個人的には、2000年代に入ってからの再結成や新作「Part Two - The Endless Not」からXーTG「Desertshore / The Final Report」に至るまでのリアルタイムでフォローしていた時が一番興味深かったです。もちろん、70年代のエログロ時代も面白いのは言うまでもありませんが。やはり、それまでの確執を乗り越えてThrobbing Gristleの音楽を愛するファンの為に、活動を続けることは中々出来ることでは無いと思う。しかし、ドランスジェンダーして性格までも破綻してしまったGenesis P-Orridgeが脱退したことで終わってしまうのです。Peter Christophersonが亡くなったので、本当に伝説になってしまったThrobbing Gristle。これについてはGenesisの意見も聞きたい所でもありますね。この本を読んだ後でThrobbing Gristleのアルバムを聴き直すと、これまで以上にCoseyの葛藤に満ちた心の叫びを感じてしまった。ファン必読の本であることは間違いないです。
それで、紹介してくれたのがAnaïs Mavielのセカンド・アルバム「In The Garden」でした。気に入ったのでCDかカセットで購入したいと返信した。すると、デジタルとアルバムジャケットのオブジェのみの販売であるが、気に入ってくれたということでフリーのサンプルCDを送ってくれた。Dave Ruder、有難う!!
1982年に結成してハード・コアからフォーク、そしてノイズまで縦横無尽にジャンルの垣根をぶっ壊して胡散臭い活動を続けてきたアメリカ・アリゾナのバンドSun City Girls。2007年にメンバーのCharles Gocherの死去により活動を停止してしまった。残されたAlan BishopとRick Bishopの兄弟は、個々に様々な活動を行っている。
今回、Bishop兄弟の2人とChris Corsano、Michael Flowerによる新たなるバンドThe Clandestine Quartetのデビュー・アルバムがリリースされ、Sun City Girlsの1991年のアルバム「Dawn of the Devi」がヴァイナル・リイシューされました。まさにSun City Girls、新旧聴き比べをやってくれ!といった感じであります。
The Clandestine Quartet / One for the Fossa, Two for the Wolverine (Vinyl)
これまでも、Bishop兄弟によるスプリット・アルバムやコラボレーションはありましたが、バンド編成としてはSun City Giris活動停止以降、初めてだと思う。しかも、ドラムはRick BishopとRangdaで活動しているChris Corsanoです。そして、もう1人はChris Corsanoとデュオを組んでいたこともあり、Vibracathedral OrchestraのメンバーでもあるMichael Flowerであります。彼はドローン・ノイズからフォークまで様々な音楽に精通しており、マルチに活動しています。The Clandestine Quartetとして最強のメンバーが結集したのです。
A面1曲を締める瞑想的で陶酔感あふれる「Don't Hang From My Ceiling」から始まり、ロックやフリージャズ的な曲をミニマルに鳴り響かせています。民族音楽的な雰囲気も垣間見せつつ4人の英知を纏め上げたアルバムは、Sun City Girisのコアで厄介な部分を彷彿させてくれます。聴き所満載で素晴らしいです。
1991年にリリースしていた「Dawn of the Devi」が、ついにヴァイナル・リイシューされました。今の時代を考えるとヴァイナルのみというのもSun City Girlsらしいかな?名盤とされている90年の「Torch Of The Mystics」や93年の「Valentines From Matahari」が早い段階でCD化やリイシューが行われたことを考えると、今まで何もされなかったことに少し不思議な感じがする。
結成当初はバンクバンドとして活動していたが、80年代後半からオルタナティブ的に様々な要素を採り入れてきたSun City Girls。本作はインプロヴィゼーションを中心としたノイズ・ロックを展開しています。当時、ロー・ファイでフォーキーな楽曲も多かった彼らの中では、不協和音のアンサンブルが飛び交う攻撃的なサウンドになっています。3人の個性が犇めくバトルで、Charles Gocherのドラミングの凄さを再確認しました。何でも有りのSun City Girlsだからこそ、なせる技だと思う。
Bishop兄弟は、Sun City Girlsとして復活することはないと公言しています。それだけ、Charles Gocherが偉大だったのでしょう。それならば、Sun City Girlsに最も近いThe Clandestine Quartetを後継バンドとして今後も続けて欲しいです。それと近年、Sun City Girlsのリイシューが多くなっていますが、まだ、80年代のカセット音源が少ないように思います。これは音源管理をしている兄のAlan Bishopにお願いしたいですね。
Baba Zulaは1996年にトルコ、イスタンブールにて映画のサウンドトラック制作のために結成されました。トルコの民族音楽をベースにオルタナティブ要素をぶち込んでジャム・バンド的なサウンドを展開しています。Murat ErtelとLevent Akmanが中心となって、その都度ゲスト・ミュージシャンを招いて活動し、これまでにアルバム9枚、EP盤1枚、コンピレーション盤1枚をリリース。7月にEP盤「Kizil Gozlum」を購入したことで一気に嵌まってしまった。名前ぐらいは知っていたが、本格的に聴くのは初めてです。7月、10月のディスカホリックでも簡単に書いていますが、6タイトルも購入しているので纏めてリリース順に紹介します。
Baba Zula & Mad Professor / Ruhani Oyun Havaları-Psychebelly Dance Music(CD)
2003年リリースの3作目。ダブ・ミュージックの大御所Mad Professorとのコラボレーション企画。この異色の組み合わせで世界的に存在感を示した出世作。原題「Ruhani Oyun Havaları」がトルコ語で、世界で売るには英題「Psychebelly Dance Music」が必要だったのでしょう。このアルバムでMad Professorはミックスとマスタリングを担当。当時、トルコを含む中東の音楽が注目されていた中で、Mad Professorの名前を前面に押し出して知名度を上げたかったのかもしれませんね。Baba Zulaは単なる民族音楽をやっていた訳でなく、そこに様々なサウンド・エフェクトを採り入れていた。ダブ・ミュージックとの融合も彼らの強かさからくるものだと思った。
2014年リリースの8作目。原題は「34 Oto Sanayi」です。私が購入したのはUS盤でタイトルが違っています。英題「Do not Obey」は、服従するな、言いなりになるな、ということです。このアルバムは反政府運動や都市化が進むイスタンブールに対する危機感などをテーマにしています。一部、歌詞が過激過ぎるとのことでトルコ国内では問題視され、TVやラジオで放送禁止になったとか?これまでとは少し異なりストレートにロック色を打ち出したサウンドになっています。何物にも束縛されない彼らの信念を感じる1枚です。