アメリカ電子実験音楽家で、脳波を電子音に変換したバイオ・フィードバック・ミュージックの巨匠David Rosenboomと女性シンガーJacqueline Humbertとのコラボレーション・アルバム2枚を紹介します。Jacqueline Humbertは70年代初期からヴィジュアル・パフォーマーとしてもマルチに活躍するアーティストです。自身のヴォイスを駆使してRobert Ashleyの作品にも多く関わっています。
David Rosenboom
Jacqueline Humbert
Jacqueline Humbert & David Rosenboom / J.Jasmine: My New Music(Vinyl)
1977年にリリースされたこのアルバム。当時はJacqueline HumbertのJ.Jasmine名義で自主制作されました。1978年に行われたアヴァンギャルド・実験映画フェスティバル「Ann Arbor Film Festival」に向けて制作されたとのことです。Jacqueline Humbertのヴォーカルを中心に、David Rosenboomのプロデュースにより、ピアノ、電子音、オルガン、ヴァイオリンなどを取り込んだ実験的なアプローチも垣間見ることが出来ます。実験的といっても小難しいことはなく、ミュージカルを想起させるような感じで喜怒哀楽をキュートに鳴り響かせています。まさにアヴァン・ポップの裏名盤です。今年になってJacqueline Humbert & David Rosenboom名義に変更して初ヴァイナル・リイシューされました。
Jacqueline Humbert & David Rosenboom / Daytime Viewing 1979-1980(Vinyl)
2013年にリイシューされたコラボレーション2作目。テレビドラマの為に作られたアルバムとのことで、1982年にカセットのみでごく僅かしか流通しなかったようです。シンセサイザーとエレクトロニクス・パーカッションを駆使してJacqueline Humbertが優しく囁くという、こちらもキュートなアヴァンエレクトロ・ポップです。時代を感じさせない魔訶不思議な世界!
2人のコラボレーションはこの2枚しかリリースされていません。Jacqueline Humbert個人としては2004年にコンピレーション盤Chanteuse (Songs Of A Different Sort)をリリースしています。幾つかの曲でDavid Rosenboomが参加した未発表音源が収録されています。まだ、色々と音源は有りそうなので、リリースを期待したいですね。
因みにDavid Rosenboomのバイオ・フィードバック・ミュージックの世界は、こんな感じです。彼については、また別な時にでも取り上げて行きたいと思っています。