ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

フィンランドの前衛音楽家Pekka Airaksinenとヴォーカリストでマルチ奏者Ka Bairdとのコラボレーション作 "Hungry Shells"

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Pekka Airaksinen(1945ー2019)は60年代後半に伝説バンドThe Spermで音楽活動を始めます。名前のごとく猥雑なライブ・パフォーマンスで、メンバーが逮捕されるなどで1970年に解散してしまう。その後は、ジャズ、アンビエントニューエイジインプロビゼーションなどを中心に前衛音楽家として活動していました。そんな彼とコラボレーションを行っていたのが、NYを拠点に活動しているヴォーカリストでマルチ奏者Ka Bairdです。レコード・オンリーで2021年10月に "Hungry Shells" がリリースされました。

 

Ka Baird & Pekka Airaksinen / Hungry Shells

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本作はリリース元Rvng Intl.が仕掛ける世代を超えたコラボレーション・シリーズ FRKWYSの第17弾としてリリースされました。Pekka Airaksinenの亡くなる半年前2018年秋に制作されています。このコラボレーションはオランダのユトレヒトで毎年行われている音楽フェスLe Guess Who? 2018 が切っ掛けとなっています。フェスで演奏する曲を現地ユトレヒトで録音してそのままライブを行ったようです。

 

Ka Bairdのエクセントリックなヴォーカルやリーディング・ヴォイスにPekka Airaksinenのスピリチュアルなサウンドが鳴り響く。2人の個性が真っ向からぶつかり合って怪奇でシュールな世界を構築しています。歌詞は仏教徒であるPekka Airaksinenの瞑想中に神から授かった仏教のたとえ話をモチーフにしているとのこと。本人自らリーディングしている曲 ”Grey Body” もあってより神秘で幻想的に仕上がっています。一方で、2人がハーモニーする曲 "Roseclouds" ではポップでモダンな雰囲気をも感じられる。両者の魅力を巧く融合した作品となっています。

 

亡くなる少し前に、こんな音源を残していたとはね。昔はNWWリストに掲載されたアーティストだけに前衛音楽マニアには高い評価があったと思う。この作品で再評価されて欲しい。もっと様々な音楽リスナーにも聴いて欲しい1枚です。

 

音楽フェスLe Guess Who? 2018 でのライブ映像です。Ka Bairdのライブ・パフォーマンスが凄い!

 

Pekka Airaksinenについては、2015年にリリースされたWorks 1968 – 1976(5Vinyl BOX)を取り上げています。