ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

想像を絶する下手くそさとはもう言わせないぞ!Giuseppi Logan

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私がGiuseppi Loganを知ったのは、ちょうど1年前に発行された新書本「聴いたら危険!ジャズ入門」というフリージャズのガイドブックであった。著者はSFミステリー作家の田中啓文氏でありますが、残念ながら、私はこの人の小説を読んだことは無い。しかしながら、ジャズのいちリスナーとしての視点で分かり易く面白くアーティストを紹介している。

 

この本の中で、私が気にいった文がある。「Miles Davisのアルバムを生涯1枚も聴かなくても、楽しく充実したジャズライフが送れます」と書かれている。Miles Davisを聴いても、ピンとくるものが無かっただけに有難く思えてしまう。ジャズの王道路線とは、無縁のSun Raからジャズを聴きだした私にとっては、なおさらであります。

 

そして、この本の影響を受けて聴き始めたのが、サックス奏者のGiuseppi Loganであります。田中啓文氏は、「想像を絶する下手くそさ」というタイトルでGiuseppi Loganを紹介している。60年代に2枚のアルバムをリリースして、音楽シーンから姿を消した。その後、死亡説、失踪説、発狂説などが流れていたという。そして、2000年代後半にホームレスとしか思えないよれよれの爺さんになったGiuseppi Loganが、公園のベンチでサックスを吹いているのを発見されたのである。その後、2010年に新作をリリースして復活するという経歴のミュージシャンである。

 

田中氏は、初心者にサックスを渡しても1時間後には、このぐらいは吹けているだろうとか、音は出ていないし、音程は最悪だし、フレーズなんてあるのかないのかわからないといった書き方をしていながらも、40年以上の時間を隔ててリリースされた新作が、基本的に何もブレていないことに、深い思いで感動してしまうと綴っている。落とすだけ落としておいて、ちゃんと持ち上げるところに、Giuseppi Loganに対する愛情が感じられる。

 

そんな訳で、Giuseppi Loganに興味を持った。すぐに購入したのが、想像を絶する下手くそさの代名詞となっている1965年のファースト・アルバム「Giuseppi Logan Quartet」と2010年の復活アルバム「Giuseppi Logan Quintet」であります。ファースト・アルバム Quartetは人を食った様な惚けたよれよれサウンドで、復活アルバムQuintetは基本的なヘタウマ感は同じで、現代性も兼ね備えていると言ったことを以前Mixi日記に書いた。


The Giuseppi Logan Quartet - Blecker Partita - YouTube

 

そして、今回購入したのが、1966年にリリースされたセカンド・アルバ「More」と昨年後半にリリースされていた最新作「The Giuseppi Logan Project」であります。

 

More

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More」は、入手困難になっていて、アマゾンのマーケットプレイスで中古CDを見つけた。全4曲で1曲だけGiuseppi Loganのピアノ・ソロで、後はドラム、ベース、ピアノにGiuseppi Loganのサックス、クラリネット、フルートが絡む構成です。ファーストに比べると、よれよれ感が薄く、攻撃的な即興演奏で、かっちりと纏まった作品になっている。時代背景を考えるとフリー・ジャズのムーヴメントが、急速に広まりをみせていた時でもある。この「More」があったからこそ、40年以上の時間を隔てても、音楽シーンに復活することが出来たのだと実感した。

 

The Giuseppi Logan Project

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一方、「The Giuseppi Logan Project」は、New Yorkのエクスペリメンタル系ミュージシャンを集めて201110月に録音されたアルバム。新しいオリジナル3曲とJohn ColtraneSpiralDuke EllingtonSatin Dollなどの古典的なジャズのカヴァー3曲での構成です。全体的にマイルドな演奏で、円熟みを増したGiuseppi Loganの魅力を引き出せているアルバムです。今までの流れとは少し違う感じで新たなる展開も試みている。想像を絶する下手くそさとは思わないが、所々音が出てなかったり、音程がずれている所を、いい感じで取り込んでいるのである。このProjectのプロデューサーで、自らもギターで参加しているEd Pettersenの力量かと思う。そして、Ed Pettersen自身のレーベルMad King Edmundからのリリースでもあります。

 

Mad King Edmund

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 私は、Ed PettersenのホームページよりCDを直接オーダーした。すると、The Giuseppi Logan Project」のCDの他に、Mad King EdmundなるCDも一緒に届いた。納品書には、ボーナスCDも入れたと書いてあった。Mad King Edmundは、レーベル名でもあり、Ed Pettersenを中心としたユニット名でもありました。音の方は、エレクトロニックを用いたエクスペリメンタル・ジャズといった感じで、こちらも非常に面白い。

 

このMad King Edmundには、The Giuseppi Logan Projectに関わっているメンバーもいるので、やはり、Ed Pettersen主導で今回のGiuseppi Logan Projectが企画・制作されたことが伺える。根っからのジャズ・ファンには、Giuseppi Loganの面白さと言うのは理解出来ないのかもしれない。むしろロック・ファンにこそ聴いて貰いたいと今回の「The Giuseppi Logan Project」を聴いてそう思った。