ギタリスト、クラリネット奏者、そしてヴォーカリストとマルチプレイヤーとしてブルックリンを拠点に活動しているDave Ruder 。4年振り5作目となる新作がリリースされました。コロナ渦での制作で彼自身の様々な思いが伝わってくるアルバムとなっています。
Dave Ruder / not Great
本作の構想は2019年には出来上がっていたようです。2020年春にライブで録音することを計画していたのですが、2020年3月にDave Ruderがコロナに感染します。本人も含めて参加メンバー7人は、個々に自宅で録音を行い、それをミックスしてアルバムを作り上げようとしていました。ところが、今年1月に2度目のコロナ感染。後遺症として彼の手首が悪化して楽器演奏が出来なくなったのです。一部の曲については代役ギタリストJonah Rosenbergを起用して、今年11月にやっとリリースされました。
アルバムタイトルが示すように、Dave Ruderの心情は複雑だったのでしょう。その辺りを踏まえてコロナ渦で疲弊した人々に対するメッセージです。様々な悲しみや焦りなどをポジティブに捉えて穏やかで優しく歌い上げています。バックを支えるサウンドは、これまで彼が関わってきたバンドやプロジェクトの要素なども凝縮。ギターポップソングからヴァイオリン、チェロ、ビオラ、クラリネット、ホルンの管弦楽器を駆使したコンテンポラリーな曲まで、彼のヴォーカルとの絡みも最高に良いです。シンガーソングライター及び作曲家としての力量を遺憾なく発揮した傑作!
Dave Ruder が関わってきたバンドやプロジェクトのメンバーThee RepsのSam Morrison(ピアノ)、thingNYのIsabel Castellvi(チェロ)も参加しています。彼らが自宅で録音した音源をミックスしたのがCloud Becomes Your HandのStephen Cooperです。寄せ集めた音源を一貫したトーンで雰囲気良く纏め上げているのが凄い。Stephen Cooperについては、早くCloud Becomes Your Handを復活させて欲しいと思っていますが。
尚、Dave Ruderの症状は完璧とまで行かないけど、クラリネットなど演奏できるところまで回復している。簡単なストリートライブパフォーマンスなど行っているようです。コロナに負けずに頑張って欲しい!!
Dave Ruderが関わっているバンドThee Repsについて書いています。
Dave RuderはレーベルGold Bolus Recordingsも運営しています。
このアルバムもGold Bolus Recordingsからのリリースです。