ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

アート セックス ミュージック / コージー・ファニ・トゥッティ

ヌードモデル、ストリッパーでもあり、伝説のノイズ・インダストリアル・バンドThrobbing GristleのメンバーCosey Fanni Tutti。彼女が生まれてから2014年までの日記をベースにした自伝。2017年に刊行され、日本語翻訳版は2018年9月に元ロッキングオンの坂本麻里子氏の翻訳で発行された。値段が高くて購入するのを躊躇していたが、今年Coseyのソロアルバム「Tutti」やCarter Tutti Void「Triumvirate」がリリースされたこともあって、やっと購入しました。

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500ページ近くあって写真が16ベージのみの分厚い本です。読むのに時間が掛かってしまったが、興味深く読み終えることが出来た。Coseyを取り巻く様々な人間関係が、愛と欲望の渦に巻き込まれながら描かれています。ここまでしなくてもいいかと思うところまで、自分自身をさらけ出しています。まさにこの本の推薦文でRobert Wyattがキーワードとして取り上げている「Far Out(型破り、斬新)」を許容されるギリギリ限界の地点から始めているアーティストなのです。

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アート・パフォーマンス・グループCOUM Transmissions時代からのGenesis P-Orridgeとの肉体関係も含めて、その後のThrobbing Gristleで出会い結婚するChris Carterとの思いなど赤裸々に語っています。この本が面白いのは、その時代を取り巻く文化やカルチャーなども書かれていることです。それとThrobbing GristleやCoseyに関わってきたバンドやアーティストも登場して暴露本的な内容も強烈です。後半には家族愛的なことも書かれており、Coseyを知らない方でも一人の女性アーティストの生き様を描いた本として充分に楽しむことが出来ると思う。

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個人的には、2000年代に入ってからの再結成や新作「Part Two - The Endless Not」からXーTG「Desertshore / The Final Report」に至るまでのリアルタイムでフォローしていた時が一番興味深かったです。もちろん、70年代のエログロ時代も面白いのは言うまでもありませんが。やはり、それまでの確執を乗り越えてThrobbing Gristleの音楽を愛するファンの為に、活動を続けることは中々出来ることでは無いと思う。しかし、ドランスジェンダーして性格までも破綻してしまったGenesis P-Orridgeが脱退したことで終わってしまうのです。Peter Christophersonが亡くなったので、本当に伝説になってしまったThrobbing Gristle。これについてはGenesisの意見も聞きたい所でもありますね。この本を読んだ後でThrobbing Gristleのアルバムを聴き直すと、これまで以上にCoseyの葛藤に満ちた心の叫びを感じてしまった。ファン必読の本であることは間違いないです。

 

 

Coseyの今年リリースされた2作のアルバムをアップします。このアルバムのおかけで「アート セックス ミュージック」に出会うことが出来ました。2作とも、もの凄く素晴らしいアルバムです。

Cosey Fanni Tutti / Tutti

35年ぶりのソロ・アルバム。エクスペリメンタルでビートを効かせたサウンドは最高に格好いい!! 


Carter Tutti Void / Triumvirate

Chris CarterとCosey Fanni Tuttiの夫婦に、Factory FloorのNik Voidが加わったプロジェクトの3作目。エレクトリックでインダストリアルなダンスサウンドに絡むノイジーなギターが気持ちいい!


 

 

最後に、Cosey Fanni Tuttiのインタビュー記事もアップしておきます。インタビュアーは坂本麻里子氏です。心臓の病気と関わりながら生活していると言った気がかりなことも発言しています。ちょっと心配です。

 

 

 

2019年11月のディスカホリック

11月のディスカホリックは頂き物を含めて23タイトルの実績でした。久しぶりに少し買ったかな?と言った感じです。カセット5本は中古カセットデッキを購入したのが大きいですね。今月はブログ更新のために、特定の音源しか聴けてないのが現状ですが、これぞと思うものも多いのでしっかりと聴いていくしかない。まだ、フィジカルメディアとして欲しいと思える音源あることに感謝です。

 

The Clandestine Quartet / One for the Fossa, Two for the Wolverine(Vinyl) 購入先Record Shop "Reconquista" 購入価格4,596円

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Sun City GirlsのBishop兄弟2人とChris Corsano、Michael Flowerによる新バンドThe Clandestine Quartetのファースト・アルバム。

 

Sun City Girls / Dawn of the Devi(Vinyl) 購入先WOW HD 購入価格2,619円

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1991年にリリースしていた「Dawn of the Devi」が、ついにヴァイナル・リイシューされました。

The Clandestine Quartetと Sun City Girlsについて書いています。


 

Anaïs Maviel / In The Garden(CD) 

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Gold Bolus RecordingsのDave Ruderからの頂き物。ニューヨークの女性ヴォーカリストAnaïs Mavielのライブ録音によるセカンド・アルバム。 

 

Anaïs Maviel / hOULe(CD) 購入先Gold Bolus Recordings Bandcamp 購入価格$26.00(2,946円)

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2016年リリースのファースト・アルバム。

 

The Chutneys / Home(CD) 

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Gold Bolus RecordingsのDave Ruderからの頂き物。ニューヨークの実験的即興バンドThe Chutneysのファースト・アルバム。

Anaïs MavielとThe Chutneysについても書いています。


 

Larsen / Arrival Vibrate(Cassette) 購入先Cassauna Bandcamp 購入価格$22.00(2,496円)

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今年のミニアルバム「Tiles」に続く新作。今回はインストゥルメンタル作でコラボレーションしたことのある故Z'EV(1951~2017)対する追悼アルバムです。A面1曲Arrival Vibrateのライブ録音です。B面はその曲のリミックスヴァージョンでJohn Duncanが担当しています。

 

 

Special Occasion / The Word(Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格3,152円

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Guy GormleyとDavid GrayによるユニットSpecial Occasion。2017年にカセットでリリースされ、ヒットしたことで2018年にVinylとしてリイシュー。ジャズ、テクノ、インディーポップと様々な要素を持った不思議なアルバム。

 

Special Occasion / Ibiza Redux(Vinyl) Art Into Life 購入価格2,382円

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2019年リリースの12インチEP盤による新作。 

 

 

Memory Drawings / Phantom Lights(CDR) 購入先Sound In Silence Bandcamp 購入価格£15.00(2,193円)

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ロッコのハンマード・ダルシマー奏者Joel Hansonを中心として、90年代の音響系バンドHoodと同じく90年代のインディーズ・ギターバンドMovietoneらのメンバーが集まって2012年に結成したMemory Drawings。彼らの2018年リリースの4作目。ヴァイオリン、チェロなども駆使して、まさにポスト・ロック的なサウンドを構築しています。昔、厄介な音響派と言われていた私だけに、もろに好きなサウンドです。


  

Jeffrey Alexander / Meditations For Beowulf(Vinyl) 購入先Dire Wolves Bandcamp

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Dire Wolvesの中心メンバーとして活動しているJeffrey Alexanderの最新ソロ・アルバム。

 

Jeffrey Alexander / Wayfinding Beacons From Planet To Planet(Vinyl) 購入先Dire Wolves Bandcamp

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2015年リリースのアルバム。

 

Jeffrey Alexander / Floating Lights(Cassette) 購入先Dire Wolves Bandcamp 

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2015年リリースのカセット・アルバム。

購入価格 Meditations For Beowulf+Wayfinding Beacons From Planet To Planet+Floating Lightsの3セット企画$50.00(5,679円) 

3セット企画で売っていたので購入しました。まだ、しっかりと聴けていませんが、Jeffrey Alexanderの目指しているサイケディリック感満載です。

 

 

Old Million Eye / Teleportation Chronicles(Cassette) 購入先Old Million Eye Bandcamp 購入価格$27.00(3,066円)

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こちらもDire Wolvesのメンバーとして活動しているBrian Lucasのソロ名義Old Million Eyeの新作。

 

 

Angel Archer / Angel Archer(CD) 購入先Tape Drift Records 購入価格$15.00(1,704円)

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Dire Wolvesの2人、Brian LucasとSheila Boscoに Gregory Haganが加わっての新バンドのファースト・アルバム。

 

 

Rambutan / The Temple Of Echo 3(CD)  

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Angel ArcherのCDをオーダーしたTape Drift Recordsからの頂き物。レーベル・オーナーであるEric Hardimanのプロジェクトです。エレクトロニックス・サウンドが心地よく鳴り響いています。Eric Hardimanに感謝です。

 

 

43Odes / 43Odes(Cassette) 購入先Worstward Recordings Bandcamp 購入価格$20.50(2,322円)

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Steven R. Smith、Glenn Donaldson、 Brian Lucasのユニット。この3人、90年代サイケデリックバンドMirzaのメンバーです。 

 

 

Ulaan Khol / Collapsing Hymns(Cassette) 購入先Worstward Recordings Bandcamp 購入価格$24.50(2,774円)

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Steven R. SmithのUlaan Khol名義による4年振りの新作カセット。何と木箱入りです。


 

 

The Legendary Flower Punk / Zen Variations(CD) 購入先Discogs Marketplace       (miru48mir)   購入価格$24.00(2,731円)

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Kamille Sharapodinov率いるロシア・サンクトペテルブルグポスト・ロックバンドThe Legendary Flower Punk。2016年リリースのアルバムを、やっと購入することが出来ました。ジャズ、プログレサイケデリッククラウトロックなどの要素を取り入れて華麗に鳴り響いています。今年、新作もリリースされていますが、CD化はまだのようです。

 

 

Hochzeitskapelle / If I Think of Love(CD) 購入先Amazon.co.jp(marvelio-japan) 購入価格2,881円

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The NotwistのAcher兄弟を中心に結成されたブラス楽団Hochzeitskapelleの新作。


 

Alternative TV / Primitive Emotions(CD) 購入先Fourth Dimension Records 購入価格£13.50(1,862円)

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2016年から2019年までのシングル、EP盤を纏めた新作。

この新作を購入する切っ掛けとなった、70年代のコンピレーションBOXについて書いています。



Baba Zula / 3 Oyundan 17 Muzik(CD) 購入先Amazon.co.jp(みっちゃん書房) 購入価格1,805円

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1999年リリースの2作目。

 

Baba Zula / Roots(CD) 購入先Amazon.co.jp(voice) 購入価格2,356円

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2007年リリースの6作目。

 

Baba Zula / Gecekondu(CD) 購入先Amazon.co.jpディスクユニオン横浜西口店) 購入価格1,008円

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2010年リリースの7作目。

11月の記事でBaba Zulaに嵌まっていることを書いた。その時は6タイトル購入していた。未だ熱冷めやまず、追加で3タイトルも購入してしまった。まだ、殆ど聴けていませんが。


 

 

Gold Bolus RecordingsのDave Ruderからの頂き物

以前、Thee Repsというバンドをこのブログで取り上げた。その記事を見たThee Repsの中心メンバーであるDave RuderからFacebookメッセンジャーを通じてメッセージが届いた。貴方がブログで取り上げているのを見たよ!自分がオーナーであるGold Bolus Recordingsの新作がリリースされたので紹介することのであった。本人から直接メッセージが来るのは嬉しいですね。ブログにFacebookTwitterのリンクを載せていたので、そこから来たのでしょう。後で確認するとGold Bolus RecordingsのTwitterでブログがリツイートされていました。

それで、紹介してくれたのがAnaïs Mavielのセカンド・アルバム「In The Garden」でした。気に入ったのでCDかカセットで購入したいと返信した。すると、デジタルとアルバムジャケットのオブジェのみの販売であるが、気に入ってくれたということでフリーのサンプルCDを送ってくれた。Dave Ruder、有難う!!

 

Anaïs Maviel / In The Garden

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Anaïs Mavielはヴォーカリストパーカッショニストであり、様々な楽器を駆使するマルチ・アーティストです。本作では彼女のヴォーカルを中心にして、アフリカの民族楽器カメレンゴニ、ブラジルの打楽器スルド、シンギングボール、ピアノを一人で演奏した2018年Obey Convention Festivalでのライブ録音です。エキセントリックなボーカルに絡む楽器が、シンプルに鳴り響きながら異空間を彷徨う不思議な世界を構築している素晴らしいアルバムです。

 

購入していませんが、デジタルと一緒に販売されているアルバムジャケットのオブジェです。このオブジェもAnaïs Maviel自身によるものです。

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Anaïs Mavielのライブ映像です。後半、様々なミュージシャン達とのコラボレーションも行っています。


頂き物だけでは申し訳ないので、Gold Bolus RecordingsのBandcampからAnaïs Mavielのソロ・デビューアルバム「hOULe」を購入。届いてみるとGold Bolus Recordingsの 最新作としてリリースされたThe Chutneysのデビュー・アルバム「Home」も一緒に送ってくれました。

 

Anaïs Maviel / hOULe

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Anaïs Mavielの2016年リリースのソロ・デビューアルバム。「In The Garden」と比べると、よりシンプルに彼女のヴォイスパフォーマンスを堪能できる内容となっている。使用している楽器はブラジルの打楽器スルド、シンギングボールのみで、もちろん本人の演奏です。

  

The Chutneys / Home

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2019年11月にデビュー・アルバムをリリースしたニューヨークの実験的即興バンドThe Chutneys。Chris Cochrane(ギター)、 Fast Forward(パーカッション)、 Gelsey Bell(ヴォーカル)の3人組で、アヴァンギャルド、ノイズ、フォーク、パンクなどを要素をベースにしてインプロヴィゼーション的なサウンドを構築しています。Chris Cochraneと Fast Forwardは80年代から実験音楽シーンで様々な活動を行っています。この2人が織り成すミステリアスなインプロ・サウンドにGelsey Bellのメローから雄叫びまでの変幻自在なヴォーカルが宙を舞う世界。こちらも素晴らしいです。

 

Anaïs Maviel、The Chutneys、いずれもアヴァンギャルドな女性ヴォーカルを中心としたアルバムです。最近、フランスの女性ヴォーカルLeonore Boulangerなどにも嵌まっていただけに、紹介してくれたDave Ruderには本当に感謝です。Gold Bolus Recordings、今後も注目です。


Gold Bolus Recordingsのホームページです。


Gold Bolus Recordingsのホームページからバックカタログを確認してみるとSam Sowydaもリリースしています。このブログで2年前に取り上げていましたね。

 

 

Sun City Girls、新旧聴き比べ

1982年に結成してハード・コアからフォーク、そしてノイズまで縦横無尽にジャンルの垣根をぶっ壊して胡散臭い活動を続けてきたアメリカ・アリゾナのバンドSun City Girls。2007年にメンバーのCharles Gocherの死去により活動を停止してしまった。残されたAlan BishopとRick Bishopの兄弟は、個々に様々な活動を行っている。

 

今回、Bishop兄弟の2人とChris Corsano、Michael Flowerによる新たなるバンドThe Clandestine Quartetのデビュー・アルバムがリリースされ、Sun City Girlsの1991年のアルバム「Dawn of the Devi」がヴァイナル・リイシューされました。まさにSun City Girls、新旧聴き比べをやってくれ!といった感じであります。

 

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The Clandestine Quartet / One for the Fossa, Two for the Wolverine (Vinyl)

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これまでも、Bishop兄弟によるスプリット・アルバムやコラボレーションはありましたが、バンド編成としてはSun City Giris活動停止以降、初めてだと思う。しかも、ドラムはRick BishopとRangdaで活動しているChris Corsanoです。そして、もう1人はChris Corsanoとデュオを組んでいたこともあり、Vibracathedral OrchestraのメンバーでもあるMichael Flowerであります。彼はドローン・ノイズからフォークまで様々な音楽に精通しており、マルチに活動しています。The Clandestine Quartetとして最強のメンバーが結集したのです。

 

A面1曲を締める瞑想的で陶酔感あふれる「Don't Hang From My Ceiling」から始まり、ロックやフリージャズ的な曲をミニマルに鳴り響かせています。民族音楽的な雰囲気も垣間見せつつ4人の英知を纏め上げたアルバムは、Sun City Girisのコアで厄介な部分を彷彿させてくれます。聴き所満載で素晴らしいです。

FacebookにアップされていたThe Clandestine Quartetのライブ映像です。Chris Corsano、Michael Flowerがいい感じでBishop兄弟を盛り上げています。

 

 

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Sun City Girls / Dawn of the Devi (Vinyl)

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1991年にリリースしていた「Dawn of the Devi」が、ついにヴァイナル・リイシューされました。今の時代を考えるとヴァイナルのみというのもSun City Girlsらしいかな?名盤とされている90年の「Torch Of The Mystics」や93年の「Valentines From Matahari」が早い段階でCD化やリイシューが行われたことを考えると、今まで何もされなかったことに少し不思議な感じがする。

 

結成当初はバンクバンドとして活動していたが、80年代後半からオルタナティブ的に様々な要素を採り入れてきたSun City Girls。本作はインプロヴィゼーションを中心としたノイズ・ロックを展開しています。当時、ロー・ファイでフォーキーな楽曲も多かった彼らの中では、不協和音のアンサンブルが飛び交う攻撃的なサウンドになっています。3人の個性が犇めくバトルで、Charles Gocherのドラミングの凄さを再確認しました。何でも有りのSun City Girlsだからこそ、なせる技だと思う。

 

Bishop兄弟は、Sun City Girlsとして復活することはないと公言しています。それだけ、Charles Gocherが偉大だったのでしょう。それならば、Sun City Girlsに最も近いThe Clandestine Quartetを後継バンドとして今後も続けて欲しいです。それと近年、Sun City Girlsのリイシューが多くなっていますが、まだ、80年代のカセット音源が少ないように思います。これは音源管理をしている兄のAlan Bishopにお願いしたいですね。

 

 

 

 

 


 

 

トルコの民族音楽にオルタナティブ要素をぶち込んだBaba Zulaに嵌まっています。

7月に2タイトル、10月に4タイトルも購入してしまったトルコのオルタナティブジャム・バンドBaba Zula。このバンドについては、個別に取り上げるしかないですね。

f:id:hiroshi-gong:20191103160558j:plainBaba Zulaは1996年にトルコ、イスタンブールにて映画のサウンドトラック制作のために結成されました。トルコの民族音楽をベースにオルタナティブ要素をぶち込んでジャム・バンド的なサウンドを展開しています。Murat ErtelとLevent Akmanが中心となって、その都度ゲスト・ミュージシャンを招いて活動し、これまでにアルバム9枚、EP盤1枚、コンピレーション盤1枚をリリース。7月にEP盤「Kizil Gozlum」を購入したことで一気に嵌まってしまった。名前ぐらいは知っていたが、本格的に聴くのは初めてです。7月、10月のディスカホリックでも簡単に書いていますが、6タイトルも購入しているので纏めてリリース順に紹介します。

 

 

Baba Zula & Mad Professor / Ruhani Oyun Havaları-Psychebelly Dance Music(CD)

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2003年リリースの3作目。ダブ・ミュージックの大御所Mad Professorとのコラボレーション企画。この異色の組み合わせで世界的に存在感を示した出世作。原題「Ruhani Oyun Havaları」がトルコ語で、世界で売るには英題「Psychebelly Dance Music」が必要だったのでしょう。このアルバムでMad Professorはミックスとマスタリングを担当。当時、トルコを含む中東の音楽が注目されていた中で、Mad Professorの名前を前面に押し出して知名度を上げたかったのかもしれませんね。Baba Zulaは単なる民族音楽をやっていた訳でなく、そこに様々なサウンド・エフェクトを採り入れていた。ダブ・ミュージックとの融合も彼らの強かさからくるものだと思った。

 

 

Baba Zula & Mad Professor / Duble Oryantal(CD)

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2005年リリースの4作目。Mad Professorとのコラボレーション企画第2弾。前作同様にMad Professorがミックスを担当し、自らパーカッションで参加している曲もあります。レゲエから始まり、これがSyd Barrettの曲と言われても分からないカヴァー曲、日本の演歌的な曲、そしてEinsturzende NeubautenのAlexander Hackeも参加して、インダストリアルでコラージュ的な要素も組み入れて自由奔放にカオスしまくっています。ラスト4曲は、このアルバムに収録されている曲のダブ・ヴァージョンで締め括っています。仕掛けているのは、勿論Mad Professorです。もう、何でもアリアリのエキゾチックな1枚です。

 

 

Baba Zula / Do Not Obey(CD)

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2014年リリースの8作目。原題は「34 Oto Sanayi」です。私が購入したのはUS盤でタイトルが違っています。英題「Do not Obey」は、服従するな、言いなりになるな、ということです。このアルバムは反政府運動や都市化が進むイスタンブールに対する危機感などをテーマにしています。一部、歌詞が過激過ぎるとのことでトルコ国内では問題視され、TVやラジオで放送禁止になったとか?これまでとは少し異なりストレートにロック色を打ち出したサウンドになっています。何物にも束縛されない彼らの信念を感じる1枚です。


 

Baba Zula / XX(2Vinyl+CD)

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ドイツのレーベルGlitterbeatから2017年にリリースされた結成20周年を記念したコンピレーション盤。通常のベスト盤的なのと違っていて、既発の音源は使わずに、これまで発表した曲を再録音やリミックスしたり、未発表のライヴ音源などに置き換えて収録。さらにはアルゼンチンのシンガー・ソング・ライターLa YegrosやOki Dub Ainu Bandとのコラボレーション音源、Deleyamanがリメイクした音源までも取り上げてアルバム全体を盛り上げています。なお、ボーナスCDには、Mad Professorをはじめとして様々なアーティストが手掛けたダブ・ミックスが収録されています。このタブ・ミックスもこれまでに無いぐらいぶっ飛んでいます。Baba Zulaの懐の深さを感じさせるコンピレーション盤です。

 

 

Baba Zula / Kizil Gozlum (Vinyl) 

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こちらもドイツのレーベルGlitterbeatから2019年にリリースされた12インチEP盤。この後に予定されているアルバムからの先行シングルです。オルタナティブクラウトロック的な雰囲気満載の曲です。B面には「Kervan Yoldan」という曲のリミックスが2トラック収録。このリミックスの1曲にSchneider TMを起用しています。この組み合わせも興味深いです。

 

 

Baba Zula / Derin Derin(CD)

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スタジオ録音アルバムとしては「Do not Obey」以来の最近作。彼らのトレード・マークである民族楽器サズ、ウードを駆使して、より一層サイケデリックアヴァンギャルドな世界を構築しています。ドイツのレーベルGlitterbeatからリリースで、CanのドラマーJaki Liebezeitを偲んで作られた曲など、クラウトロックに対するオマージュも感じられる。現在は創設メンバーのMurat Ertelが中心に、息子などが参加して Ertelファミリー・バンドの様相を呈している。バンドの絆も最高なので、このメンバーで是非ともライブが観たいです。

 

 

彼らの魅力は民族音楽をベースにその時代に合わせて変化出来ることです。そのどれもがBaba Zulaらしさを失っていない。簡単のようだけど、様々な音楽に精通しているからこその技だと思う。出遅れでファンになったので、しっかりとフォローしていくしかないですね。

 

 

2019年10月のディスカホリック

2019年10月のディスカホリックは12タイトルの購入実績でした。個別に取り上げたいバンドやアーティストが一杯ですが、しっかりと聴けていない状況です。時間的、精神的余裕がもう少し欲しい!

 

Baba Zula / Derin Derin(CD) 購入先Amazon.co.jp 購入価格3,024

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トルコの民族音楽をベースに様々な要素を取り込んできたBaba Zulaの最新アルバム。より一層、サイケディリックでアヴァンギャルド色が進化したサウンドになっています。

 

Baba Zula & Mad Professor / Psychebelly Dance Music(CD) 購入先Amazon.co.j p(Pop in Music) 購入価格2,650円

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2003年リリースの3作目。ダブ・ミュージックの大御所Mad Professorとのコラボレーション企画。この異色の組み合わせで世界的に存在感を示した出世作

 

Baba Zula & Mad Professor / Duble Oryantal(CD) 購入先Amazon.co.jpディスクユニオン渋谷中古センター) 購入価格790円

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2005年リリースの4作目。「Psychebelly Dance Music」と同じくMad Professorとのコラボレーション企画第2弾。前作同様にMad Professorがミックスを担当しています。より一層オリエンタル・ムードあふれる1枚になっています。

  

Baba Zula / Do Not Obey(CD) 購入先Amazon.co.jp(Rarewaves-Jp) 購入価格986円

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2014年リリースの8作目。オルタナティブ色を強めた感じで、反政府運動や都市化が進むイスタンブルに対する危機感をテーマにしています。一部、歌詞が過激過ぎるとのことでトルコ国内では問題視され、TVやラジオで禁止されたとのこと。

 

 

Ride / This Is Not a Safe Place(CD) 購入先Amazon.co.jp(importcds_com) 購入価格1,432円

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Ride、2年振りの新作。これまでのRideを踏襲しつつ、新たな試みにも挑戦している意欲作。

 

 

Pixies / Beneath The Eyrie(CD) 購入先WOW HD 購入価格1,436円

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Pixies、3年振りの新作。前作より加入した女性ベーシストPaz Lenchantinがヴォーカルやコーラスなどで存在感を発揮。新たなる方向系を示したアルバムです。 

 

 

Kammerflimmer Kollektief / There Are Actions Which We Have Neglected & Which Never Cease To Call(CD) 購入先Amazon.co.jp(Rarewaves-Jp) 購入価格1,718円 

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昨年リリースされていたKammerflimmer Kollektiefの新作を今頃になって購入してしまった。これまでのアルバムの中では、よりラディカルでストレンジな幻想サウンドを構築しています。素晴らしいアルバムです。

 

 

Locust / Red(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp  購入価格1,550円

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Mark Van HoenのLocust名義による2019年Medical Records LLCからの12インチシングル第1弾。90年代ミニマルテクノの原点に戻ったような雰囲気で反復リフを繰り返すサウンドが、最高に気持ちいい! 

  

Locust / Green(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp  購入価格1,329円

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Medical Records LLCからの12インチシングル第2弾。こちらもRedと同じ流れで2枚で一つの作品といった感じ。Red、Green共にジャケットデザイン はロゴを含めてAphex Twinのアートワークを担当したことのあるPaul Nicholsonです。 

 

 

Gong / Love From The Planet Gong「The Virgin Years 1973-75」 (12CD+DVD BOX) 購入先Amazon.co.jp(ZoverstocksJPN) 購入価格13,291円

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勝手にGong Familyと名乗っている以上、このBOXは購入しなければなりません。Radio Gnome Invisible3部作とShamalに加えて当時の未発表ライブ音源が多数収録されています。Virgin YearsとなっているのでGazeuse!、Expresso IIも入れても良かったと思うけど、キュレーションがSteve HillageとMike Howlettですからね。興味深いのは、Daevid Allen、Gilli Smythが脱退した後のShamal時代のライブ音源といったとこでしょうか?ただ、いまだ未開封ままですが。

 

 

Pancrace / The Fluid Hammer(2Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格3,821円

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フランスのエクスペリメンタルでコンテンポラリーなサウンドを奏でるクインテットPancraceの2ndアルバム。自作のパイプオルガンをMIDI制御して出来たサウンドを中心に、様々な楽器やフィールドレコーディングスされた音が絡む新世代実験バロック音楽?ちょっと変った音響体験を味わって欲しい。


 

Smegma & Guzo / 40years of Smegma Tour(Cassette) 購入先Art Into Life 購入価格1,722円

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2013年Smegma40周年記念のヨーロッパ・ツアーライブ音源。Smegmaのメンバーとして参加しているGuzoがA面の前半を演奏し、そのあとSmegmaの演奏となっています。The Dream Syndicateでも活動しているドラマーDennis Duckも参加しています。Smegma流の垂れ流しノイズ・ロックンロールが満載です。


 

 

中古品カセットデッキ、オンキョーのK-185II-Sを購入!

カセット音源が見直される中で、昨年ポータブルUSBカセットプレーヤーを購入した。購入してみたものの、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くことに抵抗感のある私にとって、スピーカーから聴かないでどうするという思いが常にあった。そこでイヤホンジャックからAVケーブルをアンプに繋いで再生してみたが、これが聴くに耐えない状況だった。USBが付いているのでデジタルに変換してCDRに焼いてから聴けば良いんだけどね。

 

私の場合、ノスタルジーでカセット音源に向ったのではなく、今のバンドやアーティストの中にはカセット・オンリーのリリースが多くなっているからなのです。しかもカセットとデジタルのセットが主流となっている。それならデジタルのみの購入で済むのですが、フィジカルメディアに拘るとそうはいかない。そんなことで、カセットデッキを購入しようと考えた。ただ、現行商品は殆どなく、中古品になってしまうのが現状です。カセット音源がこれだけ盛り上がっているのにね。

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結局、アマゾンでオンキョーのKー185llーSを購入した。だぶん90年代後半の商品かな?2000年初めにオンキョーのミニコンボを買った時には、MDデッキが標準装備だった。未だにその時のアンプとスピーカーを使用しているので、組み合わせとして最高ですね。早速、Pandelindioの「Meteoro」を聴いてみる。事前にCDRに焼いてあったのと聴き比べてもカセットの方が柔らかく自然に聞こえる。まあ、再生ボタンを押した時にガチャンと大きな音がすることには、時代を感じさせる部分もあるが。取り敢えず、普通に使用出来ていることに満足しています。

 

カセット音源は、まだ9本しか持ってないけど、その内の3本がPandelindioであります。カセットデッキを購入する後押しをしてくれたのはPandelindioで間違いないです。これまでカセット音源を購入するのに躊躇していたが、今後はもっと増えそうです。