ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

2022年アルバム・ベスト10

年明け最初の投稿は2022年アルバム・ベスト10です。毎度の拙い文章ですが、毎回読んで頂いている皆さんに感謝です。今年もよろしくお願いします。

 

2022年アルバム・ベスト10は、22年にリリースされた新作を基本に、リイシューやアーカイブは対象外としています。以前から書いているように、22年は90年代から活動しているベテラン勢が多かったです。個人的にはギターロックバンドの復活かな?とも思う。ベスト10のアルバムは個別にも取り上げていますので、そちらも確認して頂けると有難いです。2023年もどんな音楽と出会えるか、今から楽しみですね。

 

No.1  Ulaan Passerine / Sun Spar

Steven R. Smithの変名プロジェクトUlaan Passerine。90年代から彼をフォローしてきた私にとっては、2022年はこのアルバムしかないです。Mirza、Thujaというバンドを経てソロ活動を始めてた時から、1人で様々な楽器を熟すマルチプレイヤーだった。故に他者を受け入れられなかった。そんなSteven R. Smithに手を差し伸べたのが、元のバンドメンバーGlenn DonaldsonやBrian Lucasであった。もはや、孤高のギタリストじゃないですね。

 

 

No.2  Blod / Pilgrimss​å​nger

2022年はスウェーデンアンダーグラウンド シーンにどっぷりと嵌まった。このブログでもAlex Zethson、Treasury Of Puppie、Goose、Blodなど様々なバンドやミュージシャンを取り上げてきた。その中でもアルバム5枚も購入してしまったGustaf Dickssonのソロ・プロジェクトBlodです。本作はスウェーデンキリスト教文化から影響を受けた賛美歌的な雰囲気が、心に染みいります。

 

 

No.3  Spiritualized / Everything Was Beautiful

名盤 “Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space” との類似点を含ませながらも、それとの比較対象ではなく、何か別な次元でのベクトル勝負に臨んでいる気がする。新たなる展開はありません。これまで築き上げてきたことを一度解体しながら、一つ一つの音を積み重ね再構築することで、これこそSpiritualizedというべきサウンドを作り上げています。集大成を表した傑作アルバムだと思う!


 

No.4  Built To Spill / When The Wind Forgets Your Name

Doug Martschのギターワーク炸裂や哀愁を帯びたヴォーカルもしっかりと堪能出来る内容で、自分達が影響を受けたバンドへのオマージュを寄せた曲なども収録。全方向からBuilt To Spillを見直してみた1枚。アルバム制作に関わったブラジルのサイケバンドOruãのLê AlmeidaとJoão Casaesが良い仕事をしてくれたと思う。


 

No.5  Elf Power / Artificial Countrysides

Elf Powerの持っているサイケなフォーク・ロックの魅力を小気味よくストレートに掻き鳴らしている。様々なゲストが参加して、ああでもないこうでもないと言って行うよりも、少数精鋭のラインナップでAndrew Riegerの好きなようにやって、バックのメンバーがそれを支える構図が一番だと思った。Elephant 6時代を越えた傑作です!

 

 

No.6  The Garbage & the Flowers / Cinnamon Sea

全5曲収録でミニ・アルバム的な感じです。Helen JohnstoneとYuri Frusinのヴォーカルを中心に何本ものギターがシンプルで有りながらもバランスよく鳴り響いて、インディーズ・ギターバンドといった様相を示している。30年以上に渡る2人の関係性を物語っている曲など、様々な思いが伝わってくる1枚。


 

No.7  Loop / Sonancy

Loop、32年振りの新作。これまでの土着的なドロドロしたサイケ感を少なくして、すっきりとデジタル的に施された音の感触は、ストイックで整然としていながらも暴力的に鳴り響く。プレ・シューゲイザー的存在であったLoopが真っ向からシューゲイザーと向き合っています。長年待たされた甲斐のある傑作です。

 

 

No.8  Horse Lords / Comradely Objects

ミニマルとポリリズムを駆使し、フリージャズ、ポストロック、クラウトロックの要素を絡めながら、独自の世界観をインストゥルメンタルサウンドで表しています。高い演奏力とアイディアが詰まった新たなる時代の1枚ともいえる傑作です。


 

No.9  Borja Flames / Nuevo Medievo

スペイン出身でフランスを拠点に活動しているBorja Flames。ダンサブルでグルーヴ感を意識した変則的なリズムをベースにしてエレクトロニクスをスペーシィーに散りばめたサウンド。そこにヴォーカルやコーラスが美しく絡んでいます。エンターテインメント性も備えたエクスペリメンタルでアヴァン・ポップな世界。素晴らしいアルバムです。


 

No.10  Modern Nature / Island Of Noise

ロンドンを拠点とするJack Cooper率いるオルタナティブバンドModern Nature。ゲストに迎えたEvan ParkerやJohn Edwardsといったイギリスのフリーミュージックの巨匠たちが彩る自由で広大な空間に、Jack Cooperの本来持っているアヴァン・フォーキーな雰囲気を巧く組み合わせたジャジーでクラシカルなポストロックな世界。Jack Cooperの新たなる魅力と可能性を感じさせる素晴らしいアルバムです。