Alexandre BazinはGRMのメンバーであり、2008年頃より音楽活動を行っています。このGRMというのはGroupe De Recherches Musicalesの略称で1958年にPierre Schaefferにより創設されたフランスの電子音楽に関わる音楽研究グループです。Luc Ferrari、Iannis XenakisなどもこのGRMに関わっていました。
今回、Important Recordsのカセットテープ専門レーベル「Cassauna」よりAlexandre Bazinの新作がリリース。このことで彼の存在を知ることになりました。今のニューエイジ・ミュージックにも繫がる作品なので紹介したいと思う。
Alexandre Bazin / Oceans、Dream-Land
A面は4パートによるOceansとThe Deserterの2曲構成。マリンバ、ピアノ、ブックラ・シンセ、オルガンで奏でるミニマルでアンビエントな世界。Orchestre Philharmonique De Radio FranceのパーカッショニストGabriel Benloloがマリンバで参加しています。曲のタイトルにあるように海の鼓動やうねりをイメージしてサウンド構築した感じです。Alexandre Bazinが影響を受けたライヒ、サティー、イーノの要素を巧く纏め上げています。
B面は詩人エドガー・アラン・ポーにインスピレーションを受けた4パートによるDream-Landの1曲構成。フィールドレコーディングも絡めて幻想的に鳴り響いています。真冬の嵐が来ている時にフランス、ランド地方の浜辺で録音されたとのこと。これまでのGRMが築き上げてきた実験的なエレクトロ・アコースティックな世界を披露しています。
本作はこの2つの世界を統合させた作品です。両方とも自然に対する神秘的な思いや雰囲気なども伝えています。35分にも満たない収録時間ですが、Alexandre Bazinの音楽性が凝縮されていて素晴らしいです。
カセットテープ専門レーベル「Cassauna」の作品について、これまでも個別に取り上げています。今後も注目していくしかないですね。