leopards / The Jingling World Of The Skygreen Leopards(Vinyl) 購入先Jet Set Online Shop 購入価格2,624円

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2000年代初期より活動しているGlenn DonaldsonとDonovan Quinnによる2人組、Skygreen Leopards。初期のころのCDrでリリースされたていた曲を纏めたコンピレーション盤。

 

The Skygreen Leopards / Family Crimes(Vinyl) 購入先Jet Set Online Shop 購入価格2,224円

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買いそびれていた2014年リリースのアルバム。Woodistからのリリースでレーベル色を意識したローファイ・フォーク・ポップ路線になっています。


  

Peaking Lights / Sea Of Sand(Vinyl) 購入先Jet Set Online Shop 購入価格2,024円

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LAを拠点に活動するインディ・サイケデリック・ダブ・ポップ・夫婦デュオPeaking Lightsの新作。このエレクトロニックで摩訶不思議なダンサブルなグルーブ感は、彼らしか出せない世界です。

 

 

Kavus TorabiからGong Expressoまでの4タイトルは、Gong関連として纏めて記事にしました。

Kavus Torabi / Solar Divination EP 購入先Kavus Torabi Bandcamp 購入価格£9.30(1,434円)

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Dave Sturt / Dreams & Absurdities  購入先Amazon.co.uk 購入価格£5.48(842円)

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Ian East / Inner Paths 購入先Billboard Live 購入価格2,000円

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Gong Expresso / Decadence 購入先Amazon.com 購入価格$28.74(3,380円)

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 以上、4アイテムがGong関連です。

 

 

J Mascis / Elastic Days 購入先HMV Online 購入価格1,419円

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ソロ名義4作目となる新作。肩の力が抜けて、ゆったりと大らか歌い上げるJ Mascisのヴォーカルが心地良い。

 

 

Muse / Simulation Theory  購入先HMV Online 購入価格1,334円

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毎度のことながら、派手で大仰しMuseの新作。もう購入しなくてもいいかと思いつつも購入してしまうのですよ。

 

 

Spirit Fest / あのひと Anohito 購入先HMV Online 購入価格1,889円

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日本のテニスコーツとMarkus Acher(The Notwist)、Cico Beck、Mathew Fowlerによるユニットの2ndアルバム。今年4月のライブが思い出されます。

 

 

Magic Carpathians / Animism(10" Vinyl) 購入先Sklep.Gusstaff.com 購入価格84,00 zł(2,653円) -

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A面B面、1曲ずつの10インチ・シングルです。Magic Carpathiansの独特な雰囲気が溢れています。

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12月2日、札幌文化芸術劇場hitaruにKing Crimsonを観に行きます。

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初めてKing Crimsonを観に行きます。この20年近くまともに聴いたことが無かったのです。一応、スタジオ盤は1995年のThrakまでは買っていたし、Box である紅伝説1969-1984 (The Essential King Crimson)も持っている。物置のどこかに有るはずだけど。まあ、コアなファンでないのは確かです。一応、購入履歴を確認したら2004年にEarthboundの音の良いHDCDを買っているが、聴いた記憶が無い。

 

そんな感じですが、予習しようと思い、詳しい友人に尋ねると、「観客の9割以上が地蔵だと思うので、何となく知っていれば大丈夫かも?」と言った返答。とは言え、取り敢えず、最新ライブ盤でMeltdown - Live in Mexicoを輸入盤で購入する。3CDとBlu-rayのセットだけど、Blu-ray持って無いのですよ。ユーチューブに映像があったので観てみると、まさに友人が言っていた「観客の9割以上が地蔵」に思わず納得してしまった。

King CrimsonMeltdown - Live in Mexico

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音源の方は2017年7月にメキシコシティの劇場Teatro Metropolitanで5日間にわたって行ったコンサートの模様を収めている。CDはトータル3時間30分以上で、Blu-rayは2時間以上の映像とのこと。CDだけでも39曲も入っているので、実はお買い得かも?と友人は言っている。今回のジャパン・ツアーもこのアルバムのアレンジが基本とされているようなので、雑誌のアルバム・レビューなどでもこのアルバムで予習OK的なことが書かれている。

 

今、必死になって聴いているが、この独特な緊張感を強いられる雰囲気について行けるかちょっと不安です(笑)。もはや宗教の世界です。いや、昔からそんな感じでしたね。少しの狂いも許さない完璧主義!なんとかついて行くよう頑張ります。どんなライブになるのか、もの凄く楽しみです。

 

Live in Mexico の映像


 

 

勝手にGong Familyと名乗っているので・・・

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10月31日に行われたGongのライブ、素晴らしかったです。未だにその余韻から抜けきれずにいます。創始者であるDaevid Allenはいないけど、彼の意思を引き継ぎGongは現代へと蘇っています。

 

1969年結成で来年50周年を迎えるGongです。その長い歴史の中で多くのメンバーが関わってきました。一言でGongといっても色々なGongがあります。70年代中頃にDaevid AllenとGilli Smythが、音楽的にあまりにも複雑になりすぎたことを嫌って脱退します。残ったメンバー達がGongを継続して、そこからPierre Moerlen's Gongが結成されます。一方、Allenの方もPlanet GongやNew York Gongを、そしてGilli SmythはMother Gongとして活動して行きます。それぞれに音楽志向を持っていたし、様々な確執を持っていたのも確かです。


Daevid Allen は1990年にGong本体を再始動させます。90年中頃には全てのGongはみな家族であると言った発言からGong Familyなる言葉が生まれます。97年のGong2回目の来日は、何とPierre Moerlenが参加していたのです。まさにGong Family マジックであります。Steve Hillageについては、2006年のアムステルダムで行なわれたGong UnConventional GatheringでやっとAllenとHillageが同じステージに立つことになりました。2009年には Hillageが参加したGongでフジロックにも出演しています。 

 

2012年にもGongは来日しているが、その時にはSteve HillageやMike Howlettといった70年代黄金期を支えてきたメンバー達はGongを離れていた。そこに新たに参加していたのが、Fabio Golfetti、Dave Sturt、Ian Eastであった。特にGolfettiはInvisible Opera Company Of Tibetのメンバーでもあり、Daevid Allenのソロプロジェクトを支えてきた人でもあります。この時のライブにはAllen と一緒にAcid Mothers Gongを行っていたAcid Mothers Temple河端一 がゲストとして参加してライブを大いに盛り上げてくれたのです。

 

その後、2015年にDaevid Allen、2016年にGilli Smythが宇宙へと旅立っています。残されたFabio Golfetti、Dave Sturt、Ian Eastの3人は、Allenの意思を引き継ぎKaves TorabiとCheb Nettlesを加えてGongを継続します。そして、今回のライブにスペシャル・ゲストとしてSteve Hillageが参加したのであります。

                         

私のGongに対する思いは、ちょっと特別です。2005年に始めたミクシーのハンドルネームはひろし@Gong Familyです。今は閑古鳥が鳴いてブログ更新ぐらいしかやってませんが、ひろし@Gong Familyのままです。このはてなブログのidもhiroshi-gongです。本当はhiroshi-gong familyと登録したかったのですが、確か登録出来なかったかな?何で登録出来なかったか忘れたけどね。それとプロフィール写真のメッセージGet Well Soon Daevid!は、Daevid Allenに向けたものであります。

 

勝手にGong Familyと名乗っているので、Gong関連のCDはメンバーのソロ活動も含めて多数持っている。ただ新生Gongのメンバーについては殆ど持って無いので、今回のライブを切っ掛けに色々と購入してみました。本当はこれを紹介したかったのですが、前置きが長くなってしまいました。

 

Kavus Torabi / Solar Divination

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リード・ヴォーカル、ギターのKavus Torabiの今年リリースされたシングルです。新生Gongの演奏がサイケデリック色強めなのは、Kavus Torabiの影響かな。このシングルを聴いてそう思った。彼の場合、自身のバンドKnifeworldでもサイケデリックサウンドを中心とした活動しています。Knifeworldのサイトによると、12月にライブを行う予定とのことです。そちらの動向も気になります。

 

 

Dave Sturt / Dreams & Absurdities

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2015年にリリースされた本人初のソロ・アルバム。単なるベーシストで終わらない様々な要素を持っています。Daevid Allen、Steve Hillage、Kavus Torabi、Fabio Golfetti、そして、2000年代のGongを支えたサックス奏者Theo TravisらGong Familyが参加。やはりGongの次なる展開もDave Sturtが中心となるのでしょうね。


 

Ian East / Inner Paths

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Gongサウンドに多彩な雰囲気を醸し出しているサックス奏者Ian Eastの2016年リリースのファースト・ソロアルバム。そのままGongに使えそうなものから、民族音楽的なものまで、色々とあるけど、そのどれもがポップで聴きやすい。

 

 

Gong Expresso / Decadence

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新生Gongじゃないけど、彼らもGong Familyの一員です。Daevid Allenが脱退した後のGong、そして、その後Pierre Moerlen's GongのメンバーであったHansford Rowe、Benoit Moerlen、François Causseに新たなるギタリストJulien Sandifordが参加して結成されたGong Expressoの2018年リリースのファースト・アルバム。バンド名からしてもPierre Moerlen's Gongの流れを継ぐジャズテイスト満載の内容です。Pierre Moerlenも天国から喜んでいるにちがいない。